キャリアコンサルタントが徹底サポート

【厚生労働省】令和3年度介護報酬改定案(概要サマリー)

10089 posts

全体の傾向

令和3年度介護報酬改定の主な事項について1月18日、第199回社会保障審議会介護給付費分科会にて発表された。今回は5つの柱を持って改定が行われ、

「感染症や災害への対応力強化」
「地域包括ケアシステムの推進」
「自立支援・重度化防止の取り組みの推進」
「介護人材の確保・介護現場の革新」
「制度の安定性・持続可能性の確保」

に重点をおいた改定となった。

第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料

 本シリーズは、経営的視点はもとより、現場で働いているセラピストが今回の改定をどのように捉え、日々の業務に生かしていくべきか考察する時間としていきたいと考えている。

本日は概要としてまず把握しておきたい箇所を抜粋、まとめて各論に移る心構えをしたい。

①    「感染症や災害への対応力強化」

 COVID(コビット)-19の影響がいまだ続くなか、医療や介護、福祉については改めて「欠かせないもの」である認識が強まった。

 

第一の柱として掲げられた対応力の強化については、事業所自体が安定したサービスを提供し続けられるように事前に計画研修等を義務付け、地域と直接的に連携が取れるような環境を整備する必要がある点が強調されている。

 

特に報酬に関して影響の大きかった通所に関わるサービスについては足下の利用者数の減少に対応しやすい報酬体系の特例措置も行われる方針となった。

 

②    「地域包括ケアシステムの推進」

 2005(平成17)年の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」という用語がはじめて使われた。その後の2011(平成23)年同法改正では、条文に「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と明記、システムの構築が義務化されることとなった。

 

令和3年度改定においては、地域包括ケアシステムを完成形に向けるべく「尊厳を確保しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるような取組を推進」の言葉を掲げ、看取り対応への重点的なサービス提供への加算や緩和措置、サービス提供など制度の弱みを補うような細かな配慮が感じられる改定となっている。

 

③    「自立支援・重度化防止の取り組みの推進」

 制度の目的に沿って、質の評価・データ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービス提供を推進とまとめられ、以下3つの取組みの推進を掲げている

(1)リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの連携・強化
(2)介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組みの推進
(3)寝たきり防止等、重度化防止の取り組みの推進

こちらは平成30年度介護報酬改定において謳われた自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現に一貫した改定が行われた。

 

④    「介護人材の確保・介護現場の革新」

 介護現場の業務負担軽減・職場環境の改善を主軸に質を担保しながらテクノロジーの活用・運営基準の緩和を通して業務負担を軽減、人材の定着につながる処遇の改善を継続して行う改定が行われた。

 

⑤    「制度の安定性・持続可能性の確保」

 “必要なサービス”は確保しつつ適正化・重点化を図ることを明確に示し、保険料・公費・利用者負担で支えられている介護保険制度の安定性・持続可能性を高め、国民の協同連帯の理念に基づく制度への納得感を高めていくため、評価の適正化・重点化・簡素化を目指すための改定が行われた。

 

総括

 審議報告の課題部分として、団塊の世代が75歳以上となっている2025年、介護サービス需要が一層増大・多様化し、生産年齢人口の減少が進む2040年へ向けそれぞれの地域で適正な介護サービスが受けられるよう着実に対応していくことが挙がっている。

 

「適時適切に過不足なくサービス提供が行われるよう留意」
「医療と介護の連携を一層推進」
「ケアの質・職員の負担を適時把握しながら取り組みを改善」
「データに基づいた実態の的確な把握と活用」

 

上記4項目において事業所毎にその取り組みを求めるメッセージが打ち出された改定となっている。コロナ渦において、各事業者が対応の変更や業務の改善を強いられ、本来のサービス提供ができない実態等様々な問題を抱える中での本改訂においては、

 

改定を経営的視点のみで捉えるのではなく、

介護サービスに係る1スタッフは日々の取り組みの意義や成果について改めて向き合い、
経営側は徹底して介護人材を活かせる環境作りに向き合う、

関わる利用者へ納得感のあるサービス提供を実践できるための土台を再整備できるか問うための3年間であると筆者は捉える。

 

【目次】

第一回:令和3年度介護報酬改定案(概要サマリー)

第二回:令和3年度介護報酬改定案(訪問看護)

第三回:令和3年度介護報酬改定案(訪問リハビリテーション)

第四回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護1)

第五回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護2)

第六回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護3)

第七回:令和3年度介護報酬改定案(通所介護4)

 

【厚生労働省】令和3年度介護報酬改定案(概要サマリー)

Popular articles

PR

Articles