現場における PT の関わりについて、サッカー現場を元に話を進めていきます。まず契約形態ですけれども、専属で現場と関わる個人契約の人、また派遣(会社や病院としての契約)、チームに常に常務するような形で契約をしています。
また非常勤・定期的な訪問。①チーム練習以外は病院勤務でありチームの練習の時だけ現場に顔を出すような契約 ②病院との提携 ③ 病院で加療・リハビリ対応をし、必要であれば現場に出向する。主に病院を母体とした関わり方をするこのような三つの契約が主に行われています。
PTがスポーツ現場で活動するには、スポーツ現場においてはアスレティックトレーナーや鍼灸師、マッサージ師の方が、幅広く対応ができるという認識が依然として残る傾向にあります。
理学療法士は医療現場における専門家でありますけども、スポーツ現場の専門家ではない。そのような認識も少し現場には残っています。それに対して専門の知識、臨床的な視点だけではなくスポーツ分野に関する幅広い知識・視点がスポーツ現場で活動するために必要なのではないかと感じます。
では実際、スポーツ現場でどのような取り組みが行われているのかを紹介していきたいと思います。大きく分けて専門分野、関連分野に分けて説明していきます。専門分野はメディカルリハビリテーション、アスレティックリハビリテーション、障害予防、チームドクターとのコンタクトの大きく四つに分けられます。
以降、簡単に説明していきます。まずメディカルリハビリテーションは主に障害に対する器質的対応、関節機能回復トレーニングの二つになります。
障害に対する器質的対応では、障害を受けた組織の回復をはかる物理療法を中心とした、いわゆる対症療法を行います。これは障害発生後の応急処置の写真ですが、PRICE (Protect、Rest、Ice、Compression、Elevation)といった五つの対応によって早期の炎症を抑えます。
次にアイシングにおいては、提示してあるように炎症反応の軽減や筋緊張の緩和、神経伝導速度の低下といった効果があり、アイスマッサージではこのような効果に加えて、氷塊で患部をマッサージすることによって、患部にうっ血した血液を排出し、患部の循環を改善させる目的があります。経験的に言えば筋損傷に対する施工において良い効果を見られることが多いように感じます。
下の写真においては氷と水の入った大きなバケツの中に下肢をつけてアイシングをしている写真です。ビニール袋や氷嚢で接触の悪い骨の凹凸部、例えば足関節・膝などに、アイシングする際に、うまく氷が当てられずアイシング効果が得られない、または関節内の損傷、ACLや軟骨損傷などには、このような氷の中に足をつけるようなアイシングが効果的になります。
これはコントラストバス(交代浴)ですが、あったかいお湯と冷たい水の中に足を交互につけることによって、血管の拡張収縮を促すことで、血管のマッサージを行う。それによって血管の壁が柔らかくなることによって血流が増加していくという理論で行なっています。
次にウルトラサウンド(超音波)ですが、提示してあるように、音圧波によって細胞を振動させるということが一つの目的で、それに伴って温熱効果や非温熱効果または骨折の治療に関して超音波療法が利用されています。
続いて、経皮的電気神経刺激(TENS)、微弱電流といった電気治療も疼痛の抑制や筋のマッサージ、または損傷した細胞を修復する治癒過程を助長する、ひとつの手段として利用しています。
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