肥満の原因として、現在の個人の社会経済的な状況の他に、子供時代の経験、とくに被虐待体験が関わっているー。
神戸大学大学院の田守義和特命教授らの研究グループは、2万人を対象としたアンケート調査(最終有効数5425件)に基づく研究で明らかにした。
▶︎ https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_11_26_01.html
神戸市は市民の健康状況を把握するため、2018年に20歳以上65歳未満の市民2万人を対象に生活状況や健康課題に関するアンケート調査を行った。田守特命教授らは、このアンケート調査の有効回答のうち本研究へのデータ利用許可を得た5425件の結果をもとに、「万病の元」と言われる肥満がどのような個人の生活背景と関連するかを検討した。
肥満と関連する社会生活背景について検討したところ、女性では、肥満者と正常体重者の間で、雇用状況、世帯の経済的状況、学歴、中学高校時代のクラブ活動、15歳の時の経済的な状況、子供時代の逆境経験といった項目で差があった。さらに、肥満の成立に影響すると予測されるのは、婚姻状態、世帯の経済的状況、学歴、子供時代の逆境経験だった。
一方、男性では調査したいずれの項目でも統計学的な差がありませんでした。子供時代の逆境体験の具体的な内容としては、親からの身体的暴力、食事や衣服を適切に与えられない事、親からの侮辱や暴言によって心が傷ついたこと、などが挙げられた 。