歩行困難な高齢者や、障害のある方の移動手段として、活躍する「ハンドル形電動車椅子」
近年の使用者数増加に伴い、使用中の死亡・重傷事故が多発しており、厚生労働省は「ハンドル形電動車椅子を使用中の事故防止に向けた対応について」を通知し、再発防止策を促している。
福祉用具専門相談員等のハンドル形電動車いすの貸与する事業者へ向けた指導方法等の内容になっているが、理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職も使用に携わることが多いにあるため、ぜひ知っておいていただきたい。
踏切横断時のリスク回避策の説明
以前に、ハンドル型電動車椅子と踏切内で電車と接触し80歳代男性が死亡した事故があったそうだ。
高齢者は判断力が低下している方が多く、踏切のある地域にお住まいの方を担当している場合は以下の注意を促した方がいい。
・充電の残量を常時確認する
・ 踏切の手前では必ず一時停止し、左右の安全確認を行う
・ 線路に対しては直角に進行する
・ 脱輪の恐れがあることから踏切の端には寄り過ぎない
登降坂性能を超えた急坂での使用を防ぐための警告機能を備えた機種を提供すること
ハンドル形電動車椅子の中には、傾斜角度10度を超えた急な坂道での使用を防ぐための警告機能が備わっていない機種が存在するらしい。
そのため、我々は、使用者の在宅地域に急な坂道等がないか、また急な坂道があった場合に代替ルートがあるかどうかを確認し伝える必要があると考える。
警音器など周囲に緊急事態を知らせる方法の指導
緊急自体が起きた場合、パニックに陥らないために事前に警音器の使用方法を伝えておくことも大切だ。
万が一のときは、誰しも判断力が落ちるため、「使えるだろう」と過信は禁物である。
・踏切の横断に際し、脱輪等により動けなくなった場合には、ハンド ル形電動車いすの警音器又は周囲の協力を得て非常押しボタンを使 用する
・ 急坂、畦道、段差等の走行に際し、バランスを崩す等により動けな くなった場合には、ハンドル形電動車いすの警音器を使用する