痛みに対するヒトの行動 性格特性が関与

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ヒトに対して痛みを伴う運動を実施したところ、痛みを過剰に避けるヒトは、痛みを伴わない運動でも運動の躊躇や恐怖反応が消えないことが明らかとなった。また、この研究成果はFrontier Behavioral Neuroscience誌に掲載されている。

ヒトの過剰な疼痛回避行動を捉える実験

The avoidance behavioral difference in acquisition and extinction of pain-related fear

 

10月17日、畿央大学大学院博士後期課程の西祐樹 氏と森岡周 教授らが、痛みを伴う運動を過剰にさける人は、痛みの恐怖が残存しやすく、その行動は性格特性が関係していることを明らかにしたことが、畿央大学ニューロリハビリセンターのHPに掲載された。

 

研究の内容は、44人の健常者(31人の女性と13人の男性 年齢20.9±2.1歳)を対象に、タッチパネルを使用した運動課題を実施した。

 

運動課題では、タッチパネルにて被験者が画面を塗りつぶしている間は痛み刺激を与え、特定の運動方向に特定の速度で塗りつぶすと痛み刺激が弱くなるという仕掛けを用意した。

 

そして、疼痛回避行動パターンを捉えるために、単なる塗りつぶしを行う練習段階、塗りつぶしで痛みが伴う獲得段階、痛み刺激が弱くなる仕掛けのことを伝えてから塗るテスト段階、最後に痛みを伴わない消去段階の順番で実験された。

 

このようにすることで、被験者を、過剰な回避行動をとるグループ(塗りつぶしを止める人)、疼痛抑制行動をとるグループ(痛み刺激を弱くした人)、疼痛行動をとるグループ(塗りつぶしを続けた人)の3つに分けることができた。

実験では、それぞれのグループの絵を描かないのに費やした時間と各試行中の特定の運動に費やした時間とそれぞれの平均を測定した。

 

その結果、過剰な回避行動をとるグループは、運動の開始時間に遅れが生じる運動の躊躇がみられ、恐怖反応も消去段階において残存していることが明らかとなった。さらに、過剰な回避行動をとるグループは、損害回避気質や特性不安が高いことを明確にした。

 

研究グループは、今後の展開にて痛み患者における回避行動を定量的に評価し、痛みの慢性化に寄与するのか調査する予定とのこと。

痛みに対するヒトの行動 性格特性が関与

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