ATでなければ国際大会には帯同できない?
それは“まだ”そうなっていません。国体や国際大会に帯同するトレーナーには、資格取得を呼びかけ、積極的に推薦しています。
今後は、日本代表に関わるトレーナーの質を担保するため、その様に変わっていく事は、予想出来ます。今の所、AT(アスレチックトレーナー)の資格を持っている直接的なメリットはありません。
ただ、この資格を持っていたことで人脈はかなり広がりました。あとは、基本的に理学療法士が活動するためには「医師の指示のもと」が基本になるため、理学療法士の資格だけでのスポーツ現場での活動は、グレーな部分もあります。そこで、ATを持っていればATとしてのトレーナー活動が可能になると思います。
スポーツ理学療法士に執着していたわけではない
よく聞かれますが覚えていません笑。高校の同級生に言わせると、高校生の頃から言っていたそうですが、本当に覚えてないのであまり語れません。
ただ、群大(群馬大学)から初めて就職した上牧温泉病院へはスポーツ選手を診るために就職を決めました。特別スポーツだけに執着していたわけではなかったですが、目の前の事を全力で行った結果、色々と依頼をいただくようになりました。それも人脈があってこそ繋がった縁だと今になって思います。
学校選びの重要性
私が卒業した群大は理学療法学科だけでなく、色々な学部が集まっていました。私は水泳部に所属していたのですが、そこでの出会いがそれまでの人脈を築けたきっかけになったと思います。
特に良かったのが、水泳部には体育科の友達を通し、交流が広がりました。卒業後、その様な仲間を通し、トレーナー依頼されることが多かったです。
スポーツ理学療法をやりたい学生も多くいると思いますが、なかなか高校生の情報網で、どの学校がスポーツに強い学校かまではわからないと思います。
健康科学大学でも私が、赴任した時に学生トレーナークラブを作りました。どうしても授業だけだと知識を詰め込むため頭でっかちになりやすいですが、実際に選手を触る経験を積んでもらっています。
例えば、医療の中で求められる内容と実際の現場で求められる内容は全く違います。それこそ先ほどお話ししたような「即時効果」が非常に重要となってきます。
しかしながら、その様な技術や知識を在学中に身につける事は不可能です。もちろん私も、スポーツ現場に出始めた時は、全くできませんでした。
そうすると結局、その技術を学ぶのは、卒業後、臨床以外の時間で、個人の努力になります。ですので、在学中から、スポーツ現場で求められる事を、体感できる大学に進学していく方が、有利ではあると思います。
私が知る限りでも、そのような活動をしている大学がいくつかあります。この在学中の活動を通して「その違いに気づけるか」ということが重要であり、より早く実践している方が当然、気づくのは早いと思います。
【目次】
第一回:理学療法業界の危機
第三回:臨床家の手を育てる
第四回:愛のある臨床実習を
【成田先生プレミアム記事】
※書籍では掲載できない、臨床の話をしていただいております。
第一弾:前屈時の痛みは椎間板?それとも…
第二弾:理学療法の標準化
成田崇矢先生経歴
[資格]
理学療法士
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
JOC強化スタッフ(医・科学)
日本水泳連盟科学委員
日本水泳連盟飛込委員
日本水泳連盟医事委員
[学歴]
平成9年 3月 群馬大学 医療技術短期学部 理学療法学科 卒業
平成14年3月 群馬大学 医学部 保健学科 理学療法専攻 卒業
平成22年3月 筑波大学 人間総合科学研究科 博士前期課程 修了
平成25年3月 早稲田大学 スポーツ科学研究科 博士後期課程 修了
[職歴]
平成9年~平成12年 高徳会 上牧温泉病院
平成12年~平成20年 龍邦会 東前橋整形外科
平成20年 つくば国際大学医療保健学部理学療法学科 助手
[著書]