【特集:教育事業4.0】リハデミーのデータ革命

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 全国土日を見渡せば、何処かの会場で必ずおこなわれている療法士向けセミナー。そのステージは、オフラインからオンラインに移行した今でも、増加しているように感じる。そんな中、新たな新興勢力が着々と成長している。その会社は、リハテックリンクス株式会社である。

 

今回の特集で取り上げる「リハデミー」運営会社だ。代表は理学療法士であり、今風ベンチャー企業のギラギラした風貌をもつ大北社長。自身の入院経験から危機感を感じ、教育事業に着手。

 

 

この投稿が気になり、講習会ではなく教育事業であるという真意に迫るべく取材してみたので、一部始終をお伝えする。

教育事業の負債

イマイ
本日はよろしくお願いします。以前ツイートで「講習会事業ではなく教育事業だ」という発言がありました。この真意を教えてください。

 

大北さん
お願いします。そうですねおっしゃるように我々が行なっているのは教育事業です。まず前提としまして、講習会事業をやりたくて始めた会社ではないということです。我々の考える教育事業を実現するためのはじめの一手として講習会事業をはじめました

 

大北さん
起業当初は講習会を中心に展開していたため、講習会団体の一つだと捉えられてもしょうがないと思っていますが、長年何も社会に変化を起こせていない講習会事業とは違い、目的をもって取り組んでることが最大の違いといえます。

 

大北さん
今から4〜5年前に起業しましたが、すでに都市部を中心に行われていた講習会の形式にも疑問を感じていました。非常に事業者都合なビジネスモデルだなと。

 

大北さん
色々なテーマが乱立し、大人数に対して一方通行な発信をおこなう座学講習、実技指導にはそぐわない環境での実技講習や、高単価な講習。 オンライン教育の入口作り含め、これらを解消すべく講習会事業を行おうと思いました。

 

イマイ
そういう意味での教育事業ということだったんですね。つまり、講師から発せられる一方通行の講習会では教育にならない。または学べる環境に講習会がなっていなかったということですね。

 

大北さん
そうですね。我々は、入り口こそ講習会を行ってきましたが、あくまでも手段であり、目的は教育です。学びに対して臨場感が上がり、わかった風にするのではなく、知識をしっかり理解し、落とし込み、臨床につなげることが目的ですので、受講生には復習動画を配布するなど工夫を行なっています。実技講習会では、自社にセミナールームを用意し実技しやすい空間と人数で行い、“体験”というところにこだわりをもっています。

 

イマイ
“体験”というキーワードですが、オンラインでは別の“体験”を得られると思います。遠くに住んでいて学ぶ機会に恵まれなかった人、時間的制約のある人にはオンラインによって新たな体験が得られたと思います。でも、結局オフラインでもオンラインでも学ばない人は学ばないだろうとも思っています。

 

大北さん
もちろんそうですね。今は本当に欲している療法士に届けているだけです。ただ私たちのサービスを届けたいのは療法士ではなく、患者さんやそのご家族の人たちです。その人たちにしっかりと届くサービスにしなくてはいけません。だからこそ学ばない人たちにも変化を与えていかなくてはいけません。

 

大北さん
その一手として、我々は社会を巻き込みながら専門家が学ばざるを得ない状況をつくりたいと思っています。一般の方は決して医療リテラシーが高いとはいえません。自分の受けている治療が、良いのか悪いのか判断できない場合が多いでしょう。しかし、判断できなくとも、判断しようとする目を養うことが少しでもできれば、現場の療法士の姿勢も変わってくると願っています。その時に、全ての言いわけをカバーできるように、リハデミーでは用意していきたいと思っています。

 

イマイ
医療を受ける側がリテラシーを高めれば、確かに療法士の姿勢は変わりますね。同時に、“学ばない人は学ばない”わけですから、オンライン教育が充実すればするほど“大きな分断”をうむように思います。

 

大北さん
確実に分断は進むと思います。だからこそ“卒前教育”からも介入が必要だと考えていますし、卒後教育でもオンラインだからこそできるアダプティブラーニングを実現し、教育から生まれる価値の最大化ができるようサポートしていきます。

 

大北さん
オンラインならではのログデータで、「何を学んで何ができる療法士なのか」を明確にできます。このデータは採用側にとって参考になるデータです。ただ受けるだけの講習会から、受けた後どのような選択肢があるのか、それを含めたサポートを考えています。

 

教育の標準化

イマイ
いま、“卒前教育”というキーワードが出てきました。現在養成校の数は260校以上ありますが、教育レベルはバラバラです。ここにメスを入れるのですか?

