皆さん、こんにちは。火曜日担当の藤本裕汰です。本日もよろしくお願い致します。本日は脳卒中の分野で非常に有効となるプライミングについて解説していきます。
プライミングとは
プライミングとは、過去の刺激に基づく行動の変化と定義されています1)。プライミングは暗黙学習に分類され、1回の学習エピソードの後に生じます。また神経疾患に対して、障害を軽減する回復的介入として有効な手段として考えられています。プライミングの根底にある一般的な理論は、先行する活性化方法によってプライミングされた脳はそれに伴う訓練により反応しやすくなるというものです。トレーニング前またはトレーニング中にプライミングを行うことで神経活動が亢進し、長期増強(LTP)または長期抑圧(LTD)のようなメカニズムの獲得が促進されることを前提としています2)。つまり、プライミングとは事前運動・準備運動の様なイメージであり、その後の運動にポジティブな効果をもたらします。
種類に関しては以下の5つが挙げられます1)。
(1)刺激に基づくプライミング
(2)運動イメージと行動観察
(3)感覚入力の操作
(4)運動に基づくプライミング
(5)薬理学に基づくプライミング
プライミングの種類
ここからは先ほど挙げた5つに関して解説していきます。
(1)刺激に基づくプライミング
刺激に基づくプライミングに関しては磁気刺激や電気刺激を用いたプライミングになります。種類に関しては4つ挙げられ、①反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)、②経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、③ペアの連想刺激(PAS)、④末梢神経電気刺激(PNS)があります。
これらの刺激についてメカニズムに関しては半球間抑制が関与していると考えられています。半球間抑制とは左右の脳がお互いを抑制し合っていることで、脳卒中により左右の抑制のバランスに障害が生じます。非麻痺側の過剰使用により麻痺側が過剰に抑制され、回復の阻害になると考えられています。そのため、麻痺側を活性化し非麻痺側を抑制するように刺激し効果を得ようとしています。