任せることで人は伸びる
この業界は、職人気質な部分がありますので、自分自身の腕でどうにかという考えが強いと思います。もちろん素晴らしいことです。しかし、職人的な思考の場合、チームビルディングという観念から考えるとその部分が弱点となるケースが多いです。
業界ではOKでも、社会的にはNGになります。急激に組織を拡大しているリハビリテーション科がほとんどでしょうから、自分よりもチーム、年齢とともに組織を俯瞰して見られるかが社会的にも必要です。
そしてマネジメントを評価してくれる病院経営幹部の評価基準も大切になります。そういう風土づくりを、学校にいる頃から作れたらと思っています。
本校の取り組み
本校では1年生の頃からリーダーシップ論については積極的に取り組んでいます。また「任せる」ことで人は伸びることを早期に体験してもらいます。
患者さんがリハで成果が出て喜ぶのと同じように、自分の部下が成果を上げて喜べる組織づくりが今後は重要だろうと考えています。結局は、部下が成長しているということは、上司である自分もそれ以上に成長しているんです。部下の光の反射で上司である自分も光ります。自分だけが光っていては組織としてはまだ未熟です。
そういったことを考えると、“マネジメントは理学療法評価に非常に似ている”と言えるでしょうね。
実習でドロップアウトする学生が減った理由
インタビュー:先生は5年間教員されているともいますが、その5年間の中で、学生のここが変わったなというポイントはありますか?
川田先生:大きくは変わりません。逆に変わらないことは「かまって欲しい」「もっと見てほしい」ということです。変わったのは、我々大人の方です。手をかけすぎて過保護のような気がします。
過保護って裏を返すと信じられていないことだと思います。私は学生を信頼して、とにかく任せています。教員は責任を取るだけ。目的だけしっかり説明をして、ベクトルさえ同じ方向を向いていれば、大きな間違いはしません。
もし失敗してもそれは良い経験ですから。ただ人生を狂わすような失敗をしそうな時だけは、手を出します。もちろんそんな時は本気で向き合います。怒る時もあります。年に1回あるかないかです。
今年はまだ1度も怒っていません(笑)本校で気をつけているのは、その部分です。同僚の教員もみんなユニークで、よくもそこまで学生のことを考えられるなと「熱い」教員だらけなんです。
もちろん理学療法士の養成校なのですが、それよりも人間を育てる学校という意味合いの方が強いと感じています。だから、何らかの理由で途中退学してしまう学生の面倒も最後まで見ようと思っています。
全教員がそういう人間くさい付き合いをしていたら、実習でドロップアウトしてしまう学生がすごく減りました。実習地の先生との良好な協力体制の影響ももちろん大きいです。
*目次
【第1回】理学療法士になったきっかけ
【第2回】院長秘書を通してわかった病院経営
【第3回】教員としての取り組み
【第4回】マネジメントは理学療法評価に似ている
【最終回】学校を途中でやめてしまった子へのフォロー
川田章文先生経歴
経歴:
平成10年 茨城県立下妻第一高等学校卒業
平成14年 国際医療福祉大学保健学部理学療法学科卒業
同年 栃木県厚生農業協同組合連合会 下都賀総合病院リハビリテーション科入職
平成15年 筑西市民病院 リハビリテーション科入職
平成20年 筑西市民病院 総務課へ異動(院長秘書、医師人事等)
平成23年 学校法人アゼリー学園 東京リハビリテーション専門学校 入職
平成27年 アゼリーグループ 一般社団法人 未来創造研究所
主任研究員/人材育成コンサルタント
現在に至る
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