奥野恭史 医学研究科教授、小島諒介 同特定講師、中村和貴 同博士課程学生らの研究グループは、弘前大学COIにおける協和発酵バイオ株式会社、弘前大学との共同研究において、AI技術の一種である機械学習と階層ベイズモデリングを組み合わせることで、個人の健診データに基づき、個人個人に最適で効果的な健康改善プランを提案するAIの開発に成功しました。
近年の機械学習技術の目覚ましい発展により、個人の現在または将来の健康状況を高性能に予測するモデルの作成が可能になってきています。しかし、高性能な予測モデルは予測過程がブラックボックス化されており、これを用いて個人ごとに効果的かつ具体的な健康改善プランを提案することは困難でした。
今回、本研究グループは、高性能な機械学習モデルに加え、階層ベイズモデルを用いることで、一人ひとりにあわせた「実行しやすい」健康改善プランを提案するAIを開発しました。また、開発したAIを岩木健康増進プロジェクトにより取得された健診ビッグデータへと適用し、その有用性を示しました。本研究成果は個別化医療における健康介入に貢献していくことが期待されます。
本研究成果は、2021年5月25日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図
論文タイトルと著者
タイトル:Health improvement framework for actionable treatment planning using a surrogate Bayesian model
階層ベイズモデルを利用した実行可能な健康改善プランを提案するフレームワークの開発
著 者 :Kazuki Nakamura, Ryosuke Kojima, Eiichiro Uchino, Koh Ono, Motoko Yanagita, Koichi Murashita,Ken Itoh, Shigeyuki Nakaji & Yasushi Okuno
掲 載 誌:Nature Communications
DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-021-23319-1
注)紹介している論文の多くは、単に論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎません。論文で報告された新たな知見が社会へ実装されるには、多くの場合、さらに研究や実証を進める必要があります。最新の研究成果の利用に際しては、専門家の指導を受けるなど十分配慮するようにしてください。