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最終章【特集:教育事業4.0】教育事業5.0で起こることーオンライン学習で失われるものー

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 本日で、「教育事業4.0」の最終章である。序章(教育事業1.0~4.0までの歩み)では、1966年の協会設立から2020年現在まで、54年の歴史を振り返り、教育事業の発展を追った。そこで明確になったのは、大きく変化を遂げているのがここ20年の話であるという事実である。

 

そして2020年、新型コロナウイルスによって大きく社会が変わった。リモートでの仕事や、オンライン飲み会など、不要な接触を避ける機会が増え、教育事業においてもオンラインセミナーが急増した。

 

その中で、前回、前々回配信した2社の特集記事において、オンラインセミナー事業者の目的や想い、今後の展開などが垣間見えたことと思う。まだ、ご覧いただいていない方は前回、前々回の記事からご覧いただければと思う。

 

そして本日最終章は、これまでの総まとめ。取材しながら気がついたオンライン事業の未来を予測。非常に偏った私見を、本日はお送りしたい。ぜひ、未来のインサイダー情報をご覧あれ。

 

リハノメとリハデミーの違いとは?

 まず、取材を通して私自身が感じた両サービスの違いを図で説明したいと思う。リハノメは年間200タイトルを揃え、巨大な箱を用意し多様性に富んだコンテンツを用意している一方で、リハデミーはシステマチックに管理された教育システムをオンラインならではのデータ取得により構築。いわば、学ぶ順番や学ぶコンテンツを、二人三脚で手を引きながら学ぶ場である。

 

リハノメはその膨大な情報と一隅を照らすコンテンツ。巨大ではあるものの、細部の作りは繊細に作り上げている印象である。リハデミーは、コンテンツの時間数でいうと、最大であり一つ一つのコンテンツを繋げる巧妙な仕組みが光るサービス。たての高さ他、4次元的な奥行きを感じるサービスである。

 

どちらにもメリットデメリットは当然存在するが、“学ぶ目的”に応じて異なる。どちらが良い悪いではない。個人的には、情報を大量消費しあらゆる知識を満遍なく詰め込むにはリハノメ。超システマチックに、最短距離で最低限必要な知識・技術を身に付けたいならリハデミーと考える。

 

両社の欠点を取り上げるとすれば、リハノメでは己で考えなければ、ただの情報消費で終わる。リハデミーでは手厚い教育システムゆえ、甘えた受講者となる。当然、これらの欠点には両サービスとも対策はするだろう。

 

しかし、最終章でお伝えしたいことは、便利になった世の中で確実に失われるものがあるということである。あえて最終章でお伝えしたいのは、オンラインで学びやすくなった時代に生きる、受講生の心得である。少々厳しい未来構想になることを事前に断っておく。

 

オンライン教育で起こる“分断”の未来

 第1章、第2章でも語られた共通点それは、「分断」である。1966年に110名の理学療法士で構成された時代を“統合”と考えると、教育システム向上に伴い分断が進んでいるといえる。いや、教育をする上で分断は必要であったということだ。

 

2対8の法則(パレートの法則)でも、2対6対2の法則などあらゆる分断法則がこの世には存在するが、紛れも無い事実であるということはみな経験済だと思う。

 

先に分断未来の結論から言っておくが、オンラインで学びが便利になって喜んでいる場合ではないということだ。受講したらOK、受講しなければNGということでもない。では何が“違い”をうむのか?

