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介護施設で働く介護士の慢性腰痛の要因とは?

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東京大学医学部附属病院22世紀医療センター松平浩特任教授、岡敬之特任准教授、吉本隆彦特任研究員らの研究チームが大規模な観察研究を実施し、介護施設で働く介護士の仕事に支障をきたす腰痛が長引く要因は、心身のストレス反応を示唆する身体愁訴が多いこと、腰痛をかばう思考であることが判明した。

介護士の頑固な腰痛~心身のストレス反応と腰を大事にする行動が強く関係~

 

研究チームは石川県内の介護施設125か所に調査用紙を郵送し、95施設から賛同を得たあと、各施設20名に無記名の自己式質問表を郵送して回収できた1704名のデータを分析した。

 

自己式質問表の調査項目は(1)腰痛の状況と重症度(2)個人的要因(性別、年齢、学歴、婚姻)(3)生活習慣(喫煙、運動習慣、睡眠時間、睡眠の質)(4)労働要因(雇用形態、経験年数、職種、労働時間、夜勤の回数)(5)心理・社会的要因(職業性ストレス調査票、心理的要因を踏まえて腰痛の遷延化をスクリーニングできるSBST日本語版、専門的にはは恐怖回避思考・行動と呼ばれる痛みを過度にかばう思考・行動を測定するTSK)とした。

 

研究を実施した結果、仕事に支障をきたすほどの腰痛が3か月以上続いている重度の腰痛と統計学的に関連していたのは以下の内容であった。

・職業性ストレス調査票で、めまい、肩こり、目の疲れ、動機息切れ、胃腸の不調、食欲低下、睡眠障害といった身体愁訴が多かったこと。

・抑うつや不安といった要素を含むSBSTの心理的要因点数が高かったこと。

・TSKの得点が高い(腰痛を過度にかばう思考・行動が強い)こと。

以上の3項目が関連していたことが判明した。

 

今回の研究は、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」の従来の対策に加え、今回のデータ分析から明らかとなったリスク要因を加味した労働衛生教育や対策を普及啓発し標準化することで介護士の慢性腰痛の減少、労働生産性の向上に寄与することが期待される。

 

研究チームは、今後、介護施設で働く勤労者が、腰痛で仕事に支障をきたさず、労働生産性が低下しない具体的なソリューションを提案し、社会実装につなげていく予定と述べている。

介護施設で働く介護士の慢性腰痛の要因とは?

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