【映画「栞」再々上映決定】美女だらけの「栞」座談会

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 年10月から公開され全国各地で上映される中、東京に再び帰ってきた映画「栞」がこの度、下北沢トリウッドにて6月29日より再々上映が決定いたしました。

 

今回は、それを記念しまして、映画「栞」出演、坂口亜衣役の黒澤はるかさん、榊原監督に加え、最近何かと話題の美女PT横手香菜さん、PTでありながらモデル業を行い、女優への道を志す植松愛美さんの4名によるスペシャル感想会の模様を公開いたします!

 

本日みなさまを映画「栞」の世界へご案内するのはこの私、スーパーエキストラこと編集長の今井がお送りいたします。

 

今回の、感想会は再々上映が決定された下北沢トリウッドでの映画「栞」上映会後に、小粋な喫茶店で行われました。これまでの、インタビューでは語られて来なかった、お話満載ですので、最後までお楽しみください。

 

榊原監督
みんなさんよろしくお願いします。

 

黒澤さん
よろしくお願いします。

 

横手さん
よろしくお願いします。

 

植松さん
よろしくお願いします。

 

榊原監督
まず、簡単にこの映画の背景を説明します。この映画は全て実際にあったことで、そのうち2人は自分が担当した患者さんです。時代背景としては2008年でした。その他、自分が臨床にいた時のことを織り交ぜながらこの作品を作りました。まず、お一人づつ映画の感想を聞いてもいいですか?

 

植松さん
今までの医療系映画だとお医者さんが中心に描かれていたり、医療の中のお話が多かったと思いますが、映画「栞」で描かれているのは患者さんの背景まで感じ取ることができる映画だなと思いました。

 

横手さん
リアルだなと思いましたね。実際に、病院内である医療従事者同士の状況など、「そうだな」と思う部分がたくさん描かれていました。あとは、メッセージとして「何もできない」という部分を強く感じて、1,2年目で同じような思いから退職していく理学療法士を見てきたので、その前にこの映画に出会っていれば何か変わったのではないかなと思いました。

 

榊原監督
黒澤さんが演じられた看護師ですが、自分は患者さんが亡くなると自宅で吐きながら泣いていたのに、看護師さんはそんなそぶりも見せないので、どう感じているのか不思議に思っていました。でもある時、送別会で看護師さんと話した時、ある患者さんが亡くなられて、あまりのショックに病棟で泣き崩れてしまったという話を聞きました。その部分は、映画の中でも描きましたし、屋上のシーンでは「泣きたい時にここに来る」というセリフを入れました。

 

黒澤さん
病院に行くと看護師さんの笑顔に作っているような違和感を感じてしまうことがありましたけど、改めて今のお話を聞いて、自分が演じてみて、そういった辛い現状を隠すための笑顔だったんだなと実感しましたね。

 

榊原監督
他の患者さんに影響を与えてしまうので、病棟では悲しくても辛い表情をしていてはいけないんですよね。

 

黒澤さん
実はこの映画の後にも、ドラマで看護師役を経験したんですけど、その時のシーンがまさに作り笑顔で、患者さんに嫌な思いをさせてしまう役で、そう思っている人って結構多いのだなと思いました。そういう現実って悲しいなと思いましたね。この映画を見て、医療従事者全体に対する見方が変わったら、嬉しいなと感じました。

 

榊原監督
自分が監督だからということを抜きにしても、今回演じてくれた役者の芝居は日本最高峰の演技をしてくれたなと、本気で思っています。今のトレンドは、リアリティ、ナチュラルにという中で、実際それをお芝居するのは本当に難しいことなんですね。その点、女優を目指されている植松さんから見て、いかがでしたか?

 

植松さん
私は病院の経験が、実習でしかないのですが、お芝居含め描かれていることの全体がリアルだなと思いました。

 

榊原監督
この映画に限らず、お芝居ってある意味では正解がなく、誇張された演技もそれはそれで正解です。ただ今回は、リアルを追求した中で、実は黒澤さんのシーンはこの映画にとって非常に重要なシーンでした。あのシーンは、撮影初日の一番初めのシーンで、全てのスタッフにとって土台となるシーンでした。初日の一番初めのシーンで、監督がどのお芝居に対して「OK」を出すのか、それによって役者含め、スタッフの基準が決まるので、黒澤さんのシーンは映画全体を見ても非常に意味のあるシーンでした。

