習慣的運動が認知機能に与えるプラスの効果は、もともと認知機能が低い子供ほど大きいー。
国立大学法人筑波大学 紙上敬太准教授と国立大学法人神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 石原暢助教は、ノースカロライナ大学、バーゼル大学、ノースイースタン大学との国際共同研究によって明らかにした。
▶︎ https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_07_03_02.html
近年のいくつかの研究により、習慣的運動による体力の向上が、学力と密接に関わる高次認知機能を改善させることが示されている。しかしながら、一方で、習慣的運動によって学力や認知機能が変化しなかったことを示す研究も報告されている。これらの矛盾した見解には、いくつかの要因が関わっていると考えられるが、今回の研究では、その中でも個人差に注目した。つまり、運動のプラスの効果が出やすい人と出にくい人がいるのかを明らかにするため、本国際共同研究チームがこれまでに実施してきた3つのランダム化比較試験を対象に分析を行った。
その結果、①運動トレーニング前にもともと認知機能 が低かった子供ほど、運動トレーニングによる認知機能の改善が大きかったこと、②運動トレーニング前から認知機能が比較的高かった子供でも、運動時間の増加によって認知機能が低下しなかったことが示された。
本研究は、日常的に運動する機会を設けることが、脳の健全な発達や学力の向上に重要であることを示唆している。