PT協会のコバンザメはやめよう。政治家輩出を考える【大嶋 伸雄】

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「医師の指示のもと」という縛りにとらわれない

 

大嶋 そもそもの「リハビリテーション」という用語は、心理・社会的復帰(復権)という意味合いで使われていました。

 

作業療法はリハビリテーションの中の一部というイメージをお持ちかもしれませんが、そうではなく、「作業療法の中にリハビリテーション」があって、さらに行政、学校、福祉事務所、障害者の就労支援、企業コンサルテーションから認知症予防のための一般の園芸活動や旅行等も作業療法士が活躍できる分野なわけです。

 

何が言いたいかというと、いまだに、リハビリテーションの一部、医療職だけという枠組みで考えているから、理学療法士も作業療法士も米国のように職域を広げられないわけです。

 

医療職として考えるから「医師の指示のもとに」という縛りにとらわれてしまって、他職種と争って医療保険点数の取り合いをしないといけなくなる、最低です。それは職能団体の目指す方向ではなく、労働組合の賃上げ要求と同じだと思います。企業は業績が良ければ賃上げに応じますが、医療保険・介護保険は国民の税金であり限界があります。

 

アメリカではPTが公衆衛生の分野にどんどん参入していて、学校OTも盛んです。日本とは名前が同じなだけで、米国のPT・OTと日本とでは全く別の専門職になりつつあります。日本での作業療法は、いつまでだらだらとペグ移しや活動というの名の運動療法をやっていて「これが作業療法です」とごまかしているんでしょうね?

 

そんな時代はもう一刻も終わりにしないといけません。何かのきっかけで「理学療法士と変わらないから作業療法はもう必要ないね」と言われかねない時代となりました。

 

給料に関してですが、アメリカでは新卒作業療法士の平均年収で700万円もらえます。日本では、卒業して病院で10年経っても、年収400万円ちょっとしかいかない。

 

考えてみれば当たり前の話です。医療費全体でOT・PT・STの取り分はほぼ決まっています。一方で働く側は、毎年、作業療法士は5000人、理学療法士は1万人づつ毎年増えていくわけですから小学生でも判る計算になります。今後は、増えるわけがないのです。

 

ぼくが勤務する大学(首都大学東京)では、今、40人の卒業生のうち7~8人くらいは病院施設ではなく、企業や行政に進む人がいます。去年は1名、〇〇リゾートに就職しました。ホテルにくるお客さんが高齢化して、バリアフリー的な考え方やサービスが必要となってきて「障害があっても、温泉に行けます」というのを売りにしようとしているそうです。

 

以前は、宅配便の会社に進んだ卒業生もいます。その宅配便の会社は一人暮らし高齢者の見守りシステムというのがあって、地方自治体と連携し宅急便のネットワークを活用した高齢者の見守りという取り組みを行っています。

詳細は▶︎ https://www.yamato-hd.co.jp/csr/higlights/2016highlights02.html

 

いま、一般社会では高齢者が増え、企業のサービスでも高齢者の知識が必要になったということで、作業療法士に声が掛かるようになった。他にもそういった専門的知識を求めている企業はたくさんあると思います。もう病院だけで働く時代ではありません。

 

作業療法士協会もそういった新しい働き方を推進し、支援をしていくべきだと思います。厚生労働省にPT協会が陳情に行くのに、後からくっついて行くだけ、みたいな戦略はもうやめにして、OT協会はOT協会の路線を進むべきだと思います。

 

たとえば文科省とか経済産業省、他の領域での活躍の可能性を見出すような方面で、もっと力を入れてほしいと思っています。もしかしたら上層部では「作業療法士は病院を離れては生きていけない職業」という、ステレオタイプの思い込みが支配している可能性もありますね。

 

職能団体として政治家輩出をどう考える?

 

ー PTのように政治家を出していくことも大切だと思いますか?

 

大嶋 それは大いにありだとは思いますよ。政治力をつけて、あえて「医療だけ」という枠組みから離脱した方が良いと思います。今のままでは、いつまでも医師会・看護協会の顔色を伺わないと新しいことが何もできませんから。

 

訪問リハビリステーションの話も、〇〇協会と〇〇会による政治的圧力で潰されてしまいましたよね。もし訪問リハビリ・ステーションが実現できていたら、今頃すごい人気が出て、訪問〇〇は利用者が激減していたと思います。

 

ただ、専門職の代表として政治家を出すとなると、反発を生みやすいという問題もあります。今回、〇〇先生(元理学療法士連盟会長)が参議員議員選挙に出た時も、けっこう批判があったようですね。

 

学校OTに限って言えば、障害児の親の会とかそういう方達に、作業療法のニーズを知ってもらう方向で働きかけて、そちらから政治の方面に声を届けるというルートを作った方が良いし、それが意外と近道だと思います。

 

今の作業療法士協会は、完全にお役所化してしまっています。これも長い期間積み上げてきた事の宿命だと思います。

 

僕が立候補したのも「われわれは現在の方向性に非常な危機感をもってるぞ!」「いつまでも保険点数の労働組合やっていては困る」ことを理解してもらいたい。それで、ちょっと刺激を与えようと考えた訳です。

 

もしかしたら1度、すべてを壊し、一から組織を立て直したほうが早いのかもしれないですね(笑)。まあ、また2年後の選挙までに、なんらかのアクションは起こす予定です。

 

目次

【第一回】作業療法士協会に”喝”! 会長候補者選挙に出た理由

【第二回】PT協会のコバンザメはやめよう。政治家輩出を考える

 

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