脳卒中と認知神経リハビリテーション

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お読みいただきありがとうございます。理学療法士の唐沢彰太です。皆さんは、認知神経リハビリテーション(認知神経リハ)を聞いたことがありますか?1970年代にイタリアの医師ペルフェッティ先生が提唱した治療理論で、1990年代に日本に一人の理学療法士が持ち込みました。この認知神経リハは、脳卒中患者のリハビリに大きな【気付き】を与えてくれたことはあまり知られていません。そこで今回は、認知神経リハビリテーションを紹介しつつ、脳卒中患者のリハビリに与えた影響について書いていきます。

閉眼して訓練することの意味

認知神経リハでは、訓練中患者さんには目を閉じてもらいます。これは脳卒中後、体性感覚の障害や運動障害を補填する目的で視覚が過剰に使用されてしまうことが由来となっています。目を閉じることで、体性感覚に注意しやすくなり、動作中の体性感覚の役割を再獲得しやすくなり、運動学習が促進されます。


この<訓練中の閉眼>は、認知神経リハ特有であり、この閉眼だけでも認知神経リハが脳卒中リハにもたらした影響は計り知れません。脳卒中の患者さんのリハビリを今行っている人は、ぜひ1度患者さんに閉眼してもらってください。今まで気づかなかったことを、たくさん気付かせてくれます。目で見ていれば「そこに手がある」ことがわかりますが、閉眼したとたん手がどこにあるのかわからなくなる患者さんがいると思います。


これは単なる感覚障害ではなく、手がどこにあるかわからないことは動作や行為に大きな里強を及ぼしてしまいます。今から行為を行う時に無意識的手の位置を認識しますが、手の位置が分からない患者さんは、意識的に「手を探す行為」が追加され、スムーズに行為が出来なくなってしまいます。
これは1つの例に過ぎないため、他にもいろいろな問題が生じてくるため、閉眼することの意味は非常に大きいと言えます。

 

情報性がもたらした新しい視点

脳卒中と認知神経リハビリテーション

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