今回は、脊柱の解剖学を『椎間板』にフォーカスして説明していきます。基本的な解剖学的知識をみていきます。
椎間板の機能構造
❶機能
椎体間を連結し、 荷重や衝撃の吸収/緩和
❷構造と組成
中心にある髄核と、それを囲むようにある繊維輪で構成
・髄核(nucleus pulposus)
⇒水分70~90%、コラーゲンⅡ15~20%(プロテオグリカンは乾燥重量の60%)
・繊維輪(annulus fibrosus)
⇒水分60~70%、コラーゲン50~60%(外側がⅠ型で、内側ほどⅡ型の割合が高い)
⇒何層にも重なっており、強靭な繊維が髄核を囲む
・軟骨板
⇒厚さ1~2mmで椎体の上下を覆う。
椎体内血管と連結しており、栄養を髄核と繊維輪に送る。★役割としては重要!
○繊維輪の豆知識
靭帯と同じように網状(下記の図はイメージ)になっている。そのため前後屈(上下の圧)には強いが、回旋には弱い構造となっている。回旋時には、繊維の半分しか圧を受けることが出来ないのである。又、繊維が斜めに走行している為、圧縮刺激も加わる。
前屈姿勢が継続される事での臨床的デメリット
❶ 繊維輪後方の伸張
❷ 反射性筋収縮の低下
靭帯の伸張により防御的に筋が収縮するが、継続する為に筋収縮も徐々に
弱化していき、骨への負担が増大していく
❸ 持続的筋収縮
必要のない筋収縮が継続し、組織の硬化や循環の低下が生じる
ということで、椎間板の栄養循環確保による機能維持を行う為には、ある簡単な運動が必要となる。
参考文書
1)荻島秀男 腰痛症原著第5版 1999 医歯薬出版
2)越智淳三 解剖学アトラス 第3版 2011 文光堂