24日、参議院経済産業委員会において、理学療法士で参議院議員の田中昌史氏(自由民主党)が最先端技術の開発支援と半導体産業振興について質問を行いました。特に北海道千歳市に立地するラピダス社の先端半導体製造プロジェクトについて、地域経済への波及効果や電力供給など多岐にわたる課題を取り上げました。
先端技術開発支援について
冒頭、田中議員は量子コンピューターや宇宙開発、次世代革新炉など先端技術分野に対する政府の投資支援について加藤経済産業大臣政務官に質問しました。
加藤政務官は「将来の日本の稼ぐ力を生み出す産業育成が不可欠」とした上で、量子コンピューターについては「我が国の産業競争力や経済安全保障上最も重要な科学技術分野」と位置づけ、世界最高水準の研究開発拠点整備や企業連携、人材育成などを進める方針を示しました。宇宙開発や次世代革新炉についても、安全保障やカーボンニュートラル実現に向けた重要技術として取り組みを加速させる考えを示しました。
ラピダスプロジェクトの経済安全保障上の意義
田中議員は、次世代半導体の国内生産を目指すラピダスプロジェクトの経済安全保障上の意義について質問。経済産業省の奥谷審議官は「最先端のロジック半導体はそのほとんどが台湾で生産されている」現状を踏まえ、「非常に重要な半導体を他国に依存するのか、国内で生産できるようになるのか、今まさに分岐点に立っている」と強調しました。国内製造基盤強化と需要創出の両輪で、半導体の設計製造エコシステムを国内に構築することの重要性を述べました。
半導体事業者への金融支援
法案で予定されている金融支援について、田中議員は「短期的なリターンのみを追求するのではなく、中長期目線で支援対象事業者の財務基盤を支えていくことが重要」と指摘。経済産業省は「短期的なリターンを追求する目的ではなく、次世代半導体の量産に向けて事業者の財務基盤を強化し民間からの資金調達を促進することが目的」と回答しました。
半導体投資による地域経済への波及効果
田中議員は熊本県のTSMC進出による経済効果について質問。奥谷審議官は「TSMCの進出決定以降、熊本県では86社の企業進出や設備拡張が決定され、一人当たり雇用者報酬が年38万円増加するとの試算もある」と説明。「投資と賃上げの好循環が半導体投資をきっかけとして生まれ始めている」と評価しました。
北海道におけるラピダスの立地効果については、「半導体製造装置メーカーのラムリサーチをはじめ、すでに37社の半導体関連企業が拠点設置を決定」し、周辺地域では飲食店や商業施設の整備も進んでいると説明。民間試算では北海道全域で今後14年間で約19兆円の経済波及効果が期待されるとしました。
一方で人材不足の懸念に対しては、「北海道半導体人材育成等推進協議会」での取り組みを通じて「地域の人材のパイを増やし、半導体企業と地元企業の人材確保の両立を図る」考えを示しました。
工業団地整備と電力供給の課題
田中議員は千歳市の工業団地がすでに94%埋まっている状況を踏まえ、産業用地の確保について質問。経済産業省は「産業用地造成の進め方や規制対応への助言等を行う伴走支援」や「土地利用調整手続きに係る配慮規定」を活用した支援を進める方針を示しました。
電力供給については、2034年度の北海道エリアの電力需要が2024年度と比較して約13%増加する見通しを示し、「安定供給と電源の脱炭素化の同時実現」に向けて「長期脱炭素オークションの着実な実施」や「北海道本州間の海底直流送電をはじめとする地域間連携線の整備」などに取り組む考えを表明しました。
家賃高騰問題への対応
田中議員は千歳市において地価・家賃が高騰し、地元大学への入学を希望する学生が家賃の高さでためらうケースが出ていることを指摘。国土交通省は「住宅セーフティネット法に基づく登録セーフティネット住宅を活用した家賃低廉化の仕組み」について説明し、「地方公共団体と国が連携して財政的支援を行うことも可能」と述べました。
AIの国内開発力強化
最後に田中議員はAIの国内開発力強化について質問。経済産業省は「産業競争力の強化や経済安全保障の確保の観点から、日本国内の事業者が競争力あるAIモデルを開発することやその開発利活用に必要なデータセンターを整備することは極めて重要」と認識を示し、デジタル人材の育成やジニアイニシアティブによるスタートアップ支援、計算資源の整備支援などを進めていく方針を述べました。
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*一部修正。
先端技術への支援について
田中将司議員:自由民主党の田中将司です。今日はの質問の控えいただきましてありがとうございました。また信子大臣、加藤政務官どうぞよろしくお願いいたします。