 

黒澤さん
そういう結果になってよかったですけど、私は最初のセリフで「それが元気なんですよ」というセリフがあります。あの一文で、自分自身の中で答えは出ていましたが、どう演じるか迷っている部分もあって、その状況を監督が察してくれたのか、このシーンの状況を説明してもらえたんです。

 

榊原監督
そんなことがあったんですね。忘れましたね。。

 

黒澤さん
え⁉︎でも、監督自身病院で働いていた経験がある方で、その経験をもとに説明してくださったのは、すごく心強かったのを覚えています。

 

榊原監督
そんなこと言ってたんですね。笑 忘れちゃったなー。

 

黒澤さん
笑。患者さんでそんな元気な人はいないんだよっていう風に…

 

榊原監督
あっそうだそうだ。笑

 

黒澤さん
その真実味を教えてくださったのが、すごく大きかったなと思いました。

 

榊原監督
横手さんは、モデルもされているんですよね?

 

横手さん
なんなのかよくわからないですよね。笑

 

榊原監督
いやいや知っていますよ。Beauty Japanで男子専科賞を受賞されていますよね。そんな横手さんからみて、理学療法士という本業がありながら、別の場所でも表現されている方からみて、この映画の存在というのはどうですか?

 

横手さん
私自身が、理学療法士を天職だと思ってやっています。その中で、みんなに知ってもらいたいという思いが、現在のような活動に至った理由です。なので、この映画が理学療法士の本当の姿を知っていただけるきっかけになってくれたら、嬉しいなと思っています。なので、頑張って拡散します。笑

 

榊原監督
ありがとうございます。少し映画の中のシーンについて聞かせてください。何か、映画の中で心に残る部分とかはありましたか?

 

横手さん
仕事柄、理学療法士の仕草等に目がいってしまうのですが、リハ室のシーンでもバックに移る理学療法士の動作がリアルだなと思って見てました。

 

榊原監督
あの辺りのお芝居は、監修で来ていただいた大分県士会(大分県理学療法士協会)の方に、経験年数の設定等をお伝えしていたので、その辺りも細かく描いています。自分は、細かく指示出しはしなくて済んだので、助かりました。

 

植松さん
患者さんって、私たちの前だと「大丈夫」といってくれるのですが、実は悩んでいることがあって、そんな患者さんの裏側の描写が印象的でした。

 

榊原監督
そうですね。ちょっとその辺りが垣間見れるシーンを入れたいなと思っていました。

 

横手さん
あの夜の病室のシーンが印象的でした。実際に患者さんも、麻痺のある手足を触りながら感覚を確かめている人っているんですよね。

 

榊原監督
そうなんですよね。結構多いんですよね。麻痺があると、自分の手を大事そうにさすっている人を病室でよくみましたね。で、阿部さんの夜のシーンでは、台本としてほんの一文なんですね。自分の手で、足を触ったり叩いたりして、感覚を確かめているのですが、実は股間も触って確かめています。あれは完全にアドリブで、阿部さんのお芝居にお任せしました。取材の時にわかったのは、下半身事情に関する不安が大きくて、その部分は絶対確認するだろうということで、あのシーンができました。何気ないシーンですが、印象に残るシーンになったかなと思います。

 

黒澤さん
私は、お父さんが自分の病状を娘に話しかどうか悩んでいるシーンが印象的でした。役者としてというよりも、自分自身があの立場になった時、両親や大切な人たちにいつ伝えるのか、自分が伝えられる側になった時、言ってほしいと思いつつ、自分だったらあまり言いたくないような。自分に置き換えて考えてしまいましたね。

 

榊原監督
そうですよね。自分が担当していた患者さんも、重病があって両親は知らされていましたけど、本人は知らなくて。申し送りでも、その点は伝えられていたので、何も言えないのが辛かったですね。特にその子は、本当に頑張ってリハビリをして、スポーツに復帰しようとしていたので。

 

植松さん
医療従事者はもちろんですけど、いろんな立場の人がご覧になっても感情移入できる映画だなって思いました。

 

榊原監督
今日もお客さんの中で、医療従事者ではない方から感想や質問をいただきましたけど、本当にいろんな見方ができる作品になったなと思っています。

 

