森田秋子先生-回復期リハの発展に情熱を注ぐ言語聴覚士 (ST)-

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PT-OT-STは絶妙な関係

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POSTインタビュアー:理想のチームを築くためにPT、OT、STへそれぞれメッセージはありますか?

森田先生:PTは認知度があり人気が高いのに対して、OT、STはあまり知られていない。特にSTはたまたまSTを知った人がなる、ということが多いですね(笑)。

私は、PT、OT、STという組み合わせは、絶妙だと感じています。見る領域や視点の方向性が違っていて、3つ合わせることでリハビリテーションが素晴らしくなると感じるのです。

養成数が違い、ますます3職種の人数の差が開いていくのが残念です。PTがどんどん増えて、OT、STと出会わないPTが増えていくと思うので。でも、脳損傷領域に関しては、これからも3職種揃っていることが必要だと思います。

数的に多いPTが3職種のリーダーになることが多いですが、OTがなったりSTがなったりしてもいいと思います。3職種のリーダーになる人は、リハビリテーション全体をみることができること、そして3職種の特性をよく理解して、それぞれの職種の良さを引き出すことができる人であってほしい。

森田

PT、STが機能をみる専門家としての特徴が強いのに対して、OTは自分の専門性がみえにくく、苦しんでいる人が多いと感じます。

何年かたって「これがOT!」と思えた瞬間にOTになって良かった、と感じる人が多いですね。アイデンティティーが持ちにくい専門職だと思いますが、PTとSTをつなぐこともできるし、リハビリスタッフと看護師をつなぐこともできる、大きな可能性を持っていますよね。

STは、STになってしまった運命と縁を大事にしてほしい(笑)。パーツしか見えていないSTは大変残念です。

実は、脳全体をみることができ、その人全体をみることができる専門職です。運動やADLも含めてみることができる、スケールの大きいSTが増えていって欲しい、と願っています。

共通して理解しておくこと

インタビュアー:それぞれに重要な共通認識はなんでしょうか?

森田先生:リハビリテーションにおいてADLが重要であることは、今やみな理解しています。

そのADLは、運動と認知から成っています。だからこそ、PT、OT、STが力を合わせることで、リハビリテーションの効果が上がるのだと思います。

もう1つは、通過症候群を理解することです。脳損傷発症直後の脳症状は、浮動的に複雑な症状が出現してとても難しい。

そのため、高次脳機能障害がますますわからなくなる。特に急性期、回復期ではこれをわかっていないと患者さんが見えてこないと思います。そして予後予測できない。

インタビュアー:他にその理解が共通して重要だと。

森田先生:はい、そうですね。

(最終回へ続く・・・)

<バックナンバー>

第一回:最大限の化学反応を起こすことに興味がある

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森田秋子先生経歴

昭和59年 慈誠会徳丸病院リハビリテーション入職

平成15年 国際医療福祉大学言語聴覚学科入職

平成21年 医療法人社団輝生会入職.初台リハビリリテーション病院・船橋市立リハビリテーション病院ST部門チーフ/初台リハビリテーション病院 教育研修部長/輝生会本部ST部門統括.輝生会本部法人総合企画室 高次脳機能障害支援事業担当(H25.4)

平成26年 珪山会鵜飼リハビリテーション病院 リハビリテーション部長  

<学位>

平成12年 リハビリテーション修士(筑波大学).修士論文タイトル「脳血管障害患者の日常生活活動能力における関連要因の検討」

<原著論文>

1) 森田秋子他::半側空間無視の長期経過とMini-Mental Stateの関連について.神経心理学,2002.  

2) 森田秋子他:半側空間無視の長期経過―机上検査で所見が消失した患者の経過を中心に―.日本老年医学会雑誌,2005.

 

3) 森田秋子他:失語症患者の排泄訓練における言語聴覚士の役割.言語聴覚研究,2005.

4) 森田秋子他:半側空間無視が基本ADLに与える影響.総合リハ,2006.  

5) 森田秋子他:失語症症例の回復期における認知機能の改善に関する検討-認知・行動チェックリストの試験的作成と運用-.脳卒中,2011.

6) 森田秋子他:認知機能を行動から評価するための認知関連行動アセスメントの開発.総合リハビリテーション,2014

 

<著書>

1) 森田秋子:評価・診断.標準言語聴覚障害学 失語症学.医学書院,2009

2) 森田秋子編著:PT・OT・STのための脳損傷の回復期リハビリテーション.三輪書店,2012.

3) 森田秋子編著:在宅・施設リハビリテーションにおける言語聴覚士のための地域言語聴覚療法.三輪書店,2014

<社会活動>  

回復期リハビリテーション病棟協会理事/日本高次脳機能障害学会評議員/日本リハビリテーション連携科学学会理事

     

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