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急性期病院の材料費増大に強い懸念──相澤会長(日本病院会)記者会見

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― 理事会報告で「2018年から構造的な手当不足続く」指摘

日本病院会は11月26日、定例のWeb記者会見を開き、11月22日に開催された理事会の内容を報告しました。会見では、会長の相澤孝夫氏が急性期病院の経営悪化、とくに診療材料費と医薬品費の増大が深刻化している現状について詳しく説明しました。

急性期病院で材料費・薬剤費の割合が大幅に上昇

相澤会長は、病院機能別の費用構造について、2024年と2018年のデータを比較しながら説明しました。急性期病院(急性期Ⅰ病床80%以上)では診療材料費と医薬品費の割合が年々増加しており、給与費の割合が減少していると指摘しました。

療養やケアミックス型と比べて急性期病院では材料費・薬剤費の比重が大きく、どの費用が増えて病院経営を圧迫しているのかは病院機能によって大きく異なると述べました。

「費用構造そのものは2018年と比べ大きく変わっていないが、急性期病院は当時から手当が十分ではなく、2024年にはその負担がさらに増している」と強調しました。

召還されない診療材料費が5倍超に増加

特に問題視されたのは、診療報酬で補填されない「召還されない診療材料費」の増加です。7対1病院の調査では、2019年は月平均1,057万円だったものが、2024年には同5,798万円と5倍以上に増えています。年間換算すると大幅な赤字要因となり、外科系手術が赤字を生む構造になっているとの声が現場から寄せられていると説明しました。

材料費増加の内訳では、

  • 一般診療消耗品:22.2%増

  • 外科系材料:23.9%増
    が特に伸びており、心臓系材料や麻酔関連、検査材料も増加傾向にあると報告しました。

単価上昇だけが原因ではない

材料費増加の理由をめぐっては「単価の上昇が大きいのでは」との指摘が寄せられていたことから、上位50品目についても調査を実施したとのことです。

調査結果では、

  • 単価は上がっているが数量減で総額は減った品目

  • 単価は下がっているが数量増で総額が増えた品目

などが混在しており、単価上昇だけが赤字の要因ではないことが明らかになったと説明しました。また、2024年に新たに使われ始めた材料(新規品)で、診療報酬で召還されていないものが月あたり約45万円発生していることも判明しました。

厚労省・財務省は「理解した。何らかの対応を検討」

相澤会長は、急性期病院の厳しい現状について厚生労働省と財務省にも説明を行ったと述べ、「いずれもデータを確認し、問題を理解した。何らかの対応を考えたいという回答を得た」と報告しました。「急性期医療の土台が揺らぐ事態であり、材料費への適切な手当を強く求めたい」と締めくくりました。

▶︎「2025年度の日本病院会の取組」 に関する具体的な要望

急性期病院の材料費増大に強い懸念──相澤会長(日本病院会)記者会見

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