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日本医師会、11万床削減報道に懸念表明「数字の一人歩きは危険」

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本医師会の松本吉郎会長は5月28日の定例記者会見で、一部で報道された自民党、公明党、日本医師会による3党協議における「2027年度までの全国で約11万床の病床削減」という報道について言及し、日本医師会の考えを述べました。

最終合意には至らず、具体的枠組は未定

報道では、病床削減により医療費を1兆円程度削減する効果が見込めるという考え方を共有したとも伝えられていますが、松本会長は「まだ最終的な合意には至っておらず、具体的なその枠組とか細かなところとかあるいはスケジュールもまだ決まってないものと理解をしております」と述べ、最終合意ではないとの認識を示しました。

「11万床削減」の数字の一人歩きに強い懸念

松本会長は、人口変動や医療ニーズの変化に対応するために医療機能も対応していく必要があり、政策手段も大切であると認めつつも、「11万削減という数字が一人歩きするなど、患者さんや医療現場に不安や混乱があってはいけません」と強く懸念を表明しました。

地域医療構想の基本的考え方を堅持

地域医療構想の基本的な考えは、将来の入院ニーズの変化を見据え、各病院や有床診療所が様々なデータ等に基づいて自分たちの地域での立ち位置を考え、地域の関係者間で協議することを通して病床機能の転換や集約化がなされていくというものであり、この基本的な考えは新たな地域医療構想においても変わらないと認識していると述べました。

各医療機関での慎重な検討が不可欠

したがって、仮に病床削減について3党の合意が最終的になされたとしても、各医療機関において現在や今後の医療ニーズを踏まえ、きちんと検討をした上で判断できるような枠組が必要であると強調しました。また、「病床の削減ありきではなくて、やはり地域で必要な入院医療がなくならないように勘案すること」が求められると訴えました。

財政支援の充実を要請

病床機能の転換や集約化、ダウンサイジングは極めて重要な経営判断であり、それを財政面でしっかりと支える手当が不可欠であると指摘しました。さらに、令和6年度補正予算による病床数適正化支援事業で、申請をした合計54億円分の多くが約41億円の補助の対象から外れた事例に触れ、財政的な手当にあたっては、これら対象外となった医療機関にも配慮していただく必要があるとの考えを示しました。

地域医療構想との整合性と感染症対策への配慮

今回の報道が、新たな地域医療構想がスタートする前の2年間での病床削減という内容を含んでいることから、地域医療構想や地域での協議も必要であるとの考えを示しました。また、新型コロナウイルス禍での教訓に基づき、感染症法上の医療措置協定による病床確保もなされていることに触れ、感染症パンデミックや大規模災害などに備え、地域での医療機関同士の役割分担のもと、平時から病床に余裕を持っていることが不可欠であると述べました。

関係者の理解と納得を求める

松本会長は最後に、「病床の削減は方法論を間違えますと、全国津々浦々の地域住民、そして患者さん、そのご家族、そして医療現場で懸命に命や健康を守っている医療従事者、さらに医療に関わる業種の方々に大変な不安や混乱を与えかねません」と述べ、関係の皆様がご理解、ご納得いただけるような内容になることを期待するとして会見を締めくくっています。

この会見は、病床数の適正化や再編統合の議論が、医療提供体制全体に大きな影響を及ぼしうることを改めて示しており、今後の動向が注目されます。

日本医師会、11万床削減報道に懸念表明「数字の一人歩きは危険」

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