 

「学びをどう生かすのか?」おそらくこれに集約される。学んでも、何も考えず行動に移らなければただの消費である。何も変わらなければ、何もやっていないのと同じだ。「あなたはリハノメ、リハデミーから与えられた情報をどう使いますか?」これに明確な回答がないあなたは、きっと分断社会に巻き込まれることだろう。

 

きっと「明日からの臨床にいかす」だけでは、具体的な行動には移せない。さて、あなたが人事担当だったらどんな療法士に働いてもらいたいだろうか?また、どんな療法士には働いてもらいたくないだろうか?消費されるだけの療法士にならないために考えていこう。

 

終身雇用がなくなる未来

 医療の垣根を超えて、もう少し大きな枠組みで考えてみたいと思う。療法士といえども、社会においては「社会人」として一括りにされる。社会人として、今の世の中がどのような状態にあるのか確認してみる。

 

働くことにおいて、日本は非常に恵まれた国である。社会保障をはじめ安全面でも世界トップクラスではないだろうか。一昔前は、勤めていれば終身雇用は当たり前。さらに、我々のような国家資格保持者はより安泰だったことだろう。

 

それが一転、昨年の日本自動車工業会の豊田章男(現トヨタ自動車社長)会長会見にて「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。

 

この発言は多くの反響を得た。世界有数のトヨタ自動車であっても「終身雇用を守るのが難しくなる」と語っているのだ。だからといって、すぐに解雇できない理由がある。

 

日本は世界に比べ、解雇規制が非常に厳しい国だ。その中でも、「整理解雇の4要件」というものがある。

 

1,人員整理の必要性:企業が客観的に、高度の経営危機にある状態が要件。「赤字だ」「経費削減したい」では適用されない。

2,解雇回避努力義務の履行:これは正社員を守るために、努力したのかが問われる。正社員を守るため「新卒採用の中止」や「非正規社員を解雇すること」を奨励している。よくある「希望退職者の募集」はこれにあたる。

3,被解雇者選定の合理性:一般的には、

 1)解雇しても生活への影響が少ないもの
 2)企業再建・維持のために貢献することの少ないもの
 3)雇用契約において企業への帰属性が薄いもの

4,手続の妥当性:従業員に十分に説明しているか否かがポイント。いきなり説明なしの解雇は許されない。

 

実は上記4項目のうち、どれかに当てはまればいいわけではなく、4つ全てにあてはまらなければならない。つまり、ほぼ正社員の強制解雇は日本において不可能である(倒産等は話が異なる)。

 

上記の内容が変更されるには、まだまだ時間がかかるだろう。「終身雇用は守られるのでは?」と考えられるが整理解雇の4要件の「2,解雇回避努力義務の履行」をみて欲しい。ここで守られるのは“正社員”であり「非正規社員を解雇すること」は奨励しているのだ。

 

もし、終身雇用の精度が変わらないのであれば「雇用条件」が代わり、非正規雇用での勤務を余儀なくされる可能性がある。「派遣は?」との声もあるが、現状制度では、療法士の派遣はできない。しかし、規制緩和の可能性は十分にあり得る。ともなれば、より正規雇用から離れていくのだ。

 

オンラインにより、分断され「成果に対して報酬が支払われる人」は正規雇用となり、「手順に対して報酬が支払われる人」は非正規雇用、という縮図も考えられる。恐怖ばかり与える内容ではあるが、考えられる未来の一つなのだ。

 

リハノメVSリハデミーどちらが勝つのか?

 一度、オンラインセミナーに話を戻そう。

 

きっとタイトルのような視点で傍観するものもいるだろう。ここで断言しておくが、両社の敵はお互いではなくもっと“大きいもの”である。序章でも伝えた、可処分時間。つまり暇な時間は平均は2.6時間しかないのだ。

 

つまり、世にある様々な学習ツールや娯楽ツール、そのほか余暇を楽しむツール全ての企業がこの2.6時間を奪い合っている。つまり、リハノメ、リハデミーの敵は、Netflixであり、Amazonなのだ。もっといえば、ディズニーでありUSJになる。

 

今回の特集で最も伝えたいことの一つは、ここだ。取り上げた2社をVS構造でとらえ、どちらのサービスを受けるか悩んでいる場合、その悩み方は正しいとは言えない。今悩んでいるのは、どちらのコンテンツが良質であり、支払った額の元が取れるか。これを投資回収率(ROI:Return On Investment)と呼ぶが、残念ながらそのような対立構造でとらえている時点で、投資回収は赤字になるだろう。

