【ROM再興戦略】関節可動域(ROM)測定をもう一度ー我々の専門性は何だ?ー

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節可動域測定、我々はそれをROMと呼びます。言わずもがな、我々療法士にとって基本中の基本であり、MMTに並んで唯一時間をかけて学んだ経験のある検査方法です。

 

今回、なぜわざわざ、基本中の基本であるROMについて、もう一度考えてみようという考えに至ったのか、その経緯についてご説明させていただきたいと思います。

 

我々の専門性は一体何か?

 この問いに対する回答は、おそらく個人によって意見が分かれることでしょう。ただ、それは果たして良いことなのでしょうか?現在医療は、一昔前の外科、内科といった専門分類からさらに進化を遂げて、整形外科の中でも“肩関節”のスペシャリスト、脳外科の中でも“脳腫瘍手術”のスペシャリストなど、その専門性はより具体度を増していると感じています。

 

一方で、我々の業界でも、協会の分科会を参考とすると非常に細かく分類されることが多くなり、今後ますますそれは加速するものと思います。事実、APTAの分科会は、それがいいのか悪いのかは置いておき、非常に細かく分類され、日本よりもさらに具体的な分科を遂げているとのです。

 

内部での理解は当然あるとしたところで、他職種、または一般の方にとって、我々の専門性はどのように写っているのか、という視点で考えてみました。

 

おそらくは、以下のようなワードが多く取り上げられるのではないかと思います。

・リハビリ

・マッサージ

・高齢者のサポート

・スポーツトレーナー

この意見に、怒りを覚える方もいると思います。ただ現実問題として、このあたりがいいところなのではないかと思います。

 

この話題を前提として、一般の方を抜いた、医療従事者からの視点に限定して考えてみると、どのような問題が起きるのでしょうか?これは一つの仮説に過ぎませんが、上記のような認識しかない場合、我々に対して他職種は正直なところ「何をお願いすればいいのかわからない」という状況に陥るのではないかと思っています。

 

その中で、現在ではほぼ、動詞として扱われている“リハビリ”の専門家であるという認識から、「リハビリをお願いします」というコミュニケーションが生まれることがあります。

 

ある意味では便利で、非常に抽象的な“リハビリ”という記号で、我々の専門性を一括りにされていていいのだろうか、ということが、今回の考えの発端であります。

 

10万人以上の力を一つに集中するために

 上記の考えから、さらに頭を巡らせ、私個人の意見を一つにまとめました。あくまでも、私一人の意見であります。「あなたの専門性は?」という問いに対して、「〇〇の専門家です」と回答できるのは、ある意味で危険なことと思いますので、今回は、「何をお願いされる専門家なのか」という視点で、考えてみようと思います。

 

そこで、今回のテーマである「関節可動域(Range of motion:ROM)測定」をピックアップしてみました。この検査は、我々にとってスタンダードでありながら、どこか臨床では軽視されている現状も散見されます。

 

このような状態では、「関節の可動域といえば療法士」という代名詞を得ることができません。また、この代名詞こそ、MMTとともに取り組むべき分野なのではないかと考えています。今後は、この検査方法に対しての意見を、療法士に聴取していきたいと考えています。

 

その前に、今回は個人的に興味のあった関節可動域測定の歴史について調べてみました。我々が参考にしている、その方法となぜ正常値ではなく、参考可動域としたのか、海外ではどのような方法で測定されているのか、ということを本日はまとめてみたいと思います。

 

遡ること100年前

 我々が普段、当たり前のように実施しているであろう関節可動域測定は、遡ること100年前、第一次世界大戦にまで遡る。それは、第 1 次世界大戦時の戦傷兵の治療から本格的に始まり、今日では主に、リハビリテーション検査の一つとして実施1)されています。

 

日本においてはというと、昭和 23年に本整形外科学会総会において改訂され、昭和49年に日本リビリテーション医学会との協議2,3)のもと、最終案が完成しました。

 

それから現在の形に改定されたのは、地下鉄サリン事件の騒ぎがまだ鳴り止まない平成7年の4月のことでした。全くの余談ですが、この時代に“コギャル”が大量発生しました。今ではほとんど死語でしょう。

 

ここで一つ、豆知識的に覚えておいて欲しいことですが、現在“参考可動域”とあえて記載し、正常値としていない理由がきちんと書かれています。

 

おそらくこの点、参考可動域=正常値と認識している療法士も少なくないのではと思い、取り上げてみました。ここで書かれている理由は以下の通りです。

 

関節可動域は年齢,性,肢 位,個体による変動 が大きいので,正常値は定めず参考可動域 として 記載した。

4)https://ci.nii.ac.jp/naid/40002966462

 

それもそのはず、年齢、性別、関節によって、変動が大きいことは、数々の論文で証明されています5,6)。


実は、理学療法士協会も、パブリックコメントを求め理学療法士学会版ROM指針を作成し、2016年に公表7)を目指していました。

 

まとめ

 現在まだ、調べ始めた段階であり、世界の関節可動域測定法に関して、まだ完全に調べ切れてはいません。この点は、今後の連載によって少しづつ、明らかになっていきます。

 

まずは、こちらにある資料(https://www.dshs.wa.gov/sites/default/files/FSA/forms/pdf/13-585a.pdf)と、現在我々が使っている基準(https://ci.nii.ac.jp/naid/40002966462)さらに、パブリックコメントから作成しようと試みた、理学療法士学会版ROMの内容(https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/42/8/42_42-8_078/_pdf/-char/ja)を照らし合わせて、ご覧ください。

 

続くー。

 

参考文献

1)http://repository.nihon-u.ac.jp/xmlui/bitstream/handle/11263/42/Susato-Shin-ichi-1.pdf?sequence=1

2)https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170929113002.pdf?id=ART0002021797

3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/32/4/32_4_207/_pdf/-char/ja

4)https://ci.nii.ac.jp/naid/40002966462

5)https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180408015808.pdf?id=ART0007335627

6)https://www.cdc.gov/ncbddd/jointrom/index.html

7)https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/42/8/42_42-8_078/_pdf/-char/ja

・https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180529221954.pdf?id=ART0007335646

・https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/11/1/11_KJ00000971114/_pdf

・http://www.syouboukikin.jp/rules/pdf/8-6-1.pdf

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21070485

・https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/30/2/30_239/_pdf

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15118030

・https://www.dshs.wa.gov/sites/default/files/FSA/forms/pdf/13-585a.pdf

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