目次
はじめに
ユース世代のサッカーは、競技力の向上とともに傷害リスクも増加するフェーズです。特に13〜19歳においては、身体的成長と技術向上が交差し、膝関節・大腿部・足関節といった下肢の傷害が多発します。世界的に見ても、サッカーは若年層において最も普及しているスポーツの一つであり、その傷害率の高さは公衆衛生上の課題となっています(Dvorak et al., 2004)。
理学療法士をはじめとするリハビリテーション専門職がチーム支援や教育現場に関与する場面も増えており、エビデンスに基づいた予防的介入の選択が求められています。本記事では、Khan et al.(2025)による「ユースサッカーにおける傷害予防プログラム:FIFA 11+とFUNBALLプログラムのナラティブレビュー」を中心に、近年注目されている2つの傷害予防プログラムの特徴と効果、そして臨床応用について検討します。
FIFA 11+とFUNBALL:2つのアプローチの特徴
プログラム概要
FIFA 11+は2006年、国際サッカー連盟(FIFA)が複数の研究機関と共同で開発したウォームアッププログラムです。主に若年女子サッカー選手を対象としており、バランス、神経筋制御、プライオメトリクスなどの要素を統合的に含みます。一方、FUNBALLは近年開発されたプログラムで、主に男子選手を対象とし、より柔軟でゲーム要素を含んだ構成が特徴です。
以下に、両プログラムの主な特徴を比較表にまとめました。