京都大学こころの未来研究センター千島雄太特別研究員らの研究グループは、未来について考えることがネガティブ感情を軽減させるのではないかという仮説を立て、未来の自分を想像して手紙を書くことの効果を実験的に検証したー。
ポイント
- ・未来について考えることがネガティブ感情を軽減させるのではないかという仮説を立て、未来の自分を想像して手紙を書くことの効果を実験的に検証。
- ・738 名の実験参加者が1年後の自分へ手紙を書く「未来への手紙条件」、1年後の自分から現在に手紙を書く「未来からの手紙条件」、現在の生活についてのみを書く「統制条件」にランダムに割り当てられた。
- ・ポジティブ感情と時間的距離化の得点については、手紙の前後で増加が認められた。
- ・効果のメカニズムを探るために媒介分析を行った結果、手紙を書くことの効果は、時間的距離化の増加によって説明されることが示された。
- ・今後、この点について検討するとともに、手紙を用いた介入プログラムなどを考案し、メンタルヘルスの改善にとって効果的な取り組みを進める予定。
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▶︎https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2021-03/210217_Chishima-bc14314a8f07b9cc6bb6fc52d7f08fc1.pdf
<論文タイトルと著者>
タイトル:Temporal distancing during the COVID-19 pandemic: Letter writing with future self can mitigate negative affect(パンデミック下での時間的距離化:未来の自分との手紙はネガティブ感情を軽減させうる)
著 者:Yuta Chishima, I-Ting Huai-Ching Liu, Anne E. Wilson
掲 載 誌:Applied Psychology: Health and Well-Being
DOI:https://doi.org/10.1111/aphw.12256