褥瘡があるけれど、ルブタンのピンヒールが履きたい!あなたはオススメする?

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新年あけましておめでとうございます。

今年もこの場をお借りして、障がい・車いす・ファッションについて、読者の皆さまと一緒に考えていきたいと思いますので、どうぞお付き合いください^^

前回は『お買い物ツアーを通して、ゲストさんの◯◯したい!を引き出す』ことについてお話し致しました。

 

では、ゲストさん(臨床では患者さん)が、私たちセラピストに「◯◯したい!」と伝える力が備わったら、または、ゲストさんが想いを伝えたいと思うことが出来るような人間関係を我々が築くことが出来たら、次はどう進めていくことが望ましいのでしょうか?

 

「◯◯したい!」を現実化するために、私たちは知識や技術を総動員して、全力でサポートをすれば、ゲストさんはHAPPYでしょうか?

専門的な視点で身体機能をみて、ADL評価をして……。本当に??

私は、セラピストとして次にやるべきことは、『ゲストさんが◯◯したい!と言った希望は実現可能か、本人に判断する力をつけてもらう』ことだと考えています。

 

肩に拘縮、足先に褥瘡があっても

写真1

車いすでお買い物ツアーでは、イベント前にオシャレに関する悩みや、着てみたいお洋服をゲストさんに聞いています。

ゲストさんから出てくる、たくさんのお悩みや願い。 どれも解決していきたいものばかりです。

ですが、『肩に拘縮があるけれど、後ろにチャックがあるワンピースが着たいです。』と言われても、難しいのも事実です。 (例えば…ですが)

『指先に褥瘡があるけれど、ルブタンのピンヒールが履きたいです。』と言われても、お薦めできません。

ゲストさんが自身の身体・生活スタイル・環境等を客観的にみて 自分自身が出来ること・出来ないこと、自分に合うもの・合わないものを判断する力が必要です。

写真2

私自身、今シーズン流行っているロングカーディガンを着ることが出来ません。

雑誌の中でモデルさんが着ている写真を見ると、オシャレだな、いいなと思っていても、自分の身体・生活スタイルを考えると、着ることは現実的ではないと判断しています。

具体的には、身長が低いこと・自転車に乗る機会が多いこと・ガサツな性格で裾を引っ掛ける可能性が高いこと(笑)、等です。

手の中にある選択肢から、自分に出来ること・出来ないこと、自分に合うもの・合わないものを、自ら判断することが大切となります。

判断する力とは、ファッションだけではありません。

お金を稼ぐ手段・移動手段、衣食住、趣味活動など、生活のありとあらゆる場面な力です。

 

臨床に落とし込むことが重要

セラピストは、身体機能を評価することができます。

目の前の患者さんが自分で出来であろうこと、出来ないであろうことを予測することができます。

だからこそ、今の身体機能や生活環境で、患者さん自身がどこまでが出来るのか・どこからが難しいのか。

この境界線を、“患者さんを導きながら一緒に探していく”ことも、リハビリの大切な役割です。

境界線探しをたくさん経験することで、生活に戻った時、患者さん自身が安全かつ機能を十分に発揮することができる、ギリギリの範囲を自身で判断しながら、生活を送ることができるはずです。

そしてそれは、歩ける距離や、トイレ動作、更衣…だけでは無いことを知っていてください。

写真3

ルブタンのピンヒールは難しいけれど、TOD’Sのドライビングシューズなら履くことができる。

プールサイドのベンチに座ることはできるけど、趣味のダイビングでボートエントリーするために、揺れる船のベンチに30分座ることはまだ難しい。

このような境界線を判断する力こそ、その人らしく生きるために必要としているのではないでしょうか?

そして、境界線を薄くし、出来る範囲を広げるために、私たちセラピストは、解決するための手段をたくさん持ちあわせていないなと思います。

(使用しているイベント中の写真はイメージです。本文内容とは関係ありません。)

 

岡野先生からのご案内です!《イベントボランティアスタッフの募集について》

【車いすでお買い物ツア@大阪】ボランティアスタッフ募集中!

日時:1/23(土) 13時~16時

場所:天王寺周辺

詳細:https://www.facebook.com/events/1663545277235676/

お友達とショッピングする感覚でイベントをサポートしてくださる方、男女年齢問わず募集中です。

PT・OT・ST・学生、他資格問いません。

やってみたいな、楽しそうだなとご興味のある方は、お気軽に下記アドレスまでご連絡ください。

岡野菜摘:natsumi.okn@gmail.com

 

【目次】

第1回:車椅子ファッションプロデューサーPT

第2回:オシャレが体幹トレーニングに

第3回:理学療法の一つのツールとしてファッションアドバイス

第4回:境界線の引き方と手段

第5回:人生がちょっと楽しくチェンジした瞬間

第6回:新社会人・新入生のみなさんへ

第7回:下肢装具とファッション

第8回:車いすユーザーの悩み『上着』

第9回:夏といえば、着てみたい『浴衣』

 

岡野菜摘先生経歴

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『大好きな服を着て 大好きな人と 大好きな場所へ』をモットーに、 理学療法士の知識と技術をファッションに混ぜ込みながら、ブログで発信。

また、デザイナーの鈴木綾と共に、イベント『車いすでお買い物ツアー』を実施中。 外出のきっかけ作りや、仲間作りを、ファッションを通して創造している。

選択肢を増やし、自ら選択することの楽しさを伝えることで、車いすユーザーが、 自分らしく生きることのできる社会を目指す。

ブログ:「あのモデルさんと同じ服が着られた!車椅子女子の表参道ファッション」

http://ameblo.jp/isufuku/

HP:「車いすファッションプロデュース」

http://kurumaisu-fuku.com/

※ボランティアスタッフ募集中!

 

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