今回は膝関節後方部痛の評価についてです。変形性膝関節症でリハビリオーダーが出た方で、膝関節後方部に痛みを訴える患者さんは少なくありません。そして患者さんの多くは膝関節伸展制限があります。
私も新人の頃、「じゃあ膝関節伸展ストレッチをすれば良くなるだろう」と何も考えずに伸展ストレッチを行っていました。しかし、結果は痛みも可動域も変わらず、患者さんも来なくなってしまいました。
そのような苦い経験をお持ちの方は私以外にもいらっしゃるのではないでしょうか?今回の記事では、膝関節後方部痛の原因となりやすい組織とそれに対する評価方法を紹介いたします。最後まで読んでいただくことで、ただストレッチをするだけではなく、しっかりと評価した上での治療が出来るようになると思いますので是非最後までご覧ください。
①半膜様筋由来の疼痛
一つ目は半膜様筋由来の疼痛です。半膜様筋は複数の付着部を持ちます。半膜様筋腱溝の前方に付着するAnterior Arm、脛骨内側顆後面に付着するDirect Arm,他にも内側半月板、後斜靭帯、斜膝窩靭帯、膝窩筋膜など様々な場所に付着します。
また、SGB(半膜様筋腓腹筋滑液包:semimembranosus-gastrocnemius bursa)やSTB(Semimenbranosus-TCL Bursa)といった滑液包も半膜様筋に関係しているため、付着部炎や滑液包炎などで、膝窩部痛が生じやすいと言えます。
半膜様筋由来の疼痛かどうかの評価については、「足関節背屈位での膝伸展で痛がるか?」を見てみましょう。半膜様筋は、腓腹筋内側頭と線維結合しています。そのため足関節背屈位で腓腹筋を伸長位にして更に膝伸展を加えると強い伸張ストレスをかけることが出来ます。また、SGBは半膜様筋と腓腹筋内側頭の間隙に存在する滑液包なので、SGB由来の疼痛の評価としても使えます。
では次に「何故半膜様筋が痛むようになってしまうのか?」について考えてみましょう。