黒澤さん
今回の作品では患者さんのなくなるシーンがありますよね。他の医療系の作品だと誰かが助かっていたり、治ったり、希望というものが故意に作られているから、気持ち的に見ると楽ですけど、現実的ではないと感じてしまうことがあります。ですが、栞はその部分もリアルを追求し、ウソで誰かが助かるというシーンを描いていないことで、現実的な希望を見出せると思いました。その点が他の映画にはない価値を感じます。

 

榊原監督
今回の作品は、脚本も監督も自分で、もっと衝撃を与えるラストにすることも可能でした。でも表現として、ただインパクトではなく「とにかく観て何かを感じてほしい」と思った時に、ウソがなく描くために作りました。ウソなく希望をみせるにはどうするべきか、どの立場の人が見ても希望を見出すためにはどう表現すべきか悩んだ作品です。最後のシーンでは、その点を描くために、雅哉は学会発表で希望を与え、自分は映画を撮ることで誰かがその思いを拾ってくれるという想いからあのシーンにしました。

 

榊原監督
それで実は最後のカットの前のカットまでは、4:3という画角だったのですが、学会のシーンの少し前からは16:9という画角に変わっています。時代設定を表しているという面もありますが、以前の脚本では第二の主人公として、雅哉が担当していた子供と同じ病気をもった子を担当する若い理学療法士を描いていました。病気の裏設定があって、アレキサンダー病という難病になっているのですが、藁にもすがる思いで、あの学会に来て雅哉の発表を聞きに来るという話がありました。

 

横手さん
そもそも「栞」というタイトルにしたのはなぜですか?

 

榊原監督
先ほどの話にもつながるのですが、このタイトルは脚本を描きながら「ピン」と来たのでこのタイトルにしました。本に挟む「しおり」という意味と「道しるべ」の両方の意味があります。まさに、この映画で描いている、それぞれの人生で一度しおりを挟むことは度々あって、そのまま本を閉じてしまう人がいれば、しおりを挟んだ続きのストーリーを歩む人もいて。そんなストーリーがこの漢字とマッチしたので、このタイトルにしました。

 

黒澤さん
監督が脚本を書いていて、現場で撮影されて、意外なシーンってありましたか?

 

榊原監督
あー流石の質問ですね。思い入れのあるシーンは、屋上のシーンなのですが、意外なシーンですよね…。あっ、実は脚本の段階で、自分はあまり乗り気じゃないというか好きじゃないシーンがありました。周りからの意見では、「やったほうがいい」とのことで、ダメならカットでいいかなと思っていましたが、想像以上に良いシーンになりました。

 

榊原監督
具体的には映画をご覧いただきたいので言えませんが、雅哉と親父のシーンなんですけど、現場にいって、三浦さんの演技を見て、「これならありだな」と思いました。この流れで、本当に親父のことを思ってやったことだったら、ありなんだなと思いましたね。

 

植松さん
先ほどの質問と少し似ているんですけど、この映画のシーンの中で監督が特にこだわったシーンはどこですか?

 

榊原監督
あー、実はこの映画の撮影はほとんど手持ちカメラで撮影していて、最後の学会シーンの2コマは三脚を使用して撮影しています。でも、それまでのシーンの中で1カット三脚を使っているシーンがあって、屋上から看護師の二人と孝志を一枚の絵として表現したかったシーンなんですね。

 

榊原監督
あのシーンは、3人を囲む屋上の囲いがあって、その外には空だったり、街だったり、海だったりが入っている絵になります。自分がそもそも、映像業界に来た理由も、閉ざされた医療現場をもっといろんな人に知ってほしいという思いからこの業界に来て、その閉ざされた医療現場と社会を表現するためにこだわったシーンなんです。

 

 

榊原監督
本当にたまたま、撮影現場のロケーションに良い場所があって、雨が多い別府の中、空もきれいに晴れて、海もきれいで、本当に印象的で思いどおりに撮影できたシーンの一つです。ということで、最後に自分が話したかった質問をいただいてありがとうございます。今日はみなさん、ありがとうございました。

 

黒澤さん
ありがとうございました。

 

横手さん
ありがとうございました。

 

植松さん
ありがとうございました。

 

編集長イマイ
ありがとうございました。

 

6月29日(土)より下北沢トリウッドにて映画「栞」の再々上映が決定!

【映画「栞」再々上映決定】美女だらけの「栞」座談会

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