短距離走は「硬く伸び縮みしにくい筋肉」の方がタイムが良く、長距離走では「軟らかく伸び縮みしやすい筋肉」の方がタイム良いー。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の宮本直和准教授らの研究グループは、これまで解明されていなかったアスリートの「筋肉の硬さ」と「競技パフォーマンス」との関係について明らかにした。
▶︎ アスリートの「筋肉の硬さ」と「競技パフォーマンス」の関連性を明らかに
今回の研究では、走運動の接地時に伸び縮みし、また、短距離選手と長距離選手で速筋線維と遅筋線維の割合が大きく異なることがわかっている外側広筋に着目し、計測を実施。筋肉の硬さの測定には、生体軟組織の硬さを非侵襲的かつ局所的に計測することができる超音波画像診断装置の剪断波エラストグラフィ法を用いた。この手法を用い、現役の陸上競技短距離走選手22名および長距離走選手22名の外側広筋の硬さを調べた。
その結果、長距離走選手の筋肉は短距離走選手の筋肉よりも硬く100m走のタイムとの関連を検証したところ、硬く伸び縮みしにくい筋肉を持つ選手の方がパフォーマンスが高いことが分かった。一方、長距離走選手においては、軟らかく伸び縮みしやすい筋肉を持つ選手の方がパフォーマンスが高いことが分かった 。
本研究はアメリカスポーツ医学会雑誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」オンライン版に公開されている。