 

大北さん
はい、バラバラだと思います。だからこそオンライン学習を活用して、メスを入れる必要があると思っています。我々はリハ業界の教育に“標準化”されたものがない点を問題視しています。この業界の“標準化”された教育システムを実現するために、社外取締役として藤本修平先生に就任いただき、顧問として森岡周先生、竹林崇先生をお招きしました。

 

 

イマイ
(…囲ったな。)

 

大北さん
リハデミーでやることは教育コンテンツを集めるのではなく、教育システムとして機能するサービスを創ることです。そのため、コンテンツは、“量”ではなく、コンテンツを結ぶ線をいかに増やしていけるのか?ということだと考えています。コンテンツ制作に関して、顧問の先生を含め日々打ち合わせを行っていますが、みなさんここを共通認識として取り組んでいます。

 

イマイ
手厚いですね。ちょっとイジワルな質問ですが、リハデミーは非常に手厚いサービスだと感じます。受講者の手を引いて「こっちからこの順番でこう学ぶといいよ」と言っているように思います。やらな過ぎてもダメですが、やり過ぎも依存を生みます。この辺りのお考えを教えてください。

 

大北さん
おしゃる通りだと思います。ただ、何からどう学べばいいのかわからない、取捨選択ができず、意思決定が難しい人もいます。そういう人たちも多くいる中で、「我々はこんだけ用意してる」「やるのは個人次第」というのはあまりに無責任だと考えています。リハデミーはそういう方々でも、“最短距離で標準的な知識を身に着ける”ことが必要だと考えています。もちろんそのあとは自由に学んでもらうことも可能ですし、ステップアップしていくためのサービスも併せて開発を進めています。そのまず第一ステップとして、教育サービスを提供する上で、標準化されたカリキュラムを用意するのが我々の役目だと思っています。

 

受講履歴があなたの価値に

イマイ
お話を伺うと、協会がやるべき内容にも近いのかなと思っていますが、この辺りの住み分けはいかがでしょうか?

 

大北さん
業界に変革をもたらすためには、やはり似た動きになると思います。しかし、公益社団法人と株式会社では目的や動きは、全く異なります。我々はあくまでビジネスとして、収益を最大化しつつその収益をさらなる事業の発展に投資をしていきます。ただ協会と共存してできることがあれば積極的に行っていきたいですが、依存関係にはしたくないですね。

 

イマイ
おっしゃる通り公益社団法人と株式会社の社会的目的も存在理由も異なるものですね。一方で“似た動き”という点で、教育を受けた証のようなもの、つまり認定制度の導入を考えているのかなと思います。その点いかがでしょうか?

 

大北さん
そうですね、デジタル修了書のような認定制度は考えていて、学習意欲向上、スキルの見える化を図ります。このデータや学習ログを用いて、教育の体系化作り、人事評価項目での活用など、人材育成の効率化とスピード化を促進できるサービスを導入予定です。

 

イマイ
MOOCのようなものですね。

 

 

Massive Open Online Course (MOOC、ムーク) またはMassive Open Online Courses (MOOCs、ムークス) は、インターネット上で誰もが無料で受講できる大規模な開かれた講義のことである。代表的なプラットフォームとしては「Coursera」「edX」や、日本版としてはJMOOCが提供する「gacco」「OUJ MOOC」があり、条件を満たせば修了証が交付される。

Wikipediaより引用

 

大北さん
そうですね。その点で、弊社は森岡先生、竹林先生、藤本先生のような医療専門家に加え、元グーグル米国本社副社長兼グーグル日本法人代表取締役社長の村上憲郎さんにも社外取締役としてジョインしていただいただいておりますので、IT、教育についての一次情報をより早くリハデミーに落とし込んでいきます。

 

元グーグル米国本社副社長兼グーグル日本法人代表取締役社長の村上憲郎氏と、大阪府立大学 地域保健学域 総合リハビリテーション学類 作業療法学専攻 教授の竹林崇氏がリハテックリンクスに参画

PR TIMESビジネスさんの投稿 2020年5月2日土曜日

 

失われたアウトカムの創造 

イマイ
ここで少し、未来の話をしたいと思いますが、リハデミーが行う未来戦略はどのようなものでしょうか?私の勝手な考えは、海外展開、他職種展開等は当然考えてらっしゃるのかなと思っています。

 

大北さん
そうですね。おっしゃるように考えてはいます。海外展開について、輸出入両方考えていますが、今はジャパンブランドを確立できるように国内教育の“標準化”を行うことを優先したいため、時期尚早と思っております。

 

大北さん
そのほか他職種に関しても、我々ビジョンとして掲げている「リハビリテーションに関わる全ての人が幸せな社会を実現する」を叶えるためにも、医師、看護師含め介護士やその他の職種を巻き込んだチーム医療に必要な教育にも着手予定です。

 

大北さん
2025年問題や30年問題など今言われていますが、その時代を一つの基準として“上場”も視野に入れています。

 

イマイ
これまでの講習会とは明らかに違う点として、出口戦略を含んだ教育があると感じました。リハデミーを通じて学んだ人がそれをどう社会に還元するのか?そこまでサポートするのがリハデミーということでしょうか?