最初に加藤政務官に伺いたいと思います。先端技術への支援ということで、この情報処理促進法の選定事業者候補の一つでもありますラピダスが目指す先端半導体に限らずですね、例えば量子あるいは次世代革新炉なども含めてですね、最先端分野の技術開発はその海外依存度を減らすことも含めて、我が国の発展そして国民生活の安定・利便性向上に極めて重要だというふうに認識をしているところであります。
これらの先端技術分野に対して民間あるいはアカデミアにのみならずですね、政府が投資支援していくことをですね、この経済産業省ではどのように捉えて考えていらっしゃるのか。我が国の産業競争力の強化、経済安全保障などの観点も含めて加藤あきよし政務官に伺います。
加藤経済産業大臣政務官:田中将司委員のご質問にお答えをさせていただきます。
成長と分配、賃上げと投資がけん引する成長型経済への転換を確実なものとするためには、将来の日本の稼ぐ力を生み出す産業の育成が必要不可欠でございます。そのためにも、次世代の産業をしっかりと生み出すことが期待される先端科学技術分野をしっかりと見極めること、産業界も含めてしっかりと産業化を見据えた研究開発から拠点整備、人材育成、スタートアップ育成、ルールの形成と一気通貫した取り組みが必要不可欠だと考えております。
委員のご指摘いただきました量子コンピューターの分野におきましては、次世代の計算基盤として期待され、我が国の産業競争力や経済安全保障上最も重要な科学技術の分野だと考えております。経済産業省としましても関係各所と連携しながら、世界最高水準の研究開発拠点の整備、グローバル企業や企業との連携、さらには研究開発支援やサプライチェーンの強化、人材育成、国際標準化などを進めてまいる所存でございます。
また宇宙開発も安全保障上大変重要な分野でございます。そのため衛星コンステレーション構築の加速に向けた開発や実証などの支援を宇宙戦略基金等も活用しながら進めていく所存でございます。
また次世代革新炉につきまして2050年カーボンニュートラル時代を目指してしっかりと取り組まなければなりません。そのためスピード感を持って技術開発を進めているところでございます。安全性の向上はもとより、脱炭素の電源供給にとどまらず、廃棄物の原料化、有害物削減、カーボンフリーの水素、また熱供給など革新炉の特徴・強みを有している様々なその確信強みを生かして科学技術の実用化に挑戦をして参る所存でございます。
いずれにしましても、このような先端科学技術の育成につきましては、産業競争力の強化さらには経済安全保障の観点を踏まえつつ、官民連携、アカデミアとしっかりと連携をしながら戦略的な取り組みを加速してまいりたいと考えております。
ラピダスプロジェクトの経済安全保障上の意義
田中議員:加藤政務官ありがとうございました。一昨年でしょうか、茨城県のご地元の茨城の大洗町で常陽を高速炉の視察をさせていただいて、この核廃棄物を原料・原燃料にしながらですね、これを減らしていくあるいは安全性を高めた形でですね水素もしっかり供給できるという非常に革新的な現場を拝見させていただきました。我が国の発展のためにですね非常に重要だというふうに思っておりますので、皆さんも是非ご所望とのプロセスを含めてですね政務官のご活躍を期待したいというふうに思っております。ありがとうございました。
続きまして、この経済安全保障上の観点からですね、先ほども海外依存度を減らすという話をさせていただきました。これは言うまでもありませんが、次世代の先端半導体を国内で生産しようとするラピダスプロジェクトの意義について、この経済安全保障上どのように経産省として位置づけておられるか。また、競争力を強化していく上でですね国内における需要を創出していくことが極めて重要だというふうに考えておりますが、この取り組みについて経済産業省に伺いたいと思います。
奥谷審議官:お答え申し上げます。ラピダスが量産実現を目指しておりますナノメートル級の次世代半導体は、生成AIや自動運転などに不可欠なものということでございます。しかしながら現在、最先端のロジック半導体はそのほとんどが台湾で生産をされています。
こうした非常に重要な半導体を他国に依存して購入しなければ生きていけない国になるのか、あるいは日本の中でこれを生産することによって国内に富を生み世界にも貢献できるようになるのか、まさに今その分岐点に立っていると認識しています。
ナノメートル級の次世代半導体の量産は海外のトップ企業でもまだ実現に至っていない野心的な取り組みです。ただですね、これは諦めては我が国の国益を大きく損ねることになりかねないという、こういう強い問題認識のもとでですね、国として一歩前に出る形で本プロジェクトを推進しています。
