厚生労働省は6月27日、経営が悪化した医療機関の病床削減を支援する「医療施設等経営強化緊急支援事業(病床数適正化支援事業)」の第2次内示について、都道府県に配分額を通知しました。今回の対象は4108床で、総額168億5923万円が給付されます。
4月に実施した第1次内示と合わせると、同事業による削減病床数は計1万1278床、総額は462億8491万円に達しています。
北海道が最多、地域格差も鮮明に
第2次内示による削減病床数を都道府県別に見ると、北海道が398床で最多となりました。続いて兵庫県196床、福岡県181床、東京都176床、千葉県171床の順となっています。第1次と第2次を合計した削減病床数でも北海道が750床でトップを占めており、地域医療の構造的課題が浮き彫りになっています。
支援条件を緩和、上限は厳格化
今回の第2次内示では、支援対象の条件が見直されました。第1次内示では「3年連続経常赤字」だった条件を「2年連続経常赤字」に緩和し、一般会計からの繰入等がある自治体立病院も対象に含めました。一方で、1医療機関当たりの給付上限は50床から10床に大幅に制限されています。
給付額の算定は、削減病床1床につき410万4000円で統一されており、各医療機関の赤字額平均の半分を上限の目安としています。
申請の8割が対象外、基金事業の活用促す
この事業をめぐっては、第1次内示に対して5万床を超える事業計画の提出がありましたが、第1次・第2次を合わせても1万1278床にとどまっており、約4万床が対象外となりました。
厚労省は今回の事務連絡で、地域医療構想の実現に向けた病床数適正化について、地域医療介護総合確保基金における「病床機能再編支援事業」の積極的な活用も求めています。
同省は各都道府県に対し、地域の医療提供体制維持の観点から医療機関を選定し、速やかな給付金支給を要請しています。特に既に病床削減を実施している経常赤字の医療機関については、経営への影響を考慮して緊急支援を行うよう求めています。