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森田秋子先生-回復期リハの発展に情熱を注ぐ言語聴覚士 (ST)-

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PT-OT-STは相互関係で力を発揮する

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POSTインタビュアー:具体的に、脳損傷患者に対してセラピストは専門職別に見た時どうしたら良いのでしょう?

森田先生:脳が損傷されると、運動障害、認知障害、ADL低下が起きます。その状態からどうやって回復していくのか。運動は目に見えやすいけれど、認知は見えにくい。見えにくい認知を克服しないと、患者さんは良くならない。

STに、運動への興味を持たせることはとても有効です。STは運動が分かれば、自分が見ている領域が重要であることに気がつける。重要だと気がつけば、情報発信しようという気持ちになるでしょうから。

そしてPTが認知に興味を持つことも重要です。PTが認知をわかると、患者さんはもっと元気になります。やる気を引き出す声かけ、気持ちを乗せるプログラムが増えるでしょうから。

数的にOTは、はじめに生活を考える唯一の職種ですから、患者さんへの愛をたくさんもってほしい。そのためにチームメンバーをうまく使う。自分でなんでもできる職種だけど、やはりリハは1人ではできないので。全体をみて動かせるOTになってほしい.

森田

仕事としてのリハビリテーションについて

インタビュアー:最後に、森田さんにとってリハビリテーションという仕事とは?

森田先生:これは私の持論ですが、セラピストを管理するのに、キツキツマネジメントはだめなんです。ゆるゆるマネジメントがいいです。そもそも管理されたくなくてセラピストになっている人が多いですからね(笑)。

ある程度それぞれの個性を許容し、自由度を持たせ、想像力を発揮して、リハビリテーションを展開して欲しい。その時に豊かで人間的でクリエイティブなリハビリテーションが広がっていくはずです。

人生の半ばで障害を負った患者さんは、ほんとうに傷ついています。しかし、その状態からもがきながら苦しみながら、もう一度立ち上がろうとする姿にほんとうにたくさんのことを教えてもらってきました。

リハビリテーションセラピストは、ほんとうに素晴らしい仕事です。「死んでしまいたい」と思っていた人が、再び「生きていて良かった」と思えるようになる、その途中に関わらせていただくのです。

少しずつ専門知識と技術を磨き、それを提供しながら患者さんに「ありがとう」と言ってもらえることもある。こんな仕事は、そうそうないですよ。若い多くのセラピストが、ああこの仕事をやってきてよかった、と感じることができるように、私ももうしばらくがんばって働きます。

(終了)

<バックナンバー>

第一回:最大限の化学反応を起こすことに興味がある

第二回:PT-OT-STは絶妙な関係

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森田秋子先生経歴

昭和59年 慈誠会徳丸病院リハビリテーション入職

平成15年 国際医療福祉大学言語聴覚学科入職

平成21年 医療法人社団輝生会入職.初台リハビリリテーション病院・船橋市立リハビリテーション病院ST部門チーフ/初台リハビリテーション病院 教育研修部長/輝生会本部ST部門統括.輝生会本部法人総合企画室 高次脳機能障害支援事業担当(H25.4)

平成26年 珪山会鵜飼リハビリテーション病院 リハビリテーション部長  

<学位>

平成12年 リハビリテーション修士(筑波大学).修士論文タイトル「脳血管障害患者の日常生活活動能力における関連要因の検討」

<原著論文>

1) 森田秋子他::半側空間無視の長期経過とMini-Mental Stateの関連について.神経心理学,2002.  

2) 森田秋子他:半側空間無視の長期経過―机上検査で所見が消失した患者の経過を中心に―.日本老年医学会雑誌,2005.

 

3) 森田秋子他:失語症患者の排泄訓練における言語聴覚士の役割.言語聴覚研究,2005.

4) 森田秋子他:半側空間無視が基本ADLに与える影響.総合リハ,2006.  

5) 森田秋子他:失語症症例の回復期における認知機能の改善に関する検討-認知・行動チェックリストの試験的作成と運用-.脳卒中,2011.

6) 森田秋子他:認知機能を行動から評価するための認知関連行動アセスメントの開発.総合リハビリテーション,2014

 

<著書>

1) 森田秋子:評価・診断.標準言語聴覚障害学 失語症学.医学書院,2009

2) 森田秋子編著:PT・OT・STのための脳損傷の回復期リハビリテーション.三輪書店,2012.

3) 森田秋子編著:在宅・施設リハビリテーションにおける言語聴覚士のための地域言語聴覚療法.三輪書店,2014

<社会活動>  

回復期リハビリテーション病棟協会理事/日本高次脳機能障害学会評議員/日本リハビリテーション連携科学学会理事

     

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