先月のパリにおけるテロ事件をうけて、日本の皆様へメッセージ
2015年12月パリにて、
一月前の2015年11月13日、パリはテロ集団による無差別攻撃で死亡者132人−重軽傷者352人という歴史的事件に襲われました...悲しみと恐怖が蔓延する中、フランス国民に勇気と希望を与えてくれたのは世界中の人々の支えでした。
各都市の有名建造物を青白赤の“トリコロール”にライトアップした映像や暖かいメッセージは多くのパリジャン達の心に響きました。パリ15区のジョルジュ・ポンピデゥ国立病院では前代未聞の救急医療対策に通称白作戦“プラン・ブラン”(異常事態にのみ実行されるERプロトコル)を発令した。救命に携わった医療関係者全ては正に戦場のようであると表明した。
(引用元:http://ringosya.jp/paris-tero-prayforparis-13329)
その後、心身ともに深く傷ついた被害者達は今も尚、治療を受けながら少しずつ立ち上がろうとしております。銃弾による裂傷や逃げる際に外傷を負った多くの患者が一命を救われ現在各病院でリハビリテーションを受けています。
理学療法士として、今何ができるのか。
私自身フランスの理学療法士として、リハビリテーションの歴史と重要性を思い出しながらこの状況下で、どう我々が人々に役立てるかを改めて考えさせられました。第一次世界大戦、フランスは650万人の負傷兵を抱えながら終戦を迎えました。当時の人口の16%が障害者という深刻な事態に政府は可能な限り帰還兵の社会復帰を願いました。
ここで始めて国への貢献としてリハビリテーションが高く評価され、後に理学療法士という職業が国家資格として認められることとなりました(1946年)。当初は整形外科患者や運動機能回復を主に任されていたセラピスト達ですが、徐々に他分野においてもその活躍の幅を広げることとなりました。
1946年では二年制だった理学療法学も1963年には3年制となり、今年の9月からは全国の育成機関全てが4年制に統一されました。言語聴覚士の育成においては2013年より5年制となり、言語聴覚学の重要性が再認識されました。
地道な活動が国を動かした。
元来理学療法専門学校のみしか存在しなかったフランスですが、新しい改正法案により全ての学校は大学との提携を義務づけられました。フランスのPT教育を世界基準にもっていくために長年PT学生協会やPT協会は厚生労働省と交渉を繰り返し、待望の育成制度改変を可決させることが出来ました。
PTの開業率が8割を越えるフランスでは主に技術的な面が重要視されており、大学院へ進学する者は少なかったため研究や実験に携わるセラピストは比較的少数派でした。今でも専門性を高め、他職種を集めた新規の多機能型診療所が多く誕生しております。