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腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法

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腰部脊柱管狭窄症(LSS)は、神経圧迫を引き起こす一因として、腰椎の異常な前弯(前湾)に着目が必要です。この症状は特に、間欠性跛行を引き起こす股関節の伸展制限や、歩行時のステップレングスの短縮といった問題をもたらします。腰椎前弯が強調されることで、下位の腰椎に負担がかかり、狭窄症状が増強されます。これには、胸郭の屈曲位や胸椎の後弯が大きな影響を与えるため、これらの調整が理学療法において重要です。

Rossouly分類

脊椎外科の領域では、側面レントゲンによる矢状面パラメーターの評価が広く行われています。これにより、機能障害や生活の質(QOL)に関する洞察が得られ、個々の患者に対して最適な脊椎の配置を決定するための詳細なデータが提供されます。特に重要なパラメーターにはSVA(sagittal vertical axis)、PT(pelvic tilt)、TK(胸椎の後弯角度)、LL(腰椎の前湾角度)、SS(仙骨の前屈角度)およびPI(pelvic incidence)があり、これらは治療前の詳細な計画と評価に不可欠です。

多椎間LSSにおいて、ルースリーのクラシフィケーションでは4つのタイプに分類されます。Type3がニュートラルな脊椎alignment、Type4が胸椎後弯が強く腰椎前弯も大きいタイプ、Type2がフラットバックと呼ばれるタイプ、Type1がType2から下位腰椎前弯が強くなったタイプです。

LSS329名の患者を分類すると、Type1とType2に該当する方が各33%と、全体の約70%を占めていました。これらのタイプは下位腰椎の前弯が選択的に強くなっており、その結果、神経症状が悪化していくことが特徴です。

このような下位腰椎前弯の増大を抑えるためには、単なる腰椎の安定化運動だけでなく、他の脊椎分節も含めたアプローチが必要だと考えられます。具体的には、胸椎後弯の増大や骨盤アライメントの改善など、総合的な介入が重要となってきます。

このように、多椎間LSSの患者では下位腰椎前弯の過剰な増大が問題となることから、その抑制に向けた適切な理学療法アプローチを検討する必要があると考えられます。

脊柱の代償機構の理解

バレーらのグループがこの脊柱の代償機構ということで一般的に加齢変化を起こしてくると、頭の位置が前方に落ちてくることが知られています。これを「SVA」と呼び、C7から降ろしたラインが仙骨の中に入っている状態が理想的だと言われています。この姿勢を保つためには、骨盤の後傾、下位腰椎の前弯、胸椎の後弯の減少といった3つの代償機構が非常に重要です。

この3つの代償機構に着目すると、狭窄症の患者では下位腰椎の前弯が強くなりがちです。このため、骨盤の後傾を少なくし、胸椎の可動域を広げることで、下位腰椎の前弯への依存度を減らし、神経症状を緩和できると考えられます。

具体的な介入方法としては、下位腰椎の前弯を安定させる運動や、骨盤の前傾を促す運動が有効だと考えられます。また、胸椎の後弯を増大させることで、下位腰椎の前弯を抑えることもできます。これらの3つのアプローチを組み合わせることが、狭窄症の保存療法において重要だと報告されています。

 

理学療法による介入

理学療法では、特定の運動を用いて腰椎の安定性を高めることが目指されます。これには、背臥位での下位腰椎部分へのタオルを用いた圧迫や、運動中の腰椎屈曲位の安定化が含まれます。これらのエクササイズは、患者自身が意識しながら行いやすく、自宅でも継続可能です。これにより、下位の腰椎前弯の依存度を減らし、神経症状が出るリスクを軽減することができます。

▶︎アプローチ動画は参考動画のセラピスTVでご覧いただけます。

参考文献

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6422292/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15682018/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3830026/

参考:腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法(セラピスTV)

【目次】

チャプター1:【解剖・運動学的背景】はじめに/腰部脊柱管狭窄症ってどんな疾患なの!? (1)
チャプター2:【解剖・運動学的背景】腰部脊柱管狭窄症ってどんな疾患なの!? (2)
チャプター3:【解剖・運動学的背景】腰部脊柱管狭窄症に由来する症状?・他の症状?
チャプター4:【解剖・運動学的背景】腰部脊柱管狭窄症に由来する間歇性跛行って何?
チャプター5:【解剖・運動学的背景】理学療法/リハビリテーションは、腰部脊柱管狭窄症(LSS)に対して、有効なの!?
チャプター6:【検査・アプローチ方法】どうしたら下位腰椎の前弯を少なくできるの?/下位腰椎前弯の減弱:腰椎にはどのようにアプローチするの?
チャプター7:【検査・アプローチ方法】下位腰椎前弯の減弱:骨盤にはどのようにアプローチするの?(1)
チャプター8:【検査・アプローチ方法】下位腰椎前弯の減弱:骨盤にはどのようにアプローチするの?(2)
チャプター9:【検査・アプローチ方法】下位腰椎前弯の減弱:胸郭にはどのようにアプローチするの?
チャプター10:【症例提示】①患者教育にフォーカスした症例 (1)

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腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法

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