備品・材料は豊富だが地域格差がある
発展途上国でのボランティア活動では、備品や材料をいかに調達し、ある材料で工夫するかというイメージだったのですが、私の配属先病院のスプリントの設備は日本よりも整っていました。しかも、スプリントの製作費は無料!短下肢装具もOTが作ってしまいます。患者さんがうつ伏せになり,一人のOTが膝,足関節を90度に屈曲させておき,もう一人のOTが成型するという二人三脚で作られる短下肢装具には本当に驚きました。
体に合っていない車いす
車いすはいくつかの種類があり、病院等、バリアフリーである環境であれば使用可能ですが、対象者の体に合った車いす,というわけではなく,サイズが大きすぎて不適合である車いす使用者の方が多く、車いすの調整等はあまり行われていませんでした。私が訪問した経験上では,重度の身体障害者・精神障害者の方が座位保持装置を使用されているのはごく稀で、療養施設入所もしくは、自宅でベッドに臥床されている方が多かったです。
使われていない福祉用具・ADL訓練室
福祉用具は、配属先病院では倉庫に詰め込まれていたり、ADL室はスタッフの休憩室と併用されてしまっており、非常にもったいない印象を受けました。一方で、配属先病院には、シューフィッターの時間が試導入されていたり、階段昇降機の紹介に福祉用具の業者が訪問したりと、臨床現場と福祉用具との接点はあり、このような場面は日本のリハ室と変わらないようにも思いました。私が訪問リハの活動で、出会った方は、下肢切断後、総合病院で義足を処方されておられましたが,断端不適合で,再受診にもまず階段を下りることが難しく,外出機会が減ってしまい,自宅で自閉的な生活を送っておられました。今後、もっと福祉用具や装具の判定や継続に利用できる環境作りに,リハ職種が関与する必要があると思いました。
原早恵子先生経歴
経歴
専門学校卒業後、精神科病院で6年,身障リハセンターで3年勤務した後、青年海外協力隊としてマレーシアの公立病院の精神科にて活動を行った。帰国後も、作業療法士として、高次脳機能障害を持つ方への社会参加に向けた支援を行っている。