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フィジーの医療事情について|三田村徳さん

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フィジーの医療事情について

公立病院はフィジー全土に26ヶ所あり、首都スバのColonial War Memorial Hospital(CWM病院)や西部のNadi Hospital(ナンディ病院)、東部のLevuka Hospital(レブカ病院)、北部のLabasa Hospital(ランバサ病院)など主要な病院があります。

 

2016年度のFiji Health Status Repotによる公立病院26ヶ所の累計としての病床数1, 740に対し入院患者74, 220名、病床稼働率57%となっています。首都の病床稼働率は80%、地方では病床稼働率13%~54%となっており、首都へ患者が集中している状況です。年間累計外来患者895,644名(再診を含む)となっており、フィジーの人口数とほぼ変わらない人数が外来へ来ていることとなっています。

 

Photo:CWM病院

公的医療機関は基本的に無料で診療・薬剤を受けることができますが、常に患者が集中し長時間待たなければなりません。また、医療従事者が不足しており、評価や治療に当てる時間も短く適切な医療を受けられないこともあります。

 

CWM病院でも重度脳卒中や脊髄損傷患者も数日~2週間程度でリハビリや家族指導を受けずに退院となってしまうため、寝たきりになり褥瘡を作ってしまう事例が多々みられます。そのため富裕層や外国人は私立病院を受診していることが多いです。まだまだ医療事情としては発展途上国であり予算が少なく、マンパワーも不足し、医療の質も低いため、支援が必要となっています。

 

フィジーのCBRについて

Community Based Rehabilitation(CBR)については、地域を中心に回る訪問リハビリ(Home visit)とフィジー全土を周る巡回(Outreach)があります。また、Zoneナースが地域や村に対して月一度、状態確認や処方箋を配ったりしていますが、リハビリテーションの内容は含まれていません。特にCBRは理学療法士・CRAが行っているがCRAの人数としてはフィジーに5名しかおらず、CBRに対してもマンパワーは足りていない状況もあります。

 

CWM病院のように大きい病院では理学療法士が多くいるため、毎日地域に向けて訪問リハビリを行っていることもあります。しかし、地方病院では週に1回程度訪問リハビリが行えているかどうかという状況です。

 

ドライバーと車の確保をするのも難しいため、継続的に地域や村を周ることができないこともあります。また、巡回としては国立リハビリテーション病院から年に2回フィジー全土(ビチレブ・バヌアレブ・タベウニ・ランビ島など)を周ることができることです。巡回のメンバーは医師・看護師・理学療法士・義肢装具士・CRA・ドライバーのメンバーにより、村々を周り一日10~20名程度診ています。

 

巡回については2014年からWHOより予算を得て、行えるようになりました。2018年より保健省から巡回活動の重要性を認められ、予算が降りるようになりました。年間1000人程度の患者を巡回にて診ていますが、いまだにフォローアップが追い付いていない状況です。予算や人的不足からも長距離移動と長時間労働となりやすいです。そして各病院内のリハビリテーションについても充実した治療はできていないためCBRについてもこれから軌道に乗ってくるのだと思います。


Photo:巡回による患者への治療や補装具の修理、義肢装具の作成

 

三田村徳さんプロフィール

2010年3月 東北文化学園大学 理学療法科専攻卒業 

2010年4月 公益財団法人 宮城厚生協会 泉病院入職

2017年6月–2019年6月 JICA青年海外協力隊によりフィジーへ派遣

National Rehabilitation Medicine Hospital(国立リハビリテーション病院)

フィジーの医療事情について|三田村徳さん

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