2019年9月14日(土)に沖縄にて行われました「第6回日本糖尿病理学療法学会学術大会 生活習慣病への挑戦〜健康に導く力を共に考える〜」へ参加してきましたので、日頃あまり参加したことのない方へ学会参加LOGとしてお伝えします。
疾患名がついた唯一無二の学会
平成25年度より、12の分科学会と5つの部門が設立され、その中にあるのが今回第6回の学術大会を迎えた「日本糖尿病理学療法学会」です。この学会の趣旨は、
糖尿病は増加の一途を辿る国民病であり、理学療法士には糖尿病の基本治療である運動療法の専門家として、糖尿病チーム医療の主軸を担うことが期待されています。理学療法士による糖尿病患者への関わりは世界的にも類がなく、また、糖尿病理学療法に関するエビデンスは蓄積されていません。本学会は、糖尿病に対する理学療法の理論、介入方法および効果検証に関する学術研究の振興と発展を図り、世界に先駆けて糖尿病理学療法学の体系化を目指します。また、理学療法診療ガイドラインや成書の作成、糖尿病理学療法を専門とする人材育成への活動も推進します。
学会HPより引用:http://jspt.japanpt.or.jp/jsptdm/about/index.html
第6回日本糖尿病理学療法学会学術大会当日の様子
設立趣旨にもありますが、世界的にみても糖尿病患者への理学療法士介入は類がなく、現在日本では臨床・研究・教育の確立を向け日々活動されれています。
我々、理学療法士の専門となると脳血管疾患、運動器疾患に始まり、現在では様々な分野への進出を企てられていますが、その根底となる原因疾患に「糖尿病」があることも少なくありません。
つまり、今現在理学療法士が対応する患者さんの元をたどれば、糖尿病をはじめとした内部疾患の存在は無視できないのが現実です。
注目ポイント「JSPTDM沖縄表明2019」
我々理学療法士のニーズは、高齢者の増加とともに高まっています。一方で、一方、糖尿病腎症 や糖尿病足病変を有する患者への関わりは極めて少ないことが、「糖尿病足病変・糖尿病腎症患者における 理学療法士の関わりの実態調査」によってわかりました。
この現状を受け、糖尿病によって、運動機能が低下あるいは運動機能の低下が予想されるハイリスク患者に対して理学療法士の関わりを普及させるために、糖尿病の理学療法を専門とする理学療法士の育成、医療チームからの理解を得ると共に社会からの認知が必要であるとのことから、「糖尿病理学療法」の定義を作成し、これを広く発信すると、発表しました。
糖尿病理学療法の定義(第 3 期糖尿病理学療法学会 2019 沖縄表明) 糖尿病理学療法とは糖尿病によって、運動機能が低下あるいは運動機能の低下が予想 される患者に対して、理学療法評価のもとに医療法で示される運動、徒手的・物理的 手段を用いて行われる治療法であり、糖尿病の基本治療としての運動療法を含む。
第 3 期糖尿病理学療法学会 2019 沖縄表明資料より
今回の大会長賞は杏林大学村松 憲准教授
第6回日本糖尿病理学療法学会学術大会、大会長賞を受賞されたのは、POSTでもお馴染み杏林大学村松 憲准教授でした。昨年、POSTでも村松先生の1日セミナーを開催させていただきましたが、参加者一同「生理学をこの先生から学べばよかった」と思ったことと思います。
今回発表されていた演題、「糖尿病によって萎縮した大脳皮質運動野はスキルトレーニングによって回復する」として、糖尿病によって萎縮した大脳皮質運動野をスキルトレーニングによって萎縮の改善がみられたラットの研究でした。
以前の研究によって、「糖尿病ラットの大脳皮質運動野が萎縮することを発見」された村松先生が、さらにその萎縮をどのようにして改善するのか?の続きとなる研究で、今回の研究の続きはまた、来年北海道で行われる「第7回日本糖尿病理学療法学会学術大会」にて発表予定だそうです。
ちなみに、村松先生はすでに来年の北海道に向け“るるぶ”を購入。研究から観光まで、準備に余念がないようでした。
受賞者の記念撮影:中央左が村松 憲准教授