 

なぜなら受け身の体制で学ぼうとしているからである。両サービスは当然、利用者が有意義に使えるよう、コンテンツやシステム、デザインまで細部にこだわる。細部にこだわるほど、受講者は受け身になる。

 

これは便利になるほど加速する。オンラインで便利に学べる今、そのサービスを受ける者も変わらなければならない。何度でもいう。行動なき受講は、ただの情報消費であり“情報浪費”である。便利なサービスの到来は、本来人間に備わる生存本能を弱体化するのではないかと思う

 

今、オンライン教育に求められているのは、コンテンツでもサービスの多様性でもない、受講者自身の変革なのだ。

 

レコメンドの穴

 さらにオンラインが受け身の強化となる理由について解説したい。オンラインによって「オススメ」を紹介される機能はユーザーにとって非常に便利である。これをレコメンド機能という。アマゾンを利用すればわかるが、一度買ったものとその類似品を自動的に紹介されるアレだ。

 

広告においても、検索した内容と類似した広告がすぐに反映されることに気がついた人もいると思う。広告出稿側とすると、ユーザーの興味関心に合わせて広告を配信できるのはメリットも多い。人によっては、これを気持ち悪いと感じた人もいるだろう。

 

今では、価格にも影響している。一度、試してみてほしいのだが検索する国、人によって航空券の値段が変わっているのだ。おそらく、ホテルの値段も変わることと思う。すでに、データは個人に合わせて値段を切り替える時代である。レコメンドされるということは“検索機会”の減少どころか、価格までコントロールされる時代。

 

これが教育に導入されたらどうだろう。レコメンドの良い点は受講者の標準化を定めるには非常に向いている。データによって、足りている能力足りていない能力をわけ、足りないものを補うことで標準化は進むだろう。そして、最適化されたコンテンツが個人によって振り分けられる。ここまでは、オンラインによって自動で可能となる。

 

しかし、最適化には一つピースが足りない。差別化だ。今の業界内教育構造はにおいて、もっとも注目されていたのは“差別化”だったと思う。差別化をはかることで、希少性を提示したかったのだ。しかし、今問題となっているのは標準化である。標準化と差別化があって、最適化されると考えると、このバランスが絶妙に難しいと感じる。

 

つまり、オンライン事業者の標準化だけでも、受講生側の差別化だけでも最適化されない。この両者のバランスこそ最適化への道ではないかと考える。

 

教育事業5.0

 これまで分断社会に起きることを、医療の枠から外れ社会という大きな流れから考えてみた。さらにその先、分断後に何が起こるのか?4.0のアップデートを迎えた今、5.0の未来を考えてみたい。

 

まず、業界における分断と統合の歴史をさかのぼる。まずは診療報酬の視点から。理学療法料が算定されはじめたのは1958年。協会設立が1966年であり、それよりも8年早く診療報酬の改定が行われていた。

 

幾度となく改定がおこなわれ、2006年ついに理学療法料、作業療法料が「疾患別リハビリテーション料」と統合された。別々の歴史をたどる言語聴覚領域も例外なく統合された。ここで考えたいのは、この制度がこの先の未来、再度分断されるのか?という点である。おそらくその可能性は低いだろう。

 

それどころか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの資格を統合する資格が現れるかもしれない。では分断された部分とは何か?ある意味で、専門〇〇、認定〇〇は分断になるのかもしれない。このように、統合の中に分断があり、分断の中に統合が見え隠れする。

 

では、オンライン教育によって分断された教育は、どうなるのか?統合ということを考えれば、有識者が集まり標準を決める状態はある意味で統合だろう。ともなれば考えうるのは入場宣言だ。基準が設けられ、その基準を突破した場合に限り出入りが許される“鍵アカ”が作られる。誰でも入場できるコミュニティとは違う場である。

