療法士のキャリアアップをどう考えるか
POSTインタビュアー:現場を見ないことも多いかなと思うのですが、やはり現場を見て、いろんな人とディスカッションする価値はとても大きいですね。
山内先生:地域が理学療法を必要としてくれる目線を作っていけるんですね。地域から経験的に「理学療法士からこうやってアドバイスを貰えばいいのか」、「こういうときに理学療法士を使えばいいんだ」とか、他職種に理学療法士のPRができるんです。逆に地域で、他職種にそういう反応があったと経験しておくと、入院中の患者さんにも還元できますよね。
例えば膝OAで手術を受ける予定の患者さんに対して、以前同じような患者さんの訪問に他職種と同行した経験があると、お家の段差の環境調整のアドバイスなどが出来たり、手術後の可能性の話も出来るので、患者さんにとってはとても優しくて、やる気も引き出すことができますよね。プロトコールの話だけでなく、そういう話ができることが重要だと思います。
POSTインタビュアー:そのコミュニケーションはとても重要ですね。
山内先生:そしたら患者さんが勝手に退院後を想定してくれるんですよ。手術をしてない人にとっては、手術した後の経験はないのでとても恐怖感を感じるわけです。目で見える形で伝えられる情報をどれだけ持っているかで、差は出てくると思います。大きい病院とか、回復期病院で働いていなくても、地域で働いていればそれが強みになりますしね。
POSTインタビュアー:山内先生にとって、療法士がキャリアをデザイン・築いていくにはどのようにしたら良いと思いますか?
山内先生:僕の病院勤務時代に、療法士のキャリアアップとは?と聞かれたら、「もっと勉強して、技術的に成長して。」とかだったと思うのですが、今は全然違いまして。「社会がしっかり評価してくれるような理学療法士になりたい。何か困ったら理学療法士に相談しようと言われる理学療法士になりたい。」と思っています。逆に今の日本ではそうではないということですが。
一般労働者に対して、産業医と同じように産業理学療法という形で、企業に介入して、キャッシュを取ったり、費用対効果も示し、利益も上げることが出来、社会を潤すことが出来るスタンスがあってもいいと思うんでが、今はそうではないですよね。
自分がそれを作れたらいいなと思いますし、それが今私のキャリアアップかなと思っています。
成果が出ないならその方法はやめるべき
インタビュアー:どう社会から見られているのかという視点は、あまりないと思いますよね。だから医療という枠に捉われている印象があります。
山内先生:もっと周りが使ってくれる自分になれたらいいですよね、シンプルに。病院の中でも良くて、看護師さんや介護士さんが理学療法士を使うとか、もっともっと療法士の魅力を出せたらいいなと思います。
インタビュアー:理学療法士が病院内の腰痛予防などをしても良いわけですよね。アドバイスをしたり、やっているところもあるが、少ないと思いますよね。
山内先生:やっているところはありますし、病院研修などでもやっていると思うんですよ。
だけど、現状が変わっていないから翌年も同じことをもう一度やっていますよね。その時点で成果がでていない、ということだとおもうのですが、成果が出ないことは辞めたほうがいいと思います。
理学療法士もそういった場面を見たら、このやり方ではだめなんだと気づくことが必要ですね。
<山内先生最新掲載記事>
2015年8月29日掲載 沖縄タイムス
*目次
【第1回】理学療法士は手の平から得られる情報が多い
【第2回】問題・課題の見つけ方
【第3回】病院時代と今との違い
【第4回】成果を上げるために必要な視点
山内義崇先生経歴
平成15年 理学療法士免許取得/沖縄リハビリテーションセンター病院
平成23年 ふくやま整形外科 理学療法士
平成24年 琉球リハビリテーション学院(理学療法学科)教員
平成25年 株式会社沖縄TLO産学官連携事業(ライフ・スタイルイノベーション)担当アソシエイト
平成25年 オフィス環境改善コンサルタント 開業
平成27年 株式会社aw'sc開業
<主な資格・活動>
沖縄労働局(健康安全課)平成26年~平成27年度 腰痛予防アドバイザー事業担当
VDT作業労働衛生教育インストラクター・腰痛予防労働衛生教育インストラクター(中央労働災害防止協会)
JPTA公益社団法人 日本理学療法士協会 産業理学療法研究会「腰痛予防」事業 九州・沖縄担当
「ラクナール」製品販売企業 ジェイワン・プロダクツ株式会社 顧問(エクササイズ・プログラム開発)
日本ルースィーダットン協会認定インストラクター(ベーシック)
作業管理士(日本予防医学会)
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