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ベトナムのリハビリテーションの現状

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リハビリテーションに携わる主なセラピストは理学療法士

ベトナムにおいて、リハビリテーションに携わる主なセラピストは理学療法士です。理学療法では運動療法・物理療法を行いますが、機能訓練が重要視され、ADL訓練の重要性がまだあまり認識されていない印象を受けます。作業療法については、養成校を卒業し資格を取得した理学療法士が研修などを経て作業療法を行いますが、国による明確な基準はなく、施行内容や基準は各省や病院の裁量により異なります。言語療法についても、養成校を卒業し資格を取得した医師・理学療法士が、大学の言語療法コースで学び言語療法を行いますが、ごく限られた一部の病院でしか行われていません。作業療法・言語療法に関して、まだまだ医療従事者や家族からの認知度が低く、その知名度や理解の低さから、必要な患者に必要な訓練が行われていないのが現状です。

しかしながら、近年のベトナム国内の傾向として、理学療法のみならず作業療法・言語療法への関心が少しずつ高まってきており、海外からのセラピストの受け入れ(オーストラリア、欧州、日本など)を積極的に行っている印象を受けます。

北・中・南部にそれぞれ設置されている国立病院が拠点

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ベトナムには保健省(日本の厚生労働省のような省庁)が直轄する国立病院が3つあり、ハノイ(北部)のバックマイ病院、フエ(中部)のフエ中央病院、ホーチミン市(南部)のチョーライ病院となっています。それらは、各地域の医療機関及び教育機関として重要な役割を果たしており、総合病院として診療科数は20~40科、病床数は1,000床以上で、その稼働率は常に100%超え(廊下でも治療している状態)です。また研修生・実習生を積極的に受け入れ、人材育成も行っています。

しかし、それらの拠点病院同士の横の繋がりは弱く、どのリハ職種においてもベトナム全土で統一された職能団体がないため、地域差が生じやすい状況です。これには、ベトナムの歴史的・政治的な背景が大いに影響しています。理学療法士に関しては、教育体制が整ってきているものの、統一された理学療法士協会がないことから、近隣の発展途上国ですら加盟できているWCPT(世界理学療法連盟)に未だ加入できずにいます。

家族・身内による手厚いケアの二面性

ベトナムでは一人の患者に対し、家族や身内が手厚いケアを行います。入院中の身の回りの介助もすべて家族が行っています。ベトナムでは家族や身内の意識が強いため、家族や身内、近所の人たちまでもが積極的に患者に関わるケアに参加しています。その反面、家族の手厚い支援により、患者自身が障害を持ちながら自立(自律)する(できることは自分でする)という意識が低い印象を受けます。また、行政的なサービスも十分ではなく、肉体面や金銭面での家族の負担は非常に大きくなります。

今後、ベトナムにおいても日本と同様に「地域に根差したリハビリテーション」がますます重要になると考えられます。

執筆者経歴

経歴

玉村菜穂子RPT

2007年 熊本リハビリテーション学院卒業

2007年 ひょうご子どもと家庭福祉財団勤務

2014年~現在 JICA青年海外協力隊 ベトナム派遣  

岸田大樹RPT

2008年 両国リハビリテーション専門学校卒業

2008年 京都大橋総合病院勤務

2014年~現在 JICA青年海外協力隊 ベトナム派遣  

齋藤明子OTR

2008年 長野医療技術専門学校卒業

2008年 信州大学医学部附属病院勤務

2014年~現在 JICA青年海外協力隊 ベトナム派遣  

田代尚千恵STR

2010年 青照学舎 メディカル・カレッジ青照館卒業

2010年 長崎リハビリテーション病院勤務

2014年~現在 JICA青年海外協力隊 ベトナム派遣

ベトナムのリハビリテーションの現状

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