 

ある意味で入場制限をかけなければ、質の担保は難しいはずだ。学校教育において、基礎学力で入場制限を設ける仕組みは“入試”と呼ばれる。入場制限は、教育分野だけではない。

 

例えば、観光業においてその国、島の生態系を守るため入島制限、入国制限をかける場所がある。これも、国、自然の“質”を守る対策だ。“質”を守るためには、接触人数を避けることが求められるのだ。質が守られれば希少性が増し、高額化する。

 

ある意味、4.0では良質なコンテンツが安価で受けられる時代だろう。安価になれば競争は激化する。競争を抜け出すのは新しい価値を提供するもの。新しい価値であり、そこにしか無い価値は高額化する。そして高額化した先には何が待っているのか?これが新たな分断だ。さらなる分断で5.0を迎える。

 

価格や、価格ではない“何か”が基準となり入場制限をかけられた教育事業が5.0のアップデートになり、もうすでにその準備が始まっているのだ。

 

ー完ー

 

編集後記…

 この企画を立ち上げてから取材までに1週間、取材から制作までで2週間。みなさんの手元に情報が届くまでに約1ヶ月を要します。「もっとはやく出せよ」と、おっしゃる通りですが、「早かろう良かろう」ではないというイイワケをしておきます(きっとこの言い訳が通じなくなる時代が来ると胸に刻みながら)。

 

今回、各SNSを通してオンラインサービスのありかたに興味をもち、個人的には「オンライン教育で教育は達成できない」と考えていました。この企画を立ち上げてから、SNSではサービスに関する意見交換が激化しているようにうかがえます。

 

実は、この最終章の結論は今回のように書く予定ではありませんでした。しかし取材を通して、そして今のSNSの状況をみて、正直な意見として最終章を書き上げました。

 

当然、不安に思った人、不快に思った人もいるでしょう。でも、書かなければいけないと思いこの形としました。これまで以上に大量の情報がみなさんの周りには溢れるでしょう。そしてその情報の選択を、各企業が“サービス”として提供します。

 

非常に失礼ながら、そのような状態は、スマホにアプリをインストールしている状態に思えて、人がロボットになっているように感じてしまいます。ロボットが人間の仕事を奪うとも言われますが、私にはどうも人間がロボットになっているようにしか見えないのです。

 

この特集を通じて、人間が人間である意味を考えるきっかけになっていただければ幸いです。そして最後に、わたしからみなさんに両サービスの選び方を提案したいと思います。

 

ぜひ、どちらのサービスも必ず一度は使用してほしいのですが、どちらかのサービスを選ぶ前にこの質問を自分に投げかけてみてください。

 

「どちらのサービスと共に成長していきたいのか?」

 

消費者としての選択ではなく、両会社の株主という視点でサービスを選ぶと、学び方が変わるのではないかなと思っています。消費ではなく投資という考え方でぜひ、リハノメ・リハデミーをお使いいただければと思います。

 

PS.

すいませんもう一つ、私の可処分時間の過ごし方はサーフィンと映画鑑賞ですが、みなさんにオススメの映画があります。2011年の話題作。ジャスティン・ティンバーレイク主演の「TIME」という映画です。通貨が時間となり、人類は25歳で成長が止まります。

 

お金持ちではなく、この時代では“時間持ち”が富の象徴。時間持ちによって分断された社会では一体何が起こったのか?現在と照らし合わせながらぜひ、みなさんの可処分時間をこの映画に使用してみてください。

 

POST:今井 俊太(@shunta0701

 

 

【目次】

序章:教育事業1.0~4.0までの歩み

第1章:リハノメを支える3人のペルソナ

第2章:リハデミーのデータ革命

最終章:教育事業5.0で起こることーオンライン学習で失われるものー

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最終章【特集:教育事業4.0】教育事業5.0で起こることーオンライン学習で失われるものー
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