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【特集】理学療法士の地域偏在:ドイツ・日本・韓国・台湾の比較から見える課題と解決策

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「不足」と「過剰」が同時に起きるパラドックス

「うちの地域、PTが全く採用できないんですよ」。地方の病院からは悲鳴に近い声が聞こえる一方で、「都市部は求人倍率が低く、就職難だ」という話も耳にします。日本のPT免許登録者数は20万人を超え、世界的に見ても多い部類に入ります。それなのに、なぜこのような矛盾が生じるのでしょうか。

理由は明白です。「総数の問題」ではなく「配置の問題」だからです。全国平均で見れば充足しているように見えても、地域レベルに解像度を上げると景色は一変します。これが「地域偏在」の正体です。

2025年、ドイツの研究者がこの問題のヒントとなる論文を発表しました。医師の配置計画に用いられる手法をPTに応用するとどうなるか——その分析結果は、私たちにとっても示唆に富むものでした。

ドイツの研究が明らかにした事実

医師向けの需給管理ツールを転用

ドイツには1977年から、医師の需給を地域ごとに管理する「需要計画ガイドライン」という制度があります。医師不足の地域では新規開業を促進し、過剰な地域では制限するという強力な仕組みです。

しかし、PTはこの枠組みの対象外でした。年間3億回を超える治療セッションが行われ、その大部分を担っているにもかかわらず、です。全国的な登録制度すらなく、「どこに何人のPTがいるのか」を正確に把握する手段が存在しませんでした。

そこでGriese&Schüsslerの研究チームは、ニーダーザクセン州(人口約800万人、45行政区)をモデルに、医師向けの枠組みをPTに適用する試みを行いました。2021年の施設データを基に人口あたりの施設数を算出し、さらに「65歳以上は若年層の2.1倍理学療法を利用する」というデータを用いて年齢調整を行いました。

浮き彫りになった「隠れた格差」

分析の結果、何が見えたのでしょうか。

【特集】理学療法士の地域偏在:ドイツ・日本・韓国・台湾の比較から見える課題と解決策

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