日本とフランスの違い
POSTインタビュアー:実際のリハビリテーションの場面での違いはありますか?
立花先生:運動療法の場面などは大きくは変わらないと思います。ただ、産後の理学療法の様に日本ではあまりみられない分野がこちらでは当たり前です。出産後、理学療法の処方が出て、患者は自分でPT CLINICに来ると言う流れです。これも教育課程で出産に関することをしっかり学びますね。
POSTインタビュアー:患者が自ら選んでくるというのはすごいですね。
立花先生:基本的そうですね。開業しているのでそうなりますね。ただ開業していると難しい面もあります、連携とかですね。例えばすぐに顔を合わせてコミュニケーションが取れない。電話とかになってしまいますね。フランスではそういう状況ですから、患者を中心にした連携が求められます。
POSTインタビュアー:日本でも連携論がだいぶ浸透してきています。コミュニケーション、外国人は上手な印象があります。
立花先生:そうですね。教育課程でもコミュニケーションについて良く学びますよ。リハビリテーションはどこか傷ついた人が対象になりますからね。人間関係の構築はすごく重要で、よくコミュニケーションをとっています。
そういう人たちにとって、エビデンスは真実だけど、真理ではないですから。心をみていくことを大事にしています。
POSTインタビュアー:すごく大事ですよね。この診療所も個室ですが、ほとんどが個室なんですか?
立花先生:はい。日本には施設基準があるので、大きく異なりますね。こういう部分は大きく変わると思いますよ。
また、こちらの労働者は残業を基本的にはしませんから、日本よりも書類業務等も少ないと思います。準じて残業に当たる部分で会議や勉強会も基本的には少ないです。文化が違いますからね。
POSTインタビュアー:そうですね。例えば過労死なんて言葉は日本でしかないとも聞きます。
立花先生:やっぱり楽しく働きたいですよね。労働観も違うと思いますが、こちらの人たちはそういう面で豊かですよ。日本人の労働観はこちらとは大きく異なりますね。あと、理学療法士協会への加入率なんかも違います。日本の加入率はすごく高かったりします。そういう点はものすごくすごいと思います。
療法士に向けてメッセージ
インタビュアー:最後に、海外で働きたい療法士に向けてメッセージを頂けますでしょうか。
立花先生:旅行感覚で来てください。仕事で来ると言うのではなくてね。リハビリテーションだけでなく、その国の文化も含めた生活を学ぶほうが大事です。海外に来ると、心は豊かになります。日本にいるとものすごく働く人がたくさんいますが、バランスをとることも大事です。そういう豊かさは海外では常識ですから、そういうのを学んでほしいですね。
インタビュアー:ありがとうございます。学生へのメッセージもお願いできますか。
立花先生:リハビリテーションへの期待をしっかり汲み取ることを意識してください。リハビリテーションを知らない者にこれがリハビリテーションだと言うのはナンセンスですから。日本ではフランスのように開業理学療法士はいないので、患者が選んでくることは少ないかと思います。患者に寄り添う療法士を目指してください。
立花祥太朗先生経歴
経歴:
2007年養成校卒業。-2007年9月(フランスは新学期)より医療派遣会社でフランス各地の病院で勤務(4ヶ月)。-2008年1月より日本の帝京大学付属病院(東京)を中心に見学研修させて頂き日本の現状を学ぶ(3ヶ月)。-2008年4月より(3ヶ月)アルジェリアで日本の建設会社が企画したプロジェクトに通訳として勤務(鹿島&大成建設)。-2008年7月よりパリ郊外の診療所にアシスタントPTとして勤務(半年)。-2008年9月よりパリのリハビリテーションセンター" La Chataigneraie Convention " で週一で勤務(5年間)。-2009年4月より現在のパリ15区にある診療所に移る(現在まで)。-2009年9月より日本の医療団体/理学療法士団体のためのコーディネート活動を始める(現在まで)。-2010年より日本で講演活動を始める(現在まで)。-2014年よりPT育成専門学校IFMK ASSASで講師(整形リハ、スポーツリハを中心)。-2015年よりフランス理学療法士国家試験の試験官を依頼される。-------------------------------------
2013年:フランスで音楽家専門リハビリテーション認定資格を取得
2014年:中国温州大学病院で中国医療を学ぶ、(初級認定資格取得)
その他:在仏日本大使館保健医療専門ネットワークに所属。理学療法国際アドバイザーとして活動キーワード
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