普段から小児を対象としている方にとっては当たり前の知識になると思いますが、そうではない方は学生以来触れていない知識かと思います。しかし、認知症専門外来を認知症疑いで受診した患者446名のうち、7名(1.6%)が発達障害(ADHD)であったことが判明し、発達障害が加齢により後天的に顕在化する可能性が示唆されています1)。このように私たちが接する可能性があるため、特徴などに関しては理解しておく必要があると考えています。
発達障害とは
発達障害者支援法では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意血管多動性障害その他これに類する脳機能の障害があってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。また、発達障害がある者であって発達障害及び「社会的障壁」により日常生活・社会生活に制限を受けるものと定義されています。①脳機能の障害であること、②低年齢から症状を認めること、③症状により日常生活・社会生活に制限が生じることが基準になり、症状を認めても日常生活や社会生活に困ることがないと診断には至りません。
狭義の発達障害には自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習障害(SLD)の3つが含まれます。それぞれが独立しているわけではなく、重複している例も多いです。そのため、それぞれの特徴に当てはまることが難しくなりますが、理解することが非常に重要になります。
ASDとは
自閉症スペクトラム障害(ASD)は臨機応変な対人関係が苦手であることや自分の関心やペースなどを最優先させたいという本能的指向が強いことを特徴とする発達障害の一種であると言われています2)。大きな特徴に関しては社会性困難・こだわり・感覚の異常に分けることが出来ます。
社会性に関しては対人交流・言語的コミュニケーション・非言語的コミュニケーションに分けられ、以下のようの部分に問題が生じます。この様な特徴があり、社会性に問題が出ることが考えられます。