60年以上にわたる大規模追跡調査により、思春期の時点で「興味や好奇心を大切にしたい」という価値意識(内発的動機)を強く抱いた若者は、高齢期の人生満足感が高いー。
東京都医学総合研究所・社会健康医学研究センターの山﨑修道主席研究員、西田淳志センター長らは、ロンドン大学と共同研究を行い、第二次世界大戦直後に英国全土で開始され60年以上にもわたって継続されてきた大規模追跡調査のデータを分析し、明らかにした。
▶︎ http://www.igakuken.or.jp/topics/2020/0916.html
思春期は、成人した後の人生のあり方に大きな影響を与える時期ですが、思春期の何が、高齢期の幸福感に影響を与えるか、今まで実証的には明らかになっていなかった。
英国ロンドン大学が所管する60年以上にわたって継続されてきた大規模追跡調査により、思春期の時点で抱いていた「興味や好奇心を大切にしたい」という価値意識(内発的動機)が強いと、高齢期の幸福感が高まり、「金銭や安定した地位を大切にしたい」という価値意識(外発的動機)が強いと、幸福感が低くなることを明らかにした。親の社会経済的地位や、本人の学歴によらず、この関係が認められた。
加えて、自己コントロール力が低く生きづらさを抱えやすい若者が、外発的動機が強い場合は、高齢期の幸福感の指標である人生満足感が顕著に低くなることが分かった。