 

大北さん
まさにその通りで、これまでは「ただ与えるだけで学んだ結果、特に何も変わっていない」のが現状だと思います。つまり、講習会事業者や団体に“アウトカム”がなかったのだと思います。どう社会に還元するかまではサポートできませんが、どういう可能性があるかを示すことはできると思っています。教育を通して療法士の価値を最大化できる世界をどんどん創っていきたいですね。

 

イマイ
アウトカムという話が出ましたが、リハデミーのサービスをここまで受け、認証を得たからある程度の質を担保しますよ。というものになるのでしょうか?

 

大北さん
いえ、療法士の質を担保するというものは現実的には難しいと思っています。担保できるぐらいやれよと言われそうですが、認証はあくまで学習履歴に基づくものであり、そのデータだけで弊社が療法士の質を担保し、責任を取れるものではありません。リハデミーで提供する教育教材の質の担保はもちろん行いますが、療法士の質の担保までは現実的に難しいと考えています。

 

媚びないサービス、媚びない会社

イマイ
実際、先駆的にオンラインで教育コンテンツを配信して色々なデータを取得されたと思いますが、これまで取得したデータでわかってきたことはありますか?

 

大北さん
言えない部分も多くありますが、わかったことは非常に多くあります。その中でも学ぶ姿勢というのは、やはり偏りがあります。その一つとして、講師のネームバリューが大きく関わってきています。その結果からいえることは、「何を学ぶのか?よりも誰から学ぶのか」というバイアスが強いことがわかりました。

 

イマイ
業界あるあるですね(…わたしは媚び続けます)

 

大北さん
少し悪い言いかたですが、先生依存の強い業界だと感じています。今はSNSも浸透し、誰でも講師になれてしまう時代です。宣伝のうまさがあたかも実力の証明かのような様相を呈していて、ミスリードされた情報がどんどん溢れかえってきます。弊社は、誰に学ぶかではなく何を学ぶかという点を重視します。一つの分野ですら1人の先生だけで完結してしまうことなんてないのです。

 

大北さん
我々が目指すのは、「媚びないサービス、媚びない会社」 講師や療法士に媚びてしまうサービスは全くもって社会のためにはなりませんし、教育とは呼べません。自分が何をつくりたいかではなく、社会には何が必要か、という視点からサービスを創り上げていきたいと思います。

 

イマイ
講師に依存した教育によって「何を学ぶべきか」というログデータが、スッカラカンだったということですね。逆にいうと、どんなデータが「何を学ぶべきか」を決定するデータになるのか、非常に気になるところですね。

 

大北さん
そうですね。今後、どんなデータ集めればいいのか、それをどう使い、どうサービスを変えていくのかは、社内メンバー、顧問の先生と相談しながら行なっていく予定です。

 

イマイ
そのデータが何か、非常に興味があります。それでは最後に、リハデミーないしリハテックリンクス株式会社の未来構想をお聞かせください。

 

大北さん
リハデミーに関しては、まだリリースできていない教材や機能などが非常に多く、もう少しリリースまでに時間はかかってしまいますが、近いうちにリニューアルしたリハデミー2.0をお披露目できるかと思いますので、お楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。また、具体的なところでいくと産学連携として、ある大学と共同でエビデンスの創出にも関わっていきたいと思っています。

 

大北さん
未来構想としては療法士はじめ、リハビリテーションに関わる全ての人が幸せになれる社会の実現を目指し、多角的な教育サービスを通して支援していきます。リハビリテーションに関わる教育会社と言えば、リハテックリンクスだよね。と、皆さんの共通認識となる企業にしていきますので、引き続き宜しくお願いいたします。

 

産学連携(さんがくれんけい)とは、新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携することをいう。政府・地方公共団体などの「官」を加えて、「産学官連携」「産官学連携」ともいう。

Wikipediaより引用

 

イマイ
ありがとうございました。リハデミーの世界観を少しだけですが、垣間見ることができました。それでは本日はありがとうございました。

 

大北さん
ありがとうございました。

 

ー続く。

 

【目次】

序章:教育事業1.0~4.0までの歩み

第1章:リハノメを支える3人のペルソナ

第2章:リハデミーのデータ革命

最終章:教育事業5.0で起こることーオンライン学習で失われるものー

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