今夜、世界の医療を旅する山本啓太が台湾の高齢者施設を訪れる!
そこには日本では見たことのない光景の数々が!
KEITAのメディカルジャーニー!
@スーレーパゴダ in ヤンゴン
※この設定はTBSクレイジージャーニーのパロディです
MC:はい、今夜もメディカルジャーニー始まりました!最近、終活という言葉をよく聞きますが、皆さんは何かされてますか?
世界の医療を旅する男・山本啓太。前回の山本は、台湾で中国の伝統武術・太極拳を体験し、その知られざる効果の数々を報告した。
そして今回は、台湾の高齢者施設で宗教と医療介護の結びつきを目撃する。
今夜、山本啓太が療法士たちの知らない医療の世界にお連れします!
MC:今回はどのようなお話を?
山本:今回は台湾で、仏教団体が運営している『菩提仁愛之家』という高齢者施設に行ってきました。
MC:仏教団体が高齢者施設を運営しているというのは珍しいですよね。
山本:日本にもいくつかあるらしいんですけどね。今回、台湾で宗教と医療介護の結びつきをいくつも見ることができて興味深かったですよ。
MC:それではVTRにまとめていますのでご覧ください。
高齢者施設・菩提仁愛之家へ
山本:黄さん、はじめまして!今日はよろしくお願いします。
黄:ようこそ台湾へ!こちらこそお願いします。
ディレクター(D):この方は誰ですか?
山本:彼はこの施設で働いている唯一の理学療法士(PT)です。台湾で3人のPTに会いましたが、皆さん英語を流暢に話すので驚いています。
黄:Drの処方箋やPT評価表は全て英語で記載しないといけないので自然とこうなるんですよ。
我々一行は、菩提仁愛之家の一階にある大広間へ
台湾人の終活とは⁉︎
山本:すごいですね。入居者たちが集まって、お坊さんと一緒にお経を読んでいますね。
黄:台湾には、お経を読むことが死後の輪廻転生に繋がると考えている人が多いですから。ちなみに台湾では宗教の選択は自由で、90%以上が仏教と道教の習合と言われています。
山本:日本の高齢者施設でこのような光景は見たことがないです。
黄:あと宗教の特徴が現れているのは”死後の扱われ方”です。
台湾人が望む死とは⁉︎
山本:死後の扱われ方?どういうことですか?
黄:簡単にいうと、死後8時間は誰も遺体に触れないのです。動かすこともしません。なぜなら死後しばらくは体内に知覚が残っていると考えられているからです。なので死後8時間内に遺体を動かしてしまうことで、彼らの魂を混乱させてしまい、極楽浄土に往くのを妨げてしまうと人々は信じているのです。
山本:全ての病院・施設でそのような対応をしているのでしょうか?
黄:いいえ、病院などでは患者からこのような要望があっても、業務の忙しさ等から実施するのが難しいと聞きます。しかし、私たちの施設は仏教団体が運営しているため要望があった際には実施しております。
山本:他に何か変わった風習はありますか?
黄:それとは別に、自宅での死を「善い死」、反対に自宅以外での死を「悪い死」と考えている人もいます。そのため、病気や事故で入院中の患者が瀕死状態になった際に、自宅へ搬送することもあります。
宗教が及ぼす食事への影響
山本:今は食事中ですね。この茶色の食べ物はなんでしょうか?
黄:これは豆腐です。これには深い意味があるんですよ。管理栄養士がいるので聞いてみましょう。
管理栄養士:我々は仏教団体なので、精進料理を入居者たちに提供しています。つまり肉や魚が使えないのです。そうなるとサルコペニア(※)の入居者へのメニュー作りに困ってしまいます。(※ 加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下が起こる現象)
山本:なぜ困るんですか?
管理栄養士:なぜなら、彼らは動物性タンパク質を多く摂取する必要があるからです。なので私たちは、タンパク質を多く含む豆腐を頻繁に提供します。ちなみに肉食は厳密には禁止されていないので、入居者の中には一人で外食して帰ってくる人もいますよ(笑)
山本:国や宗教が違うと同じ高齢者施設でも色んな違いがあるんですね。
黄:では次に寝たきりの入居者たちの部屋へ案内しますね。
寝たきり病棟が○くない
山本:あれ?おかしいな?
D:どうしたんですか?
山本:臭くない・・・。全然臭くないんですよ!
D:確かに臭くないですけど、そんなに驚くようなことですか?
山本:これはすごいことですよ!これまで日本の病院や高齢者施設にいくつか出入りしました。けど、そのほとんどが独特の異臭で充満していました。黄さん、なんでこのような対応ができるのですか?
台湾の宗教と医療介護
黄:一番の理由は、マンパワーの影響ではないでしょうか。この施設は仏教団体が経営しているので、入居者さんやスタッフのことを常に第一に考えているのです。
山本:確かにスタッフの数がかなり多いですもんね。
黄:また施設の目標である”仏教徒としての深い同情と平等を入居者に提供する”という信念がこのような結果に繋がっているのかもしれません。
山本:なるほど、宗教の影響という訳ですか。確かに入居者、スタッフともに笑顔がよく見られますもんね。
現在、この施設は満床
ベッドの空きを待っている高齢者の数は台湾全土から200名を越えるという
D:今回はいかがでしたか?
山本:宗教と聞くと、どうしても僕たち日本人はネガティブに捉えがちですよね。けどこの施設では、宗教があることで入居者は死に対する恐怖心が減り、スタッフは優しくなれるという宗教本来の役割を果たしている場面を見ることができました。
D:今回はありがとうございました。
山本:ありがとうございました。
山本啓太の世界の医療を巡る旅はこれからも続く!
【目次】