介護の抱え上げ「人力でやらせない」方針は13% 腰痛予防対策指針の改訂から13年、医療・福祉の対策の中身

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厚生労働省が8月7日に公表した令和7年の労働安全衛生調査で、医療・福祉の事業所が腰痛予防にどう取り組んでいるかが示されました。介護や看護での抱え上げ作業がある事業所の96.0%が何らかの対策をとっています。一方、腰痛予防対策指針が原則としている「人力による人の抱え上げを行わせない」という方針を掲げている事業所は13.3%。最も多い対策は「適切な移動・移乗介助法を理解させ徹底している」の67.3%で、リフト等の使用は27.5%でした。

腰痛のデータは「概況」に載っていない

労働安全衛生調査(実態調査)は、事業所の安全衛生管理と労働者のストレス等の実態を毎年把握している調査です。令和7年調査は、常用労働者10人以上を雇用する民営事業所約1万4,000事業所と、そこで働く労働者約1万8,000人を対象に実施され、8,054事業所・8,393人の有効回答を集計しています。

調査事項には「腰痛予防対策に関する事項」が含まれます。ただし厚労省が公表した「結果の概況」に腰痛の記述はありません。概況が扱っているのは、事業所調査ではメンタルヘルス対策、産業保健、労働災害防止対策、業種別の労働災害防止対策、化学物質のばく露防止対策で、個人調査ではストレスと長時間労働です。腰痛の結果は、政府統計ポータル(e-Stat)の統計表でのみ公表されています。以下の数値は、その統計表から医療、福祉の行を抜き出したものです。

指針を知っているのは53.4% 知らない事業所は設問がスキップされる

まず、腰痛予防対策指針の内容を知っているかどうか。医療、福祉では「知っている」が53.4%、「知らない」が43.9%でした。全産業の「知っている」31.0%と比べれば高い水準ですが、それでも4割強の事業所には届いていません。

出典:厚生労働省「令和7年労働安全衛生調査(実態調査)」第11表

ここでいう指針は、「職場における腰痛予防対策指針」を指します。平成6年に示されたものが、平成25年6月18日付の基発0618第1号で改訂されました。改訂の眼目は適用範囲の拡大で、それまで重量物取扱い作業が中心だった対象に、福祉・医療分野における介護・看護作業や長時間の車両運転等が加えられています。通達は改訂の理由として、社会福祉施設をはじめとする保健衛生業で腰痛の発生件数が10年間で2.7倍に増えたことを挙げました。

指針の別紙「作業態様別の対策」は、介護・看護作業についてこう書いています。「移乗介助、入浴介助及び排泄介助における対象者の抱上げは、労働者の腰部に著しく負担がかかることから、全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱上げは行わせないこと」。座位が保持できる場合はスライディングボード等、立位が保持できる場合はスタンディングマシーン等の使用も検討するよう求めています。

読み進める前に、統計の構造を押さえておく必要があります。調査票の問3では、指針の内容を「知らない」と回答した事業所は、そこで腰痛の設問を終えて次の問へ進む仕組みになっています。つまり、腰部に負担のかかる業務の有無、腰痛予防教育、対策の内容といった以降の数値はすべて、指針を「知っている」と答えた事業所だけを母数としたものです。指針を知らない4割強の事業所が実際にどんな対策をとっているかは、この調査からは分かりません。

抱え上げ作業がある事業所は71.9%

指針を知っている医療、福祉の事業所のうち、腰部に負担のかかる業務に従事する労働者がいるのは77.3%でした(全産業64.9%)。業務の内訳をみると、「介護や看護等での人の抱え上げ作業」が71.9%と大半を占めます。全産業の20.2%と比べて突出して高く、この作業が医療・福祉に集中していることが数字にも表れています。

これに次ぐのが「その他の腰部に負担のかかる作業」10.7%、「おおむね20kgを超える重量物を取り扱う作業」7.1%、「組立作業、サービス業等で長時間立ったままで行う業務」7.0%、「長時間の車両運転・操作の業務」1.0%でした。抱え上げ以外の腰部負担業務がある事業所

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