社会に”使ってもらえる”療法士になるために
POSTインタビュアー:成果があがるように理学療法士がその病院オリジナルのデザインを組んでいない現状があるということですよね。
山内先生:だから今、労働局が動いて、理学療法士がいる医療・介護施設の中に動いて、僕がアドバイスをしている現実があるわけです。つまり現場では全然評価されていないということですよ。
もっと他の戦略でやるべきことは多くあるということです。看護師の腰痛問題解決法として介助動作指導だけに固執している専門職の方がなんだか、おかしいですよね。社会のニーズに沿っていないことになります。それでは社会に使ってもらえる理学療法士にはなれませんよね。
POSTインタビュアー:療法士として、「患者さんを診るものだ」という固定観念があるから、自分の職場の職員を治そうという気持ちや戦略は、意識としてないのかもしれないですね。
山内先生:一つ言えるのは、医療人としての視点だけでは、成立しないということを理解しておいた方が良いと思います。そう思えたときに、別の業種の視点や新しい視点が、やっと入ってくるので。
そのときにどういう展開で、ビジョンで、アプローチしたら病院などを含めた企業で、費用対効果を出せるかという本物のデザインが出来ると思います。
POSTインタビュアー:今後のビジョンをお聞かせください。
山内先生:そうですね。多分ビジョン作りって、医療人として生きてきた中で、皆さんしていないと思うんですね。どういうことかと言うと、ビジョンというのは、これまでに経験していなかったものを作り出すということがビジョンづくりになるのです。
つまり毎年”痩せること”が目標では、ビジョンとは言えない。今の時代にはない、これからの時代に必要なものは何かというものを作らなければいけなくて。それを考えるときに、過去のことを想定したり、探ったりすると思いますが、それは辞めたほうがいいと思います。
過去にあったという情報は、これから必要な情報にはならないので。これからに必要なビジョンというのは、これまでの既成概念にまったく捉われないで、新しく作っていかなければ出来ない。
これはコンサルするときに、赤字の企業を黒字に転換するときにもビジョン作りをしますが、過去のストーリーを探ってもだめなんです。
そこを、腹を括り、ビジョン作りをしていくことが重要。僕のストーリーはこれまでにないものを作っていく。僕は最終的には産業理学療法が、社会で評価され、僕だけでなく、他の療法士が働ける土台を作るというのが、最終目標ですね。
自分がとことん楽しめることをトライする
インタビュアー:では、最後に療法士を目指す高校生や学生さん、若手療法士に向けてメッセージをお願いします。
山内先生:僕が学生の頃の話をすれば、人に寄り添うことが出来ていない未熟な学生時代でした。基本的なものが欠けていたところからスタートしています。
今の学生さんも、若いセラピストも、それなりの悩みやストレスは色々とあると思いますが、トライ出来る環境があると思います。そして出来る幅というのは人により差があります。でも差があるというのを魅力にとってみて良いと思うので、自分が楽しめるところや関心を向けられるところに、とことんやってみるのは今しかないです。たくさん楽しまれて、周りに感謝して、有意義にやったら良いのではないかと思います。
今の理学療法士のスタンスではなく、新たなもっと幅の広い、もっと患者さんを理解し、サポート出来る理学療法士になってくれたら嬉しいなと思います。
頑張れ!!
*目次
【第1回】理学療法士は手の平から得られる情報が多い
【第2回】問題・課題の見つけ方
【第3回】病院時代と今との違い
【第4回】成果を上げるために必要な視点
山内義崇先生経歴
平成15年 理学療法士免許取得/沖縄リハビリテーションセンター病院
平成23年 ふくやま整形外科 理学療法士
平成24年 琉球リハビリテーション学院(理学療法学科)教員
平成25年 株式会社沖縄TLO産学官連携事業(ライフ・スタイルイノベーション)担当アソシエイト
平成25年 オフィス環境改善コンサルタント 開業
平成27年 株式会社aw'sc開業
<主な資格・活動>
沖縄労働局(健康安全課)平成26年~平成27年度 腰痛予防アドバイザー事業担当
VDT作業労働衛生教育インストラクター・腰痛予防労働衛生教育インストラクター(中央労働災害防止協会)
JPTA公益社団法人 日本理学療法士協会 産業理学療法研究会「腰痛予防」事業 九州・沖縄担当
「ラクナール」製品販売企業 ジェイワン・プロダクツ株式会社 顧問(エクササイズ・プログラム開発)
日本ルースィーダットン協会認定インストラクター(ベーシック)
作業管理士(日本予防医学会)
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