理学療法士(PT)平川倫恵先生ー尿失禁に対するリハー 第2回

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情報社会の産物

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ここ数年はこの分野に関する情報も多くなってきているなか、その情報が正しいのかどうかをお尋ねになる患者さまが多くいらっしゃいます。

テレビやインターネットなどを見てご自身で骨盤底筋トレーニングに挑戦している方も多いと思います。

骨盤底筋トレーニングの骨盤底筋を「しめる」動きを例に挙げると、いざみてみると「しめる」動きではなく「いきむ」動きだったということもあります。

ご自身で肛門と腟のところに手を当てていただいて、当てている指が、身体のなかに入り込むような動きを感じ取ることで正しい収縮ができているか確認することができます。

 

 
 
 
 

「ゆるめる」にクローズアップを

Human hip musculature, artwork

このトレーニングに関しては骨盤底筋を「しめる」ということがクローズアップされがちですが、逆に緩められない方もいらっしゃいます。

このような状態はオーバーアクティブペルビックフロアーマッスル(overactive pelvic floor muscle)と呼ばれ、骨盤底筋が過緊張状態になっていることを指します。

どの部位でもそうですが、筋肉は緩められなければ収縮はできませんから、収縮させる前に適切に緩められていることを確認するということが重要になります。

その過緊張に関しては、体表面から触れることは難しいので、直接触れて確かめることが好ましいといわれています。海外では骨盤底筋の硬さを測る機器などもあるようです。

 

WCPTについて

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今年シンガポールで行われたWCPTでウィメンズヘルスや骨盤底に関する発表が多数ありました。

単なる骨盤底筋トレーニングの治療効果に関する発表だけではなく、性機能障害ですとか、文化・宗教的な部分になりますが性器の割礼に関する報告や、日本ではなかなかない、膀胱腟瘻に関するアフリカの現状報告などを聞くことができ、次元が違うなと率直に思いました。

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幅広いトピックについて情報を得ることができ、貴重な時間を過ごすことができました。

今回の学会参加を通して、ウロギネ分野の患者さまの受け皿があって、ちゃんと相談できる環境が整っているということが必要だなと改めて感じました。

フランスでは産後10回まで公費でPTを受けることができ、オーストラリアでも産後6ヶ月まで無料で受けることができるようです。

今後、日本においてもこういったリハビリが受けられるような体制が構築されることを期待しています。

<バックナンバー>

第一回:尿失禁の様々な要因について

平川倫恵先生経歴

【経歴】

平成20年3月 名古屋大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 卒業

平成22年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       理学療法学分野 博士課程(前期課程)修了

平成25年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       リハビリテーション療法学分野 博士課程(後期課程)修了

       (リハビリテーション療法学博士 取得)

平成25年4月 亀田メディカルセンター ウロギネコロジーセンター 入職

平成25年9月 亀田京橋クリニック「女性のための骨盤底リハビリ外来」開始

現在に至る

【論文】

  1. 平川倫恵,野村昌良,三輪好生,清水幸子:骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術前後の尿失禁および過活動膀胱症状に関する調査.泌尿器外科 28:1081−1085,2015
  2. 平川倫恵,野村昌良,鈴木重行,清水幸子:腹圧性尿失禁に対する理学療法のエビデンス.理学療法学 41:312−319,2014
  3. 平川倫恵:骨盤底筋トレーニングの指導.泌尿器ケア 19:891-896,2014
  4. Hirakawa T, Suzuki S, Kato K, Goto M, Yoshikawa Y:Randomized controlled trial of pelvic floor muscle training with or without biofeedback for urinary incontinence. Int Urogynecol J 24: 1347-1354, 201
  5. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:腹圧性尿失禁に対する理学療法.難病と在宅ケア 18: 25-28, 2012
  6. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:女性泌尿器科外来における下部尿路リハビリテーション.Monthly book medical rehabilitation (148):61-67, 2012
  7. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:尿失禁診療における多職種協働, 理学療法士の立場から.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 16:318-319,2012
  8. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:女性腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋体操, バイオフィードバック療法.排尿障害プラクティス 19:122-128,2011
  9. 平川倫恵:腹圧性尿失禁に対する運動療法.理学療法学 37:292-293,2010
【著書】
  1. 平川倫恵:尿失禁,Ⅹ.ウィメンズ・ヘルス,理学療法診療指針,内山靖・他(編),医学書院,東京,pp475-477,2015
  2. 平川倫恵:骨盤底機能障害に対する基本的アプローチ.ウィメンズヘルスリハビリテーション,ウィメンズヘルス理学療法研究会(編),メジカルビュー社,東京,pp283-297,2014
  3. 平川倫恵:新しい分野への挑戦−尿失禁に対する理学療法−,臨床コラム,標準理学療法学 理学療法学概説,内山靖(編),医学書院,東京,pp160,2014
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