Buenas noches!terapeuta!(スペイン語でこんばんは療法士のみなさん)、週の真ん中水曜日の江原です。
本日はセンシティヴな痛みの問題を取り上げます。
虐待と痛みについてです。
「殴られ叩かれ痛いのは当然です。周りの誰かや、児相が確保すれば暴力はおさまりますから痛くないですし治りますよね?」と思った方、残念ながらそういうことじゃないんです。
本日は、児童虐待経験と慢性疼痛の深い関係について書きたいと思います。目の前の患者さんもそうかも知れないと、身が引きしまる記事です。
本日のトピックス
患者の虐待歴に注目するようになったきっかけ
虐待(child abuse/mal treatment)の概略
虐待歴がある大人の痛みが慢性化する理由
まとめ
患者の虐待歴に注目するようになったきっかけ
まず結論から先に言いますと、例えば大人になってから腰痛になった方の中に過去に児童虐待を受けた経験がある方がいます。そのような方は腰痛がなかなか治りにくく慢性化する傾向があるようなのです。
幼少期に虐待歴がある腰痛患者は、心理的苦痛レベルが高く、職場復帰率が低く、退院後の手術実施率も高い
(McMahon MJ et al:Early childhood abuse in chronic spinal disorder patients. A major barrier to treatment success.Spine15;22(20):2408-15,1997)
文献は、機能回復プログラムの卒業生(N = 473)から男性299人、女性174人に構造化されたインタビューを行い児童虐待の存在について評価した研究になります。
児童虐待歴のある79人の慢性腰痛患者の社会経済的転帰について、児童虐待歴のない慢性腰痛がある労働者のグループと比較しました。結果として児童期虐待の病歴は、上記のように慢性脊髄障害患者のより高いレベルの心理的苦痛に関連していることがわかりました。
痛みを遷延、長期化させるように修飾する心理社会的要因により、ADLやQOLに影響し手術に至ってしまっているのです。「児童虐待の経歴と運動器の痛みに関係があるんだ」、私はそんな驚きとともに、痛みの勉強と並行して虐待そのものについて学ぶ必要性を感じたのです。