日本医療機能評価機構では、医療機関で発生した事故やヒヤリ・ハット事例を収集、分析する「医療事故情報収集等事業」を実施し、定期的にその内容を公表している。
医療安全対策の一環として行われている「医療事故情報収集等事業」であるが、昨年(2016年)1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例は85万6802件であり、医療事故は3882件であった。そのうち8.7%の338件では患者「死亡」しているとの報告があった。
事故の発生要因(複数回答)を見てみると、「確認の怠り」が最も多く、事故全体の11.3%(前年から0.7ポイント減少)を占めていますが、「患者側の要因」も11.2%(同0.1ポイント増加)となっている点に留意が必要です。また「観察の怠り」10.5%(同0.1ポイント増)、「判断の誤り」9.6%(同0.4ポイント減)も大きな事故発生要因となっています。確認や観察の怠り、判断誤りなど当事者側の行動に起因する事例は、依然として事故全体の4割強を占める最大要因と言え、すべての医療機関で、改めて「業務手順の見直しと手順遵守の徹底」を行う必要があります。
詳細を読む(引用元):http://www.medwatch.jp/?p=15558#8641
ヒヤリ・ハット事例に目を移してみると前年と比較し約7万件増加しているとのことだ。ヒヤリ・ハット事例が増加していると聞くといわゆる医療ミス、が増えているような印象を受けるかもしれないがそうではないということを知らなければならない。
報告の事例が増加しているということは、より細かく事例を把握し、対策を講じることができるからである。報告事例が増えるということは透明性が増していると前向きに捉えることもできる。
1つの大きな医療事故の裏には29の小さなミスや事故、さらにその裏には300のヒヤリ・ハットが隠れているとされるハインリッヒの法則が当てはまる。大きな事故には必ず前触れがあるという事を覚えておいてほしい。
理学療法を含め医療行為は人がするものであり「ヒューマンエラー」は決してなくならない。実際に事例の発生要因(複数回答)を見てみると、「医療従事者・当事者の確認の怠り」が圧倒的に多く、全体の4分の1(24.1%)を占めている。
今後は他者によるダブルチェックや、無駄に人的行為を介さない業務体制の構築等が必要になってくるだろう。