患者さんの一言から思いついた服薬用オリジナル自助具
POSTインタビュアー:神奈川県の作業療法士会のホームページって変わってて面白いですよね。オリジナルの手作り自助具のコンテンツとか後輩も真似して作っていましたよ。
作田先生:ホームページって受け身のメディアじゃないですか。最初、前任者から引き継いだ時にどうやったら閲覧者が増えるかなって考えたんですよ。着てもらわないと伝えたいことも伝えられないので。
目玉となるコンテンツを作りたいなーと思って、「必見!OTのすご技・アイデア集」というものを作りました。文ではなくビジュアルで訴えられるし、OTならではのものでいいかなと。現神奈川県OT協会の会長をされている錠内先生がJブランドというものをいろいろ作っていたのでオリジナル自助具と合わせてこのコンテンツとして作りました。
例えばこれ、なんだか分かります?
これは牛乳パックと、ペットボトルの上の部分で出来ています。ひらめいたキッカケはたまたま牛乳パックに900mlのペットボトルがスポッと入ったなっていう単純に感動したことからなんですけどね(笑)この偶然が何かに使えないかなって思いました。
ちょうど同じ頃、担当ではなかったのですが振戦の強い方が外来でいらっしゃっていて「こないだ薬を床にばらまいちゃって。その時床に落ちた降圧剤を犬が間違って食べちゃって大変だったんだー」という話を聞きました。
それで振戦があったり巧緻性が低下していたり失行があって力加減が上手く行かない人たちが安全に薬を開けられる自助具あればいいなと考えこれが完成したんです。まず、コップをこれで被せます。
上の穴が空いているところで錠剤を開けると、漏斗みたいにうまくコップの中に落ちる。あと粉薬もできないとと思い、割り箸もつけてこれが完成しました。割り箸の先に粉薬をはさめば、あとは片手でハサミで切れる。実際、何人か患者さんに作ってもらいましたけど反応はいいですよ。
作業活動の一環として自分で作れるというのはメリットだと思います。お金もほとんどかかりませんしね。既成品だと、細かい調整ができないのが、オリジナル自助具だとその人に合わせて作れる。
高さだってそうだし、例えばこの自助具だって粉薬が必要なかったらつけなければいい。さらに、牛乳パックでできているから、壊れたらまた作ればいいし安いですよね。自分で作ったものだと愛着も違うだろうし。
もちろん自助具というのはすべての患者さんに必要なわけじゃなくて、必要な人には必要。リハビリを続けていってその動作ができるようになったらそれでいい。動作を練習してももし習得できない場合に必要となる。自助具ってそういうものだと思うんです。
今現在、神奈川県のOTが考案した作品や、授業で学生さん達が作った自助具が多いです。例えばこれは、学生が考案してリハビリテーション工学協会が主催する福祉機器コンテストで優秀賞とった作品で「いつでも、どこでも、おむすびスルリン」というネーミングで、コンビニの三角おにぎりを片手で開けれるようにする自助具です。
他にも役立つコンテンツから、クスっと笑っちゃうコンテンツがたくさん!
作田先生:「作業療法TIPS&PDF」ていうコンテンツが一番人気ですね。臨床で役に立つ小ネタを集めたり、塗り絵やパズル、MMTなどの評価用紙をpdfファイルとして落とせるものです。「作業療法あるあるネタ」。投稿された「あるあるネタ」を数人で審査して掲載しています.「SVは考え方を学んで欲しい、学生は答えが知りたい」とか、「ラップの芯は必需品」とか(笑)ひらめいたら投稿を!
今後は、県士会のデータベースとして機能するよう、つまり県士会のことは「サイトを見れば何でもわかる」といった状態にするため他部署との連携をもっと深めたいと考えています。さらに、即時性のあるニュースを作業療法士の方に知ってもらうことや、OTの魅力を発信する側面も強化していきたいと思っています。
インタビューいただいた作田先生経歴
1993年 作業療法士国家資格取得,国家公務員共済組合連合会虎の門病院(分院)入職
2001年 現職の前身である昭和大学医療短期大学入職
現在、昭和大学保健医療学部作業療法学科に勤務
神奈川県作業療法士会のウェブサイトは2004年から担当
参考:神奈川県作業療法士会
キーワード
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