こうしたですね国内製造基盤の強化に加えまして、委員ご指摘のとおり需要の創出、これらの両輪で進めていって半導体の設計・製造のエコシステムを国内に構築すること、これは極めて重要でございます。経済産業省の方ではですね、ユーザー産業が先端半導体の活用をどんどん進めていく、こういった取り組みも支援していきたいということでございます。
例えば自動車業界と半導体業界が新たに立ち上げた技術研究組合で、自動車用の先端センサー半導体の設計開発、こういった取り組みに対しての支援などを実施しています。このような活動を通じましてですね、各産業分野で次世代半導体の将来需要の創出につなげていきたいというふうに考えております。
半導体事業者への金融支援
田中議員:ありがとうございました。ぜひ積極的な支援をですねお願いをしたいなというふうに思っております。
次に半導体事業者への支援について伺いたいと思います。次世代半導体の国内基盤を確立するという重要な目的に照らしますと、必要な支援を私は躊躇せず実施すべきだというふうに考えております。事業者の財務基盤を強化して民間出資を促していくために金融支援を実施するという法案の趣旨には賛成をさせていただきたいと思っております。
ただですね、その規模についてどのように今後判断をしていくのか。また金融支援として出資を行う場合、短期的なリターンのみを追求するのではなくて、中長期目線で支援対象の事業者の財務基盤を支えていくことが、これは民間投資を呼び込むためにも非常に重要だというふうに考えておりますが、この辺りにつきましてどのようにお考えか経済産業省に伺います。
奥谷審議官:お答え申し上げます。法案に基づく金融支援につきましては、産業構造審議会の次世代半導体図書委員会における外部有識者の方々の意見も踏まえまして、事業計画や民間資金調達の状況等を精査した上で、支援の用件や手法、さらに支援規模などを決定していくということでございます。
またご指摘をいただきました短期的なリターンということでございますけども、本法案に基づく出資については短期的なリターンを追求するという目的ではなく、次世代半導体の量産に向けて事業者の財政・財務基盤を強化しつつ、民間からの資金調達を促進・補強することを目的とした措置です。その上で出資の対価として取得した株式につきましては、例えばIPO直後に売却するのではなくてですね、公的資金回収の観点も踏まえつつ、事業者の経営・財務状況や株式市場の動向なども勘案しながら適切なタイミングで売却していくことを想定しています。
地域経済への波及効果
田中将司議員:ありがとうございました。この半導体が使用される主にこのAIですね、人工知能の開発が非常に急ピッチで進んでおりますけれども、これもですね世界の競争が非常に激しい状況の中で、しっかりと支援をしていくということをぜひお願いしたいというふうに考えているところであります。
続きまして、この地域経済の波及効果についてお伺いしたいと思います。本法律案の目的にですね「国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与する」となっています。社会全体はもちろんのこと、選定事業者の所在する地域においても住民生活の向上、地域経済の発展を進めていかなければなりません。
そこですでに先行している熊本県の菊陽町でのロジック半導体の製造では、すでに経済効果が顕在化しているということでありますが、その経済効果はどのようなものでその効果をどのように経済産業省として評価されているのか伺いたいと思います。
奥谷審議官:お答え申し上げます。半導体に係る大規模投資は地方経済に広範な波及効果をもたらす起爆剤という役割を果たすことができると考えています。
ご指摘をいただきましたTSMCの熊本県への進出を契機とした波及効果・影響ですけれども、例えば九州地域において2023年度の全産業の設備投資の伸びが過去最大の46.2%を記録しています。また、TSMCの進出決定以降、公表されている情報だけでも熊本県では86社の企業進出や設備拡張の決定がなされています。さらに熊本県では賃金の観点で申し上げますと、1人当たり雇用者報酬が年38万円増加するとの試算もございます。
投資と賃上げの好循環が半導体投資をきっかけとして生まれ始めているというふうに評価しています。今後も半導体関連投資が地域経済の活性化につながるよう、引き続き関係自治体などと連携しながら取り組んでいきたいと考えています。
田中議員:素晴らしい経済効果が上がっているというふうに思います。内閣府が昨年9月に公表しましたこの半導体投資による地域経済の影響レポートを拝見させていただきました。これは半導体関連産業の従事者が2018年から2023年にかけてですね23%、全国的にも増えているということで、珍しいこの就労者の増加につながっているんだというふうに思っています。
このラピダス社による経済効果の調査ではですね、この第一・第二工場これで生産が稼働しますとGDPの影響額が約11兆円ということで、極めて高い経済効果が発生するということです。これはラピダスが公表した後工程も含めた効果でいくと約18兆円のGDPの経済効果があるということで、非常に高い雇用・生産・消費・税収これがですね今後見込まれていくというふうに考えています。
その際にやっぱり注意しなきゃいけないのはですね、先ほどの年38万円の賃金の伸びとこれは地元の企業が雇用を奪われるというようなご指摘も既にあったかと思います。さらにはできるだけ地元の企業を活用していってですね、地元の企業に従事する方々の賃金もしっかり引き上げていくということが重要だということで、この半導体と関連した企業と地元企業とのマッチング、これをしっかりと推進しながらですね地元企業からの納入・納品、これをしっかりと推進していくということが大事だと思います。この辺りの支援もですね今後もぜひよろしくお願いできればというふうに考えております。
また併せて、この北海道という土地柄にあるラピダスの支援に当たりましては、このラピダスが所在する千歳市の経済効果は短期的・長期的に千歳市に限らず、恵庭市、北広島市、こういった地域にいろんな関連企業が集積していくということで効果があるというふうに思います。
しかし私は北海道が地元なものですから、この地域以外の方から話を聞くとですね、「人がどんどん抜かれていく」ということで、やっぱり地元企業・地元の経済がですね縮小していくっていうことに対して非常に強い懸念を持たれている関係者の方々がいるってこともこれまた事実でありまして、この北海道、このラピダスの立地がですね北海道の広域経済に対してどのように効果をもたらすというふうに見込んでいらっしゃるのか、またそれに対してどのような取り組みを考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
奥谷審議官:お答え申し上げます。まず、ラピダスが立地する千歳市によりますと、半導体製造装置メーカーのラムリサーチをはじめとしまして、昨年末時点ですでに37社の半導体関連企業がオフィスなどの拠点設置を決定するなど、地元である千歳市においては産業集積が進みつつあります。ご指摘いただいた通りであります。
また周辺地域では飲食店や商業施設の建て替え、道路等のインフラの整備なども進んでいます。民間の試算によりますと、こうした効果は必ずしも千歳市に限るものではございませんで、北海道全域で今後14年間で19兆円程度の経済波及効果が期待されているという風に示しています。
足元ではですね、ご指摘をいただきましたラピダスと道内企業とのマッチングも進んでおります。例えばラピダスのパイロットラインに関連するソフトウェア開発に関する業務を地元企業や、従業員などの輸送に関する業務などの契約が既に成立していると認識しています。
一方でご指摘をいただいてます人材不足の懸念ということでございます。こちらにつきましては北海道経済産業局を中心に産官学で構成された北海道半導体人材育成等推進協議会におきまして、半導体企業から道内教育機関への実務家教員の派遣や、学生・教員による半導体製造現場への訪問・実習など具体的な取り組みをすでに行っています。こうした形でしっかりと人材を掘り起こすというか、地域の人材のパイを増やしていくということで、半導体企業と地元企業の人材確保の両立を図っていきたいというふうに考えています。
経済産業省といたしましては、ラピダスを起点に地元の関係機関・自治体とも連携しながら、より広域的な地域経済の活性化につなげていきたいというふうに考えています。
工業団地整備について
田中議員:ありがとうございました。是非ですね積極的にお願いしたいと思います。先日行ってきましたらラピダスの従業員の通勤に使われているバスが乗務員募集中って書いてましてですね、運転手がいないからラピダス従業員が出勤できないっていうことがあってはならないというふうに思ってますんで、ここは千歳の市長にも頑張っていただきたいなというふうに思っておりますけれども、ぜひ支援をよろしくお願いしたいと思っております。
続きまして工業団地に関してですが、千歳市としましてもですねこの国家プロジェクトに貢献すべく頑張っていらっしゃると思います。必要な上下水道の整備ですとか、地域産業構造転換インフラ整備推進交付金これの活用した工場周辺の道路や下水処理終末処理の拡張などですね、様々なインフラ整備を進めていらっしゃいます。
この関連企業も含めてですね、この産業経済波及効果を出していくこと、これを進めていくためにもですね、ラピダス1社だけではなくて関連企業も含めて地域の産業を育てていく必要があると思います。一方で千歳市には11の工業団地がありますが、すでに280社を超える企業が立地をしているということで、分譲率が94%、残りの分譲地もほぼ商談中という現状であまり空きがないという状況であります。半導体関連企業の集積する新興工業団地の確保及び整備が必要と考えますが、政府のお考えを伺いたいと思います。
井上審議官:お答え申し上げます。委員ご指摘のラピダス進出によるですね周辺における産業立地ニーズの高まりを受けまして、千歳市で新たな産業用地の整備に向けた検討がなされていることは承知をしております。
千歳市に限らずですね、地域における産業集積に向けて産業用地の確保が極めて重要となってございます。経済産業省としては産業用地確保に向けた取り組みといたしまして、自治体に対しですね産業用地造成の進め方や規制対応への助言等を行う伴走支援を行っているところでございます。
また地域未来投資促進法におきまして、土地利用調整手続きに係る配慮規定を設けてございまして、本年2月にはですねこの規定に基づく土地利用調整の迅速化の事例もですね公表させていただいたところでございます。今後ともですね産業用地の造成が円滑に行われるよう経済産業省としても支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。
田中議員:ありがとうございました。ぜひ地元自治体とよく情報交換をしていただきながらですね、国としての支援が有効に使われて行かれるようにですね支援をお願いしたいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
先ほど出てきましたこの地域産業構造転換インフラ整備推進交付金、これですねこれはラピダスに直接関係のあるもののみが対象になっていて、他企業や敷地外に渡る上下水道が対象になっていないというふうに私は認識しています。これらについて市が整備した場合、分譲に当たっての単価に跳ね返ってくるとか、他地域との競争力が発揮できないということも考えられるんではないかなと思ってます。
この交付金についてその活用・交付の範囲の拡充について地元の自治体の協議や対応を行う必要があると考えますが、先ほどの質問の流れになりますが政府としての取り組みを伺いたいと思います。
松幹事長:お答えいたします。地域産業構造転換インフラ整備推進交付金につきましては、半導体等の戦略分野におけるリーディングプロジェクトとなる産業拠点の整備等にあたって、プロジェクトの安定的かつ円滑な創業に支障が生じないよう、委員からお話いただいたとおり道路や下水道、工業用水といった関連インフラの整備を支援するものでございます。
この支援の対象となるプロジェクトにつきましては、法令に基づく認定の下、国の主体的な関与のもとで推進されるものであることや、相当規模の立地や投資を伴うものであることなどを考慮して判断することとしてございまして、具体的にはラピダスプロジェクトを含めまして4つのプロジェクトを選定しているところでございます。
お尋ねのラピダスプロジェクトが進む地元自治体における他の企業立地への活用の拡充ということにつきましては、こうした制度の趣旨に該当しない場合は対象とすることは難しいことはご理解をいただければと存じますけれども、当該交付金の対象とならない企業立地に係る関連インフラの整備につきましては、当該インフラ事業を所管する省庁の支援制度であるとか、あるいは先般創設をさせていただきました新しい地方創生の交付金をご活用いただくなどによりまして、関係省庁と連携して取り組むことが適当ではないかというふうに考えてございます。
電力供給の課題
田中議員:ありがとうございました。ぜひそういった情報も含めてですね関連企業がしっかりと集積していくということが結果として大事だというふうに思いますので、ぜひ実現可能なあるいは利用可能なものについては是非地元自治体との連携協力ぜひお願いをしたいなというふうに思ったところであります。ありがとうございました。
続きましてですねこの電力について伺いたいと思います。第7次エネルギー基本計画では2040年度の日本の電力消費量は23年度に比べまして2割以上増えるという見通しになっていると思います。主にこのAI需要の拡大ですとかデータセンター、半導体工場こういったものが建設されることに伴った大きな増加というふうに見込まれるものと思っております。
競争力という点において特に電力を大量に消費する半導体産業は、電力の安定供給や電気代という要素が大きな影響を与えると認識をしています。北海道には電力供給体制に今現状課題があるんではないのかなと思ってます。
先日伺ったところによると大型データセンターの場合は、夏場に室温を下げるために数千万かかるっていうことは競争力が失われるというんでは、これまた困るんじゃないかなというふうに思っているところであります。特にあの原子力発電所の再稼働が進まない中ですね、この北海道ですが電力需要の逼迫が懸念されているところでありまして、産業活動や地域経済の影響も懸念をしているところであります。
関連企業・周辺企業も含めて当該地域の今後の電力供給需給見通しについて日本政府としてどのように評価をされていらっしゃるのか。特に原発の再稼働が進まない現状において電力供給の安定性をどのように確保されていく方針か。合わせてですね北海道が抱える電力供給の課題に対し、その政府としてですねどのような支援策を講じるつもりなのか?他の地域との連携性の状況あるいは電力広域的運営推進機関との連携強化について政府の方針を伺いたいと思います。
久米部長:お答え申し上げます。北海道エリアの電力需要の見通しは、電力広域的運営推進機関の想定によりますと、ご指摘いただきましたように主にデータセンターや半導体工場等の産業用の電力需要の増加によりまして、2034年度の北海道エリア全体の電力需要は2024年度と比較して約13%増加する見通しでございます。これは全国平均の約6%よりも高い伸び率という風になっております。
こうした中で足元の電力需要に対しまして、毎年度電気事業者が提出する供給計画を確認し、容量市場を通じて必要な供給力を確保していくこととしております。そしてまた今後は安定供給と電源の脱炭素化の同時実現が重要だというふうに認識しております。
このため電源投資の投資回収の予見性を確保し新規投資を促すための制度であります長期脱炭素オークションを着実に実施するとともに、さらなる新規投資を促すための事業環境や資金調達環境の整備を検討していくこと、また広域連系系統のマスタープランを踏まえた北海道本州間の海底直流送電をはじめとする全国大での地域間連携線の整備に向けた対応などに取り組んでまいります。
加えまして電力広域的運営推進機関は系統整備や需給運用等において重要な役割を担っております。今後とも電力需給の状況を踏まえた対策や全国大での送配電網整備に向けた対応等を連携して進めてまいります。
家賃高騰問題への対応
田中議員:ありがとうございます。ぜひ積極的にお願いしたいと思います。苫小牧にソフトバンクのデータセンターもできていく状況の中で、爆発的に電力需要が増えていくという状況の中で、ギリギリではなくてですね余力が必要だと思います。私も北海道出身ですからブラックアウトの記憶が思い出されるわけでありまして、そういうことはあってはならないわけありますので、ぜひですねこの余力を持った電力供給しっかりと進めていただきたいと思っております。
それから家賃の高騰について伺いたいと思います。これはラピダスの進出に伴いましてこれは熊本県の菊陽町でも同じでありましたけれども、地価が上昇しています。それに伴って家賃も非常に高騰しているという状況になります。
地元の大学の人から聞いたんですけども、大学に入学してくる学生さんが家賃が高くて入学をためらうと、受験をためらう、こういう事態ももう正直起こっているそうです。その大学は9割が千歳市内に住むらしいんですよね、あるいはその周辺に住むらしいんですよね。で本当に困っているという話であります。
これも経済成長に伴う一種の成長痛のようなものかもしれませんけれども、それによって地元で人材育成に励んでいらっしゃるような企業や大学、こういったところがですね入学志願者の減少に困るんでは、ちょっとまたこれ困るという話であります。
短期的にはですねこの国による支援も必要なんではないかというふうに思うところでありまして、自治体と連携しながら国としてですね学生の住宅提供体制の整備を進めていくべきではないかと考えますが、政府の考えを伺いたいと思います。
横山審議官:お答えいたします。ご指摘のようなですね大規模工場進出に伴って当該工場の労働者等の流入による住宅需要の増加とか、地元の住民の方への影響などは、当該工場を運営する事業者と地方公共団体との間で具体的な対応を協議していただいた上、その他の公営住宅、民間様々な施設の整備誘致等も含めて当該地方公共団体のまちづくりの中でですね総合的に対応していただきながら、それを国がしっかり支援していくということが重要ではないかという風に考えてございます。
委員ご指摘のようにですね千歳市においてもですね一部賃貸家賃の上昇が見られるということは我々も承知してございます。そのような観点からはですね例えば賃貸住宅にお住まいの子育て世帯等に対して、既存の民間賃貸住宅のストックも活用し、住宅セーフティネット法に基づく登録セーフティネット住宅を活用することも考えられます。これらの住宅に対しては家賃低廉化の仕組みがございまして、地方公共団体と国が連携して財政的な支援を行うことも可能でございます。
隣接する恵庭市をはじめ道内でも複数の地域で家賃低廉化の制度を設けてございますので、千歳市に対してもですね必要な働きかけを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
住まいの確保はですね経済活動とか生活の大事な基盤でございます。誰もが安心して暮らせる住まいを確保することが重要でございますので、地方公共団体が行う取り組みに対しまして、国としても引き続きしっかり支援をしてまいりたいと考えてございます。
田中議員:ありがとうございました。千歳は2020年に比べるともう商業地の土地代が倍以上になっているという状況であります。菊陽町が確か160%、60%増ぐらいですよね。千歳はもうすでに2倍になってるって事で、非常に急速な土地の価格の上昇が発生しておりますので、ぜひそういった情報も踏まえてですね、しっかりと地元の人材の雇用あるいは大学企業等のですね安定した経営が図られていけるような支援をぜひお願いをしたいなというふうに思っております。
AIの国内開発力強化
時間がないので最後にですね質問を伺いたいと思います。最後にですねこの半導体の先にあるAIについてお話を伺いたいと思います。この半導体はDXに対するキーテクノロジーでありますし、DXを推進していくためにですね半導体は極めて重要になってまいります。
しかしもう一つですね、この生成AIをはじめとするAIの開発が非常にこの重要になってくると思います。このAIモデルやあるいはそのデータセンターなど重要な部分を我が国としてしっかりと掌握していくということについて、経済産業省のお考えを伺いたいなというふうに思っております。
奥谷審議官:お答え申し上げます。生成AIがあらゆる分野に導入される中、委員ご指摘のとおりですね産業競争力の強化や経済安全保障の確保の観点から、日本国内の事業者が競争力あるAIモデルを開発することや、その開発利活用に必要なデータセンター、これを整備するということは極めて重要であります。
まず日本国内でAIモデルやデータセンターを必要とする環境、これを速やかに立ち上げてくるユーザーニーズをしっかりと産んでいくということは重要でございます。すなわちユーザー側でですねAIを使いこなせるようにしないといけないということで、一つ鍵になるのはデジタル人材の育成です。
今般、今回の法改正でもですねIPA自らがコンテンツの作成などに取り組んでいけるようにしていますけれども、まさにデータをマネジメントする人材とか、そういった人を育ていっていくためのいわゆるモデルカリキュラムのようなものがないというようなことなどに対応していくようなことも、今回の法改正で対応しています。
その上でジニアというイニシアティブを開始して、スタートアップなどのAI開発の支援でありますとか、AI開発利活用に必要となる計算資源の整備支援、これを進めています。さらに加えまして地方におけるデータセンターの整備への支援、そういったことも行って総合的な取り組みを進めています。
さらに将来を視野に入れましてですね、日本が強みを持つロボティクスとAIの融合、こういったプロジェクトにも取り掛かるとともに、電力と通信の効果的な連携、すなわちワットビット連携、これを通じた効率的なデータセンターを効果的に日本に整備っていうことも進めていきたいと考えています。
引き続き関係省庁とも連携しながら、国内のAI開発力強化やデータセンターの整備に向けてスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
田中議員:ありがとうございました。これからどんどん特化型AIから汎用AIさらに進んでいくというふうに思います。その上でですね国際競争力をしっかり維持していく、我が国の安全それから利益を守っていく上でもですね非常に重要ないろんな要素だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。以上で終わります。ありがとうございました。