リハビリで関わる日も近い「骨を傷つけない脊椎固定術」
世界2億人、国内では400万人いるとされる「脊椎変性疾患」。脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどがそれに当たるが、酷くなると激しい痛みや痺れにより歩行も困難となる。
理学療法などにより、初期のうちは股関節の可動性や体幹の強化など適切なアプローチによってある程度進行の予防は可能だが、退行性の変性でありゆくゆくは手術をせざるを得なくなる。
しかし脊柱の手術である「椎体固定術」には常にスクリュー逸脱や感染、再手術などのリスクが付いて回る。
今回、秋田県立脳血管研究センターの菅原卓医師は3Dプリンターを駆使した従来の脊椎固定術とは全く違うものを考案した。
「骨も、希望も、壊したくなかった」
手術ははるかに簡単。切開範囲は狭く、手術時間は30分程度と従来の6分の1。合併症リスクは小さい。特別な医療機器は不要で、一般の病院で手術が可能。入院は一週間で済む。何よりも、背骨も椎間板も一切、傷つけない。
引用元:Yahooニュース
この手術方法の最大の特徴は、背骨や椎間板を一切傷つけず行うことができる点である。
従来のスクリューを椎体に挿入し、それをロッド(棒)に固定する椎体固定術とは大きく異なり、固定したい椎体の棘突起にチタン性のカバーを被せてそれを連結するというものだ。
切開範囲が狭く、合併症リスクが低いことや、手術時間が少ないことで患者自身の身体的負担も格段に減ることが予測される。
また、今後開発が進めばチタン間の連結部分にバネを用いれば柔軟性を持たせることお可能かもしれないとのことだ。
我々理学療法士は、椎体固定術後の患者にリハビリテーションを提供するとき禁忌肢位を考え動作指導を行う必要がある。今後、柔軟性をもつ脊椎固定術が可能となれば、我々のアプローチ方法、指導方法は変わってくるだろう。
現在、菅原医師はこの機構で日本、ドイツ、スイスで特許を取得し、アメリカでもまもなく取得できる見込みとのこと。
今後この手術方法が主流になる日は近いかもしれない。