はじめに:療法士は社会人マナーがないのか?
「マナーがなっていない」
これは療法士として社会人一年目に上司からよく指摘される言葉の一つです。そこで指摘されるマナーとは、言葉づかいであったり、挨拶の仕方であったり、各状況に応じた所為所作だったり……今ではメールの文章もマナーに入ります。
では、それを学ぶ機会はどこにあるのでしょう?現実的には実社会の中で、指摘されたり、失敗したりしながら、他者のやり方を模倣して学んでいく事が多いのではないでしょうか?それは多くの人間が今までしてきた事です。
ただ、学ぶ機会は多い方が良いですし、事前に学び方を知ることで対応の仕方の幅が広がる事は大切だと思っています。
巷では「療法士は社会人としてのマナーがない」と言われていることもあり、この面はしっかりおさえておく必要があります。
そこで本日より連載としてPOST編集部で「国家試験対策」を担当している理学療法士の野田卓也氏のマナー講座を配信致します。
野田氏は社会人経験を経て理学療法士になったこともあり「若手療法士の社会人としてのマナー」について危機意識を持っており、この連載で自身の経験を元に社会的マナーについて若手や学生を中心とした多くの療法士に知ってほしい点をまとめています。
”当たり前のこと”として社会人マナーができるように、この機会に是非身に付けて下さい。
敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)とは
まずは言葉の基本からです。なんだが国語の授業のようですが、『基本なくして応用なし』です。面倒くさがらずお付き合いください(笑)
近年、文化庁は「敬語の指針」というのを発表しておりまして、謙譲語と丁寧語をそれぞれ二つに分け、3種類から5種類の提案をされているようです。ただ、若干ややこしくなってしまうので、ここでは従来の3種類でご紹介いたします。
1.尊敬語とは
その人自身や、その人の行動、その人の所有物や、その人がおかれている環境などを高めて表現することにより、その人に対する敬意を表わします。
2.謙譲語とは
自分や、自分の行動、自分の所有物や、自分がおかれている環境などをへりくだって表現することにより、相手に対する敬意を表わします。
3.丁寧語とは
「お」「ご」などの接頭語をつけたり、「です」「ます」をつけたりすることで、丁寧な表現をすることで相手への敬意を表わします。
【アプリなどの活用】
最近は、敬語に関するアプリもあれば、下記サイトのように単語を敬語に変換してくれるサイトもあります。メールなどの文面作成時は、そういったものを活用するのも一つの手段でしょう。
敬語変換URL: http://keigo.mobi/
しかし、直接のやりとりに関しては「頭ではわかっているけど難しい」という方は多いのではないかと思います。
じゃあ活用する為にはどうすればいいのか?ということですが、それは、やはりインプットとアウトプットが一番。
例えば、いつも何気なく聞き流しているお店の従業員の言葉。職場の上司のやりとり。よく観察してみてください。
そこにはたくさんの敬語が乱れ飛んでいます。
そこで次の項目では、実際に職場で耳にする事が多い相手で変化する敬語(呼称)の使い方を見ていきましょう。
相手の立場で変わる上司の呼び方
例え話ですが、自分が所属するリハビリテーション科の主任が山本さん(仮名)という方だったとします。同じ山本さんでも相手次第で呼び方が変わります。実際に見ていきましょう。1.相手が職場外の人(患者さん、取引先など)の場合
相手「こんにちは。山本さんいらっしゃいますか?」
自分「こんにちは。“山本”でございますね。恐れ入ります。大変失礼ですがお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
→基本的に職場外の人に対し、職場の人間の名前を出す時はそのまま呼び捨てと言う形になります。
また、
2.対応者:自分 相手:職場内他部門の人(看護師など)
相手「お疲れ様です。山本さん(山本主任)いらっしゃいますか?」
自分「お疲れ様です。“山本主任”ですね。少々お待ち下さい」
→職場内他部門の人間に対しては、名称+役職や「さん」付けで呼びます。
電話応対時は外部からの連絡が多いので、1の呼び方が多いですし、内線応対時は2の呼び方が多いのは理解して頂けると思います。ちなみに同じ職場の同じ部門、つまりリハビリテーション科内の同僚同士では、役職者は役職のみ。今回の件では「主任」として呼ぶ事が多いです。役職なしの方の場合は、○○さんということになります。
これを使い分け、対応する事は職場や部門のイメージにも作用しますので大事なことなのです。