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データ駆動型心拍数制御システムを開発 ~トレーニング・リハビリテーション等の運動強度をオーダーメードで自動調整~

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研究の概要

兵庫県立大学大学院工学研究科・大学院環境人間学研究科・先端医療工学研究所、三菱電機エンジニアリング株式会社、コスタリカ大学の共同研究グループは、個人ごとに最適な運動を提供する新しい制御技術を開発しました。この技術では、運動時のデータから制御方法を最適化することにより、オーダーメードの運動を実現することができます。一般に、運動強度から心拍数までの伝達特性は個人ごとに異なりますが、この技術を用いれば各個人に必要な強度を時々刻々調整することで、理想的な運動強度を実現することが可能になります。無理なく適切な運動を行うことにより、健康寿命の延伸はもちろんアスリートの激しい運動や心臓リハビリテーションなど医療分野を含む幅広い分野に貢献することが期待されます。

研究の背景

Well-being の実現のためには Quality-of-Life(QOL)の向上が求められますが、超高齢社会においては健康寿命の延伸が不可欠です。健康寿命の延伸は個人の幸福に資するほか医療費抑制にも繋がることから社会にとっても望ましいものですが、そのためには適切な強度での運動を行う必要があります。運動強度の指標として心拍数が用いられているため、心拍数を適切に上昇させるように運動すればよいのですが、無理なく安全に心拍数を上昇させるためには、運動強度を常に適切に調整しなければなりません。このためには、心拍数のフィードバック制御が有効ですが、運動強度に応じた心拍数上昇は個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに制御方法を調整する必要があります。このような調整方法の必要性は広く知られておりましたが、これまで有効かつ容易に利用する方法は提案されていませんでした。

研究の内容

個人の特性に応じて必要な運動強度を提供するために、個人ごとに運動強度を調整するシステムを開発しました。開発したシステムでは、運動強度を調整する制御方法を個人の運動データから決定されます。この方法はデータ駆動制御と呼ばれ、従来のモデルベース法に比べて制御方法の決定プロセスが単純化され、かつ、性能向上が期待できます。安静時から心拍数を上昇させる検証実験を 20~50 代男女の健常者を対象として行ったところ、約40%の性能向上が確認できました。この実験では、最終的な心拍数へ至る過渡応答と呼ばれる時間変化に伴う状態も含めて安全に制御ができることも確認できました。

研究の展望

今回の研究では健常者が安静時を初期状態として軽く汗をかく程度までの運動実験を行いましたが、急激な強度上昇が必要なアスリート向けの激しい運動を過不足なく実現することも可能であると考えられますので、スポーツ科学分野での検証が期待されます。また、アスリート向けとは真逆に非常に緩やかな強度上昇のみが許される医療機関におけるリハビリテーション等へ応用し、医療の質を広範囲に向上させることを目指します。

研究成果の発表

本研究の成果は、2024 年 7 月 24 日にネイチャー・リサーチ社の国際学術雑誌「Scientific reports」にオンライン(open access)掲載されました。

Volume 14, article number:17270, DOI:10.1038/s41598-024-67680-9

タイトル:Personalized Heart Rate Management Through Data-driven Dynamic Exercise Control

著者名:Takao Sato, Tomoka Nishino, Natsuki Kawaguchi, Kiichiro Murotani, Yuichi

Kimura, Isao Mizukura, Hisashi Mori, Hayato Uchida, Syoji Kobashi & Orlando Arrieta

佐藤 孝雄*1,西野 智香*1,川口 夏樹*1,室谷 樹一朗*2,木村 雄一*2,水庫 功*2,

森 寿仁*3,内田 勇人*3,小橋 昌司*1,4,オーランド アリエッタ*5

*1 兵庫県立大学大学院工学研究科

*2 三菱電機エンジニアリング株式会社

*3 兵庫県立大学大学院環境人間学研究科

*4 兵庫県立大学先端医療工学研究所

*5 コスタリカ大学

用語説明

※1 伝達特性:対象に何らか働きかけを行った際、時間と共に対象が変化する様子

を表したもの。

※2 運動強度:運動時の負荷であり、運動におけるつらさ・きつさに相当。

※3 健康寿命:健康上の問題により日常の活動に支障なく生活できる期間。

※4 フィードバック制御:操作を行った結果を確認することで動作を修正しながら

       操作する制御方法。

※5 モデルベース法:伝達特性を数式モデルで表し、その数式に基づいて設計する

       方法。

※6 データ駆動制御:伝達特性の数式モデルを利用せず、運動データから直接設計

       する方法。

※7 過渡応答:運動を始めてから心拍数が一定もしくは規則的に変化する状態に至

       る前段階における心拍数の変化の様子。

詳細︎▶︎https://www.u-hyogo.ac.jp/news/pressrelease/20240816press.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単純論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎました。 さらに研究や実験を進める必要があります。十分に配慮するようにしてください。

データ駆動型心拍数制御システムを開発 ~トレーニング・リハビリテーション等の運動強度をオーダーメードで